話題のBamが118ポンドに参戦 /エリートアマ対決の行方やいかに - A・ヴァルガス vs バム・ロドリゲス ショートプレビュー -
- カテゴリ:
- Preview
■6月13日/デザート・ダイヤモンド・アリーナ,アリゾナ州グレンデール/WBA世界バンタム級タイトルマッチ12回戦
正規王者 アントニオ・ヴァルガス(米) vs 前S・フライ級3団体統一王者 ジェシー・”バム”・ロドリゲス(米)
正規王者 アントニオ・ヴァルガス(米) vs 前S・フライ級3団体統一王者 ジェシー・”バム”・ロドリゲス(米)
いきなりで恐縮だが、直前のオッズを記す。リング誌P4Pランキングの上位に顔を出し、今をときめくバム有利の前評判は致し方がない。少々の開きは許容せざるを得ない。でも・・・。
□主要ブックメイカーのオッズ
<1>シーザース
ヴァルガス:+1600(17倍)
バム:-6600(1.02倍)
<2>BetWay
ヴァルガス:+900(10倍)
バム:-2000(1.05倍)
<3>ウィリアム・ヒル
ヴァルガス:9/1(10倍)
バム:1/20(1.05倍)
ドロー:16/1(17倍)
<4>Sky Sports
ヴァルガス:13/1(14倍)
バム:1/16(1.06倍)
ドロー:40/1(41倍)
「スタートからバムが圧倒する。序盤の決着も十二分に有り得る」
この一戦が報じられて以来、極めて楽観的な予想が繰り返し語られ、バムを”打倒モンスター”の最右翼に位置づける声がネット上を駆け巡る。少なくとも、素人から専門家に至る楽観論を語るすべての人々の脳裏に、現時点で「階級の壁」は影も形も見えない。存在を許されてすらいない。
こうなると、生来の天邪鬼がモゾモゾと動き出す。
「いやいや。ここまで大差が付くほど、両雄の実力に開きはあるのか?」
中谷潤人(M.T)との東京ドーム決戦を完勝でまとめ切り、リング誌P4P1位に返り咲いた我らがモンスターも恐るるに足らず・・・と、来年1月の名古屋決戦(IGアリーナ)がまことしやかに囁かれる中、プロ入り前から面倒を見てきた名コーチ,ロベルト・ガルシアが、唐突に煙幕を張る。
「ナオヤ?。ちょっと待ってくれ。これから118(ポンド/バンタム級)でやろうとしているバムに、122(ポンド/S・バンタム級)の話は早過ぎるだろう。すべては118でのパフォーマンス次第。それを見てからだ。」
まったくもって仰る通り。どんな反論も寄せ付けない正論だ。どんな時でも強気を崩さない海千山千のガルシアでも、今後バムが直面する「サイズの問題」を軽視する訳にはいかない。
「だったら、あんなに吹きまくらなきゃいいのに・・・」
WBA王座の奪取を前提にして、WBC王座を保持する井上拓真との統一戦にも言及する陣営に、フラストレーションを溜め込む素直な日本のファンが思わず声を荒げる。井上兄弟との連戦が実現すれば、興行の規模はゆうに「The Day(モンスター vs 中谷戦)」を凌駕するだろうし、結果がどちらに転んでも、まだまだ若いバムはやり直しがきく。
でもご心配なく。大方の予想通りバムの圧勝でカタが着けば、日頃から一言も二言も多いエディ・ハーンを筆頭に、陣営はまたこれでもかと進軍ラッパを吹き始める。
記事の後半に記載した戦績を見ていただければ分かる通り、”挑戦を受けて立つアンダードッグ”の王者は、2016年のリオ五輪に出場したバリバリのエリートボクサーだ。生まれたのはテキサス州ヒューストンで、プエルトリカンの実父ホセから手解きを受け、9歳でボクシングの道に進む(母親はメキシコ人)。
12歳の時にフロリダ州キシミーに移り、同じアマチュアの競技選手だったガールフレンドの父親ドエル・モンテスの指導により、早くから全米規模のトーナメントで顔と名前を売る。シニアに進んでからも抜群の戦果を残したヴァルガスは、ボブ・アラム率いるトップランクと直接契約を結んでプロに転じた。
2017年2月(バムと同時期)に二十歳でデビューしたヴァルガスは、122ポンド1/2のS・バンタム級だった。3戦目で118ポンド1/2まで絞ったが、4~6戦目の3試合を再びS・バンタムで戦い、2018年7月以降バンタム級に定住。ガールフレンドとは正式に結婚して、トレーナーのドエルは二人目の父親となる。
2024年の年明け、当時WBAのベルトを保持していた井上拓真への指名挑戦権を得るも、堤聖也(角海老)との邦人対決の交渉が進み、同年10月13日に有明アリーナで相まみえると、戦前の予想を覆すアップセットで堤が載冠。
すると2ヶ月後の12月13日、第二の故郷フロリダでWBA9位のウィンストン・ゲレロ(ニカラグァ)を10回TKOに下して、WBAの暫定王座に就く。実父ホセと養父ドエル、そして愛する夫をサポートする為、自らの意思で現役を退いた妻の夢を叶えた。
トップランクとの契約がひと段落着くのを待って、プロモーターとして本格的に始動したジェイク・ポール(MVPプロモーションズ)とテンポラリーの契約を締結。新チャンピオン堤との団体内統一戦も内定したが、比嘉大吾(志成)との激闘を三者一致のドローで切り抜け、初防衛に成功(2025年2月/有明アリーナ)した堤が、左眼の古傷をカミングアウト。手術(病名や症状を含めた詳細は未公表)を理由に戦線離脱する。
堤の休養王者扱いが決まった昨年5月~6月にかけて、正規王者への昇格に続いて、マッチルームUSAとの正式契約を公表したヴァルガスは、本意して復帰を決めた比嘉との初防衛戦に合意。
常軌を逸した熱波に苦しむ日本の土を踏み、7月30日に新装なった横浜BUNTAIに登場。第4ラウンドに比嘉の左フックを痛打されて先制のダウンを奪われるも、丁寧にラウンドを進めて挽回。最終12ラウンドに起死回生の右カウンターを決めて倒し返し、三者一致のドローに持ち込み虎の子のベルトを死守した。
フライ級時代の体重超過事件の後、丸々1年のサスペンドを経てバンタム級に増量。ジムを移籍して再起した比嘉は、日本王者になる前の堤との10回戦をドローで終え、関西の新星,西田凌佑(六島)に12回0-3判定負け。
西田と同門のストロング小林佑樹から奪ったWBOアジア・パシフィック王座を失い、その後はタイ人選手とのテストマッチが続き、冴えないパフォーマンスに終始。2024年9月に、武居由樹(大橋)のWBO王座挑戦がまとまり、12回0-3判定負け。
不利の予想にも関わらず、一進一退の白熱した攻防を繰り広げ、終盤11回にダウンを奪う大善戦で評価を持ち直しはしたものの、引退と再起を繰り返したことも影響して、王者陣営は、明らかに”終わった選手”とみなしていた。
ヴァルガスが身上にする、豊富なアマ経験に裏付けされた正攻法のボクサーファイトも、比嘉の勝機をより薄く感じさせるのに十分な効果を発揮したが、不退転の決意で臨む比嘉のプレスを自慢の技術で捌き切れず、想定を超えて苦闘を強いられる姿に、プロモートするエディ・ハーンは落胆を隠し切れず、総じて評価を下げたのは間違いない。
◎発表会見(ハイライト)
2026年4月24日
●●●●●●●●●●●●●●●●●●
対するバムのデビューは、ヴァルガスより1ヶ月遅い2017年3月。何と105ポンドのミニマム級だった。前年まで最軽量のL・フライ級で活動していたバムは、全米トップクラスのアマチュア有望株とは言え、実績はジュニア&ユースに限定され、おぼこさが残る弱冠17歳の美少年。
2戦目でL・フライ級に上げると、何故か5戦目のウェイトが126ポンド超えのS・フェザー級。しかも対戦相手は、さらに5ポンドも重い131ポンド超のライト級。何があったのか、どんな意図と狙いだったのかはわからない。
続く6戦目でいきなり114ポンド(S・フライ級リミット-1ポンド)まで落とし、その後は108ポンドアンダーのL・フライ級で2試合やり、S・フライ級とL・フライ級の間を行き来しながらキャリアを進めて、念願の世界タイトル初挑戦が叶ったのが2022年2月。
ピークアウトしながらも、驚異的なタフネスと打たれ強さで、しぶとく世界戦線に生き残るカルロス・クァドラスとのWBC正規王座決定戦。正規王者のファン・F・エストラーダ(メキシコ)が、判定にケチの付いたロマ・ゴンとの決着戦を優先する為、指名戦回避を目的にマウリシオ・スレイマン会長に直訴。自らフランチャイズ王者への横滑りを申し出て、首尾良く承認されたという次第。
エストラーダに指名挑戦することになっていたのは、同じく元王者のシーサケット・ソー・ルンヴィサイ。クァドラスとの王座決定戦がお膳立てされ、何もかもが整ったと思いきや、タイのヒーローが武漢ウィルスに感染。
本番1週間前のドタキャンを受け、108ポンドのL・フライ級契約(!)で、同じリングに登る予定だったバムに急遽お鉢が回ってきた。
「ムチャするなあ・・・」
2階級超えのピンチヒッター起用を聞いて、素直にそう思った。歴戦のダメージと疲労に加齢が重なり、ピークアウトして久しいクァドラスとは言え、フライ級ならまだしも、L・フライ級のリミットに合わせて調整してきたバムに、この緊急スクランブルは厳し過ぎやしないか。
でも、あらためてバムのレコードに目を通してみると、「けっこうウェイトを上げ下げして来てたんだな」と再認識。
前日計量後の大胆なリバウンドで大きく膨れ上がり、持ち前のフィジカル・タフネスをさらに増強してリング・インするクァドラスを前に、プロキャリア5年を経過してもなお、自らの主戦場を決め切れない(?)でいたバムは、明らかに細く頼りなく見えた。
若さに加えて、スピード&シャープネスを武器にクァドラス攻略に挑むバムだが、ボクシングはまだまだ直線的で、崩しのヴァリエーションも思いのほか少なく、ブロック&カバー主体のディフェンスはとても万全とは言えない。3~4発を上下に連射されたり、ちょっとしたフェイントでタイミングをズラされると被弾が増える。
まともに芯を食わせない反応とセンス、鋭いワンツーとコンビネーションの精度の高さに、「王国アメリカで太鼓判を押されるだけのことはある」と感心はするものの、元チャンプの巨体(?)を持て余す場面も散見された。
無事に12回3-0(115-112,117-110×2)の判定をモノにしたが、先行きに不安を残したのも事実。
しつこく変異を繰り返して、容易に収束しないウィルス感染から回復したシーサケットの挑戦を8回TKOで一蹴し、ロマ・ゴンとカル・ヤファイ(英)に善戦した大型のメキシカン,イスラエル・ゴンサレスを0-3判定(109-118,110-117,113-114)に退け、2度の防衛に成功したバムは、115ポンドの調整にも慣れて、頼りなかった上半身も厚さを増した。
「これなら何とやっていけるかも・・・」
◎ファイナル・プレス・カンファレンス
◎フル映像
https://www.youtube.com/watch?v=VknIJQhJ0Bs
●●●●●●●●●●●●●●●●●●
◎112ポンドへの出戻りと2団体統一・・・そして再び115ポンドへ
ハーンと周囲を安心させつつあったバムだが、V2から1ヶ月経った2022年10月、ベルトの返上とフライ級への階級ダウンを表明。S・フライ級への進出を決めた中谷潤人の返上により、空位となったWBO王座の決定戦をハーンが買い取る。
用意された相手は、またもや大型のメキシカン,クリスティアン・ゴンサレス。公称168センチのイスラエルより、さらに大きい172センチを公言。
112ポンドで仕上げたバムは、サイズとウェイトがぴったり合っていて、長身のメキシカンにも当たり負けしない。S・フライ級でいまいち決定力を発揮できなかったパンチング・パワーも、明らかに威力を増していた。
退いて堅く守りながら、適時強打を打ち返して来るメキシカンを崩し切れず、フルラウンズを生き延びられはしたが、終始圧力をかけ続けて、明白な3-0判定勝ち(118-110,117-111,116-112)。しかし、2階級制覇を達成したバムに、顎の骨折が判明。どんなに優れたボクサーでも、前がかりになれば、どうしてもディフェンスへの意識が不足する。
終盤にゴンサレスのジャブを貰ってバランスを崩し、腰から落ちかけて手を着いたが、レフェリーの配慮(?)に助けられる(スリップ裁定)一幕もありつつ、顎の骨折という重症をおくびにも出さず、ポーカーフェイスを貫き、最後まで前に手続ける精神力に驚かされた。
「メンタル・タフネスだけは、我らがモンスターに比肩し得る。」
エディ・ハーンが本国でハンドリングするIBF王者サニー・エドワーズ(英)との統一戦が決まり、2023年12月にアリゾナ州グレンデールで激突。9回終了後のギブアップに追い込み、首尾良く2本のベルトをまとめると、S・フライ級に出戻って、現代メキシコの軽量級を牽引してきたエストラーダを粉砕してWBC王座に復帰。
WBCから暫定王者の承認を受けるペドロ・ゲバラを問題にせず(3回KO)、田中恒成からWBO王座を奪取したプメレレ・カフ(南ア)も10回TKO(タオル投入)に屠り、フライ級に続く2団体統一に成功すると、昨年11月にはリヤドへの参戦を果たし、井岡一翔を連破した南米のパワーハウス,フェルナンド・マルティネス(亜)に10回KO勝ち。WBA王座を吸収して3団体を統一。
S・フライ級のベルトを放棄せず、保険をかけた状態で3階級制覇に臨むとばかり思っていたら、3本すべてを綺麗に返上。確かな自信と手応えを見せつける一方で、いよいよ盛り上がる対モンスターの機運を落ち着かせるべく、チーフのガルシアに「そんなに焦りなさんな」と言わせる手堅さ。
世界戦を9試合経験したバムは、直線的だったステップに左右への動きが加わり、直立しがちな上半身にも相応の柔軟性が垣間見られ、頭の位置を一定にしない工夫が定着。無理のないフィジカルの強化が奏功して、バンタム級参戦への準備は万端に見える。
井岡一翔との2連戦で一旦キャリアを終えた実兄ジョシュア・フランコ(復帰の可能性はゼロではない)とともに、10代半ばを過ぎたばかりのバムを青田買いした本田会長の目利きは、確かに間違っていなかった。そして、今に至るまで手放していない。
長らく傘下に収めていたクァドラスを、ここぞという場面でバムの生贄にして、さらには三顧の礼で帝拳ジムに迎えた坪井智也にも与える。
ボクシング・ビジネスの酸いも甘いも噛み尽くし、手駒として取って置いた老雄クァドラスを骨までしゃぶった本田会長が、モンスターとの最終決戦に何時ゴー・サインを出すのか。
近代ボクシング発祥の地、英国のマーケットを牛耳るマッチルームの親方エディ・ハーンの思惑も絡みながら、今後の交渉の行方(加速するも減速するも)は、すべてヴァルガス戦の内容と出来が握っている。
アマチュアのキャリアと実績は、プロでの成功を確約保証してはくれない。そんなことは百も承知の上で、それでも敢えて比較の対象にするなら、ジュニア・ユース限定のバムは、オリンピアンのヴァルガスには遠く及ばない。
さて、拙ブログ管理人の勝敗予想は・・・。小~中差の判定でバム。2-1のスプリットも有り。サイズの違いがもたらす影響の多寡に大きく左右されるのはしようがないにしても、サイズに優るヴァルガスが距離のキープを最優先に、バムが最も得意にする近めのミドルレンジをクリンチワーク込みで封じ込める”負けない戦術”に徹したら、そう簡単に崩せないとの見立て・・・。
◎ヴァルガス(29歳)/前日計量:117.6ポンド(53.3キロ)
戦績:22戦19勝(11KO)1敗1分け1NC
アマ戦績:125勝7敗(123勝7敗説有り)
2016年リオ五輪フライ級代表(ベスト8敗退)
※金メダルを獲得したシャホビディン・ゾイロフ(ウズベキスタン)に0-3ポイント負け
2015年リオ五輪米国最終予選優勝
2015年全米選手権優勝
2014~2015年ナショナル・ゴールデン・グローブス優勝
2014年ユース全米選手権準優勝
2013年ユース全米選手権優勝
※決勝でシャクール・スティーブンソンに1-2ポイント負け
2015年パン・アメリカン・ゲームズ金メダル
2014年ユース・パン・アメリカン選手権金メダル
※階級:フライ級(52キロ)
WSB(World Series of Boxing):2戦2勝
身長:166センチ,リーチ:168センチ
右ボクサーファイター
◎バム(26歳)/前日計量:117.6ポンド(53.3キロ)
戦績:23戦全勝(23KO)
世界戦:9戦9勝(6KO)
※5連続KO勝利継続中
アマ戦績:
2015年ジュニア世界選手権(U17/サンクトペテルスブルグ,ロシア)ピン級(101ポンド/46キロ)銀メダル
※決勝でルーマニアのコスミン・グルレヌ(東京五輪フライ級代表/初戦敗退)に0-3のポイント負け
2016年全米ジュニア・オリンピックL・フライ級(48キロ)優勝
2016年ジュニア全米選手権(U17)L・フライ級(48キロ)優勝
※大会の優秀選手賞を受賞
2015年ジュニア全米選手権(U17)ピン級(46キロ)優勝
2014年ナショナルPAL(95ポンド/43キロ)優勝
2013年ナショナルPAL(85ポンド/38キロ)優勝
身長:163センチ,リーチ:170センチ
左ボクサーパンチャー
◎前日計量
◎フル映像
https://www.youtube.com/watch?v=NezpXcgabGA
あくまで公称だが、両雄の身長差は僅か3センチ。リーチはバムの方が長い。それでも、向かい合うとこれだけ違う。猫背気味のバムが、実際より低く見えてしまう点を割り引いてもなお、この差はけっして小さくはない。
S・バンタムでプロ生活をスタートしたナチュラルなバンタムのヴァルガスと、ミニマムで始めて、L・フライ~S・フライの間を行き来しながら、定住すべき主戦場をなかなか決められなかったバム。水分+食事の補給と一晩の休息によるリカバリーで、2人の身体がどこまで変わるのか。
●●●●●●●●●●●●●●●●●●
■オフィシャル:未発表
●●●●●●●●●●●●●●●●●●
■エリート選手の悲喜こもごも
2015年の世界選手権で、凋落の一途を辿る王国アメリカ・アマ界復権の一翼を担ったバムを3-0で打ち破り、アンダー17の世界一になったコスミン・グルレヌ(ルーマニア)は、母国ボクシング界の期待通りに成長。
1年遅れで開催(無観客)された東京五輪の代表として来日したが、1回戦(R32)でブルガリア代表のダニエル・アセノフに0-5の完封負け。その後メキシコに渡り、2023年1月にプロデビューを果たすと、4月~11月まで7ヶ月のブランクを挟み、翌2024年2月まで同地で4連勝をマーク(すべて判定勝ち)。
どういう経緯でメキシコ行きになったのかはよくわからないが、パリ五輪でのメダル獲得に舵を切り、アマチュアに復帰するも出場権を獲得できなかった。昨年暮れの国内選手権にも出場しているが、実弟ダニエル(ジュニアの欧州チャンピオンになった)とともに、地元で少年少女たちを教えるなど、指導者としての活動もスタートしている。
公式インスタグラムのフォロワーが12万人だと言うから、彼の地ではそれ相応の人気と認知を得ているのだろう。まだ26歳と若く、腕の良いマネージャーが付いてくれれば、プロのリングに舞い戻る可能性もゼロではなさそう・・・?。
リオ五輪のフライ級を制したウズベクの雄,シャホビディン・ゾイロフも、2019年5月に中東ドバイでプロの初陣を飾り、デンマークとサウジでも勝って3連勝(1KO)を記録。その後、東京五輪での連覇を目標に掲げてアマに復帰。
9月にエカテリンブルグで行われた世界選手権を制して、1年遅れの東京大会に連続出場を果たすも、ベスト8でフィリピンの伏兵カルロ・パーラムに0-4のポイントを失い、よもやの敗退。
パリでの復活に懸けて、バンタム級に上げてアマでの活動を継続したが、こちらもまた連覇を目指した2021年の世界選手権(ベオグラード開催)で、坪井智也(自体校)に2-3の惜敗。2回戦で姿を消す。
再びプロのリングに戻り、2022年と2023年に1試合づつを戦った(5連勝/3KO)が、以降はIOCから完全に切られたIBA(AIBA)のイベントに参加するなど、いわゆる”アマのプロ”として現役を継続中。
大金星の坪井は、そのままの勢いで突っ走り、日本ボクシング史上初の世界選手権金メダリストとなり、パリ五輪でのメダル獲得を確実視されながら、世界最終予選を体調不良で棄権。オリンピックの檜舞台に立つことなく、昨年1月帝拳ジムと契約してプロ入り。
3月に異例の8回戦デビューを果たし、3戦目で元世界王者のカルロス・クァドラス(メキシコ)に8回TKO勝ち。タフで鳴らしたクァドラスに引導を渡した(試合後引退を表明)。
深刻な眼疾をカミングアウトし、現役に別れを告げた田中恒成(畑中)に並ぶ、5戦目での世界タイトル獲得(国内最速記録)を視野に、今年4月11日の両国国技館興行で、これもまたベテランの元世界王者ペドロ・ゲバラ(メキシコ)と対戦。
想像を超えて良い仕上がりのゲバラに、好試合の予感が湧き上がるも、第2ラウンド早々のバッティングでゲバラがダウン。そのまま立ち上がることができず、負傷ドローの裁定が下る(後にノーコンテストに変更された)。







