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■5月24日/インテックス大阪5号館,大阪市住之江区/IBF世界M・フライ級タイトルマッチ12回戦
王者 ペドロ・タドゥラン(比) 判定12R(2-1) 前王者/IBF4位 重岡銀次郎(日/ワタナベ)

勝者タドゥランが告げられた瞬間、国家演奏の時のように左胸に手を当てて天を仰ぐ銀次郎

◎【検証】ホールディング状態での加撃:第1戦と第2戦の共通点及び相違点
■第1戦■
□試合映像:タドゥラン 9回TKO 銀次郎
2024年7月28日/滋賀ダイハツアリーナ(滋賀県大津市)
オフィシャル・スコア(8回まで): 78-74×2,77-75
IBF世界M・フライ級タイトルマッチ12回戦
ttps://www.youtube.com/watch?v=SiWHjh13J88

第1R-無し

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第2R-1回
1回目
残り33秒~27秒

ホールド状態での加撃-第1戦-第2ラウンド hspace=

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第3R-無し
1分19秒~1分15秒(経過時間:1分41秒~1分54秒/以下同様)
銀次郎の劣勢が明確になったラウンド。タドゥランの両腕を銀次郎が抱え込む状態となり、両者ともパンチが出ない状況。タドゥランは左腕を抜いてパンチを打とうとするが、銀次郎がこれを阻む。2秒を経過(1分17秒)したところで、膠着状態と判断した主審ウィリスが「ノー・ホールド!」の声を掛ける。

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第4R-無し

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第5R-1回
2回目
1分29秒~1分23秒(1分31秒~1分37秒)
右腕を抱え込まれる格好となったタドゥランが、しっかりディフェンスできない銀次郎のボディから顔面に7連打。銀次郎が右を1発振り返してタドゥランの加撃が一旦止まるも、さらに2発を追撃。主審ウィリスは「ノー・ホールド!」の声を掛けてはいるものの、止めに入ろうとせず、理解に苦しむレフェリング。実況の高柳アナが、「ちょっと今の反則だよね。3発ぐらい」と発言。

ラウンド終了後のインターバル中、リプレイで問題の場面が流される。高柳アナがあらためて「これはダメですよね?」と指摘。エキサイトマッチでの経験は伊達ではないと感心したが、解説の大毅はルールに関する理解と認識が皆無なのか、あるいは流し見してしまっていたのか、いずれにしろまともに呼応できない。止む無く高柳アナが「重岡選手も手をかけていましたからね」とフォローする始末。

ホールド状態での加撃-第1戦-第5ラウンド

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第6R-無し

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第7R-無し

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第8R-無し
1分19秒~1分14秒(1分41秒~1分46秒)
※銀次郎がタドゥランの右腕を抱え込む状態で密着。「また打たれる・・・」と肝を冷やしたが、ここはクリンチしたままタドゥランも手を出さず、5秒ほどで離れて事無きを得た。

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第9R-2回
2分4秒~1分51秒(56秒~1分09秒)
※被弾した銀次郎が腰を折ってタドゥランに抱きつき、上からタドゥランが圧し掛かり、そのまま上から潰される状態で銀次郎が膝を着く。主審ウィリスが下に下げた両腕を交差して、ノックダウンではないことを明示。しかし、ダメージが深い銀次郎はすぐに起き上がれない。何とか立ち上がった銀次郎に、主審ウィリスが「OK?」と2回確認。再開となったが、ここで止めて良かった・・・と今だから言える結果論・・・。

【3回目:最も危険な問題のシーン】
1分34秒~1分27秒(1分26秒~1分33秒)
※タドゥランが抱え込まれた右腕を強く押し込み、銀次郎をロープに釘付けにして6連打。第5ラウンド、高柳アナの問いかけに反応できなかった解説の大毅が「これはダメ」「これはダメです」と声を上げる。「これは反則を取ってもいいんじゃないですか」と高柳アナ。6連打を黙認したウィリスが分けて再開後、高柳アナが「押さえつけて殴ってはいけないということです。」と視聴者向けに説明。

ホールド状態での加撃-第1戦-第9ラウンド

4回目
1分21秒~1分18秒(1分39秒~1分42秒)
同じ態勢になり、タドゥランが軽めの左アッパーを1発。すぐに離れてくれたので、ホっと胸を撫で下ろす。

残り12秒、またもやロープに押し込まれる銀次郎を見て、主審ウィリスが割って入りストップ。タドゥランのTKO勝ちとなった。


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■第2戦(合計35回)■
□試合映像:タドゥラン 12回判定 銀次郎
2025年5月24日/インテックス大阪
オフィシャル・スコア: 78-74×2,77-75
IBF世界M・フライ級タイトルマッチ12回戦
ttps://www.youtube.com/watch?v=po1fZ-erYJ0

第1R-無し

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第2R-無し

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第3R-1回

1分16秒~1分8秒(経過時間:1分44秒~1分52秒)
予兆:タドゥランが頭から密着→ボディ→さらなる密着→クリンチ
※主審フィッチはタドゥランに対してバッティング(ヘッドバット)の注意のみ

1回目
残り6秒付近~
※密着している時間が短く、殴打もさほど強くなかったこともあり、主審フィッチは無言で観察するのみ。

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第4R-3回
2回目
1分58秒(1分02秒)

3回目
0分50秒~0分42秒(2分10秒~2分18秒)
※銀次郎が右腕を抱え込む格好でロックされ、タドゥランが左を5連打。一旦離れかけるもさらにもう1発。主審フィッチはここでも無言。ウィリスのように「ノー・ホールド」と声を掛けることもなく、ただ観察(傍観)するのみ。

4回目
0分31秒~0分27秒(2分29秒~2分23秒)

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第5R-2回
5回目
1分57秒~1分55秒(1分3秒~1分5秒)

【6回目:最も危険な問題のシーン】
残り10秒~
第2戦・第5ラウンド終了間際

第2戦・第5ラウンド終了間際/主審フィッチの黙認は変わらず

※ロープに押し込んで打つ、第1戦と同じ危険なパターンが再現。タドゥランは左を7発も連射。主審フィッチの黙認は相変わらず。
※インターバル中に当該場面のスロー・リプレイが流れ、解説の高柳アナが「これ、重岡選手もあのー、ちょっと雑な押さえ方をすると打ち込まれますよね?」と発言。解説の内山高志が「そうなんですよ」と呼応。すると大毅が「ストップって言われないとずっと打てるんですよ」と続く。

第1戦の第9ラウンドでは、「反則を取ってもいいんじゃないですか?」と言っていた高柳アナ、「これはダメ」と言葉を言した大毅も大きく後退。新たに解説に加わった内山には、非常に言いづらそうなニュアンスが感じられた。ひょっとしたら、「タドゥランのこの行為は反則に当たらない」という主旨の事前確認か、それに近い申し合わせがあったのかもしれない。

ABEMAの単なる自主規制でも大きな問題になると考えるが、JBCとIBFの見解に基づいていたか、そこまでではないにしても、JBCが何かしら関わった上での対応だったとしたら、これは由々しき事態ではないのか。

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第6R-5回
7回目
1分02秒~0分56秒(1分58秒~2分04秒)
第2戦・第6ラウンド

8回目
0分49秒(2分12秒)

9回目
0分33秒~0分30秒(2分27秒~2分30秒)

10回目
残り6秒付近~
※左拳で銀次郎の首を軽く押さえた直後、押さえる拳を右に変えて左で打つ
一旦右拳を離したタドゥランだが、一瞬右拳でもう一度押さえようとする

※終了ゴングが鳴ってコーナーに戻る銀次郎がアップになり、椅子に座る前にトップロープを両手で掴み、首を2回上下に動かしている。銀次郎の瞳は第4Rの2回目時点ほど空ろではない

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第7R-2回
1分32秒~1分27秒(1分28秒~1分33秒)
※銀次郎の上半身が折れ曲がり、頭がベルトラインまで下がると、タドゥランが上から押さえ込んでいる(プッシング)と判断され、レフェリーも止めに入る。
レフェリーが分ける際、下がるタドゥランに引きずられる格好で銀次郎が片膝を着く。

11回目
0分57秒(2分03秒)
※銀次郎が上体を起こして両腕をタドゥランの脇に刺し込み難を逃れる。意識してやったというより、半ば無意識の習慣的反応、反射的な動作ではないかとも思われる。

0分48秒~0分46秒(2分12秒~2分14秒)
※銀次郎の左をタドゥランがダックしてかわし、銀次郎が上から押さえ込む格好になったが、銀次郎はパンチを打つことなくすぐに離れている。クリーン or ダーティという話ではなく、これが日本の選手の一般的なやり方(慣習・スタンダード)になる。おそらく、日本の指導者(プロ)も、プッシングやホールドした状態での可撃を意図的に教えたり、指示することは無い筈。善悪の話ではなく勝負観の違い(日本人に特有の)。


12回目
残り3秒付近~

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第8R-8回
13回目
2分39秒~2分35秒(21秒~25秒)

14回目
1分58秒~1分55秒(1分02秒~1分05秒)
※左アッパーを察知した銀次郎が一瞬早くステップアウト。ここは反応良くかわすことができた。

15回目
1分53秒~1分49秒(1分7秒~1分11秒)
※1分42秒(経過:1分18秒)高柳アナが「片手だけのクリンチっていうのは危ないですよね」と指摘

第2戦・第8R

16回目
1分42秒~1分41秒(1分18秒~1分19秒)
※同じ態勢で左を1発打たれた銀次郎が、直ちにステップアウトして離れる。これに@プラス、両腕でタドゥランにしっかり組み付きブレイクを促す(待つ)。この両方を、戦術・対策として徹底して欲しかった。

17回目
1分37秒~1分35秒(1分23秒~1分25秒)
※ここも1発下から打たれた銀次郎が素早くステップアウト。タドゥランは逃げる銀次郎目掛けて2発目のフックをダブルで放ったが上手くかわした。

18回目
0分48秒~0分45秒(2分12秒~2分15秒)
※1発右のわき腹を打たれた銀次郎がスムーズにステップバック。

19回目
残り20秒~18秒
※タドゥランが左を打ちに行こうとしたが、銀次郎が回りこんでクリンチの態勢になりブレイク。これも意識的に回避したというより、練習と経験で身に付いた自然な対応との印象。

20回目
残り4秒~
※4発打たれていてかなり危ない場面。

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第9R-5回
21回目
2分28秒~2分23秒(32秒~37秒)
※後半~終盤に入りタドゥランのしつこさが増す。7発連打した。

※また同じ態勢になりかけたが、銀次郎の頭がベルトラインまで下がり、プッシング(上から押さえ込む)と判断されレフェリーが割って入る。この状態になるとタドゥランも反則のチェックを避ける為にパンチは出さない。
2分10秒~2分05秒
50秒~55秒

22回目
2分01秒~1分56秒(59秒~1分4秒)
※再開直後にタドゥランが同じ態勢に持ち込む。左6発+右1発の計7発を連打。
さらに、回り込む銀次郎に合わせて身体を回転させ、離れ際を狙って左を追撃するタドゥラン。当たらなかったが、この態勢が自分にとって有益なことを充分理解した動き。

1分51秒~1分49秒(1分09秒~1分11秒)
※同じ態勢を狙うタドゥラン。すかさずステップバックしてかわす銀次郎。

1分05秒(1分55秒)
※消耗が顕著な銀次郎。反応が鈍り、眼が虚ろになる。正面の同じ位置に留まる。ワンツーをかわし切れなくなる。

23回目
0分54秒~0分46秒(2分06秒~2分14秒)
※1発打って離れた後、すぐにくっついて3連打するタドゥラン。当たらなかったが、離れ際にも1発追加。

第2戦・第9R

24回目
0分40秒~0分31秒(2分20秒~2分29秒)
※強烈な左のカウンターを浴びて動きが止まり、同じ態勢に持ち込まれて2発打たれる銀次郎。ここは流石に右を打ち返す。さらに自分からクリンチに持ち込み、離そうとしないタドゥランの腹にも軽く左を1発打ち返した。

25回目
0分24秒~0分22秒(2分36秒~2分38秒)
※2発打たれた銀次郎が大きくステップアウトして離れる。

※ラウンド終了後コーナーへ戻る銀次郎のアップ。大きく口を開けて、苦しそうに肩で息をする。スタミナも限界を迎えつつある。
※インターバル中のスローVTRで、ホールド状態から加撃する場面のスローリプレイが流れ、高柳アナが「こういう形で打ってもポイントになるんですか?」と問うも、焦点のズレた話に終始する2名の解説者。

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第10R-5回
26回目
2分50秒~2分48秒(10秒~12秒)
※軽めの左を2発打たれて、すぐにステップバックする銀次郎。

27回目
2分48秒~2分45秒(12秒~15秒)
※4発打たれた銀次郎が離れ際に右を打ち返す。惜しくも空振りに終わる。これを前半3~4R中にやっておきたかった。

28回目
2分17秒~2分12秒(43秒~48秒)
※3発打たれた銀次郎がダック。頭がベルトラインまで下がり、プッシング状態でブレイク。離れ際に銀次郎が右を軽く返した。

29回目
1分57秒~1分53秒(1分03秒~1分07秒)
※クリンチの離れ際、完全に無防備な状態で右アッパーを貰う銀次郎。ショートでもタドゥランのパンチは鋭さを失っておらず、ダウンしてもおかしくない危ない状況。疲労と消耗で集中が途切れがちになっている為、止むを得ない面はある。

1分10秒~1分08秒(1分50秒~1分52秒)

30回目
残り10秒~
左ストレートをダックでかわした銀次郎を、右腕で上から抑えながら左を2発打つタドゥラン。銀次郎が右アッパーを返してすぐにステップバック。深追いの回避を徹底する。疲労困憊しても戦術的ディシプリンを維持し続ける銀次郎の姿に、胸が締め付けられるのは私だけではない筈。時間をかけて練り上げたプランを、身体が覚え込むまで反復練習を繰り返し、追い込みのキャンプでしっかり仕上げたからに他ならない。

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第11R-3回
31回目
1分59秒~1分55秒(1分01秒~1分05秒)
第2戦・第11R

32回目
1分34秒~1分32秒(1分26秒~1分28秒)

33回目
0分33秒~0分30秒(2分27秒~2分30秒)

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第12R-2回
34回目
2分33秒~2分24秒(27秒~33秒)
※勝利を確実にする為、猛然と前に出て大きめのパンチを振るうタドゥラン。開始直後のこの場面、タドゥランは矢継ぎ早に9発銀次郎に打ち込んだ。銀次郎の方からくっついてブレイクとなったが、正直この時は生きた心地がしなかった。
レフェリーは2人を分ける際、タドゥラン→銀次郎の順番に「相手の後頭部を腕で押さえるな」と両雄に注意を与えているが、「いや、そこじゃないだろ!」と思わず画面に向かって叫びそうになった。

35回目
2分14秒~2分11秒(46秒~49秒)
※さらに肝を冷やしたシーン。銀次郎がロープを背負う状態で同じ態勢になり、タドゥランが2発左を見舞うと、3発目のテイクバックでタドゥランの右腕の抑えが甘くなった一瞬を逃さず、銀次郎がロープに背中をぶつけるようにスウェイしながら右ショートフックでカウンターを合わせに行く。残念ながらタドゥランを下がらせるまでには至らなかったが、クリンチに持ち込んで事無きを得る。おそらく咄嗟に出た反応だと確信するが、銀次郎のセンスに思わず唸ってしまった。

※2分06秒(1分54秒)
クリンチからまた同じ態勢になりかけたが、銀次郎が瞬間的に絡んだ右腕を振り解きながらステップバック。これも序盤にやって貰いたかった。

※1分45秒(1分15秒)
クロスレンジでの打ち合いを嫌った銀次郎が、低くした頭をタドゥランの開いた右脇の下に突っ込むようにクリンチに行き、そのまま身体を起こしながら背後に回りこむ。タドゥランも身体を翻しながら左を打とうと弱冠距離を開けたところへ銀次郎が右ボディを放つ。これもまた、「ホールド状態での左パンチ」に対する有効な対策になり得たのではないか。


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◎タドゥラン(28歳)/前日計量:104.5ポンド(47.4キロ)
※当日計量:114.9ポンド(52.1キロ)/IBF独自ルール(リミット:105ポンド+10ポンドのリバウンド制限)
(4回目でパス/1回目:52.4キロ,30分後2回目:52.3キロ,+100分後3回目:52.25キロ)
元IBF M・フライ級王者(V2)
戦績:23戦18勝(13KO)4敗1分け
世界戦:7戦3勝(2KO)3敗1分け
アマ通算:約100戦(勝敗を含む詳細不明)
身長:163センチ,リーチ:164センチ
血圧:137/102
脈拍:56/分
体温:36.1℃
※計量時の検診データ
左ボクサーファイター


◎銀次郎(25歳)/前日計量:104.9ポンド(47.6キロ)
※当日計量:114.2ポンド(51.8キロ)/IBF独自ルール(リミット:105ポンド+10ポンドのリバウンド制限)
現在の世界ランク:IBF4位/WBO10位
戦績:14戦11勝(9KO)2敗1NC
世界戦:6戦3勝(3KO)2敗1NC
アマ通算:57戦56勝(17RSC)1敗
2017年インターハイ優勝
2016年インターハイ優勝
2017年第71回国体優勝
2016年第27回高校選抜優勝
2015年第26回高校選抜優勝
※階級:ピン級
U15全国大会5年連続優勝(小学5年~中学3年)
熊本開新高校
身長:153センチ,リーチ:156センチ
血圧:125/70
脈拍:62/分
体温:36.6℃
※計量時の検診データ
左ボクサーファイター


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■オフィシャル

主審:チャーリー・フィッチ(米/ニューヨーク州)

副審:2-1で王者タドゥランを支持
ジル・コー(比):115-113
デイヴ・ブラスロウ(米/メリーランド州):113-115
中村勝彦(日/JBC):118-110

立会人(スーパーバイザー):ジョージ・マルティネス(カナダ/チャンピオンシップ・コミッティ委員長)


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