神々の階級に挑む 1 /「虎と戦うわけじゃない」 - A・クルス vs 三代大訓 プレビュー Part 2 -
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■6月14日/MSGシアター,N.Y./IBF世界ライト級挑戦者決定12回戦
IBF3位 アンディ・クルス(キューバ) vs IBF5位 三代大訓(横浜光)
IBF3位 アンディ・クルス(キューバ) vs IBF5位 三代大訓(横浜光)

◎東京五輪の覇者に集まる高過ぎる期待と不安
武漢ウィルス禍による甚大な被害を受け、1年遅れの開催となったオリンピックで、米国期待のキィショーン・ディヴィス(プロ・デビュー済み)を4-1のポイントで破り、見事金メダルの栄誉に輝いたアンディ・クルスは、米ロ及び旧ソ連を形成した旧共産圏とともに、アマの頂点を競い続けるキューバが輩出した新たな異能・異才。
2年おきに開催される世界選手権でも、2017年~2021年まで3大会連続で金メダルを獲っている他、パン・アメリカン・ゲームズや中米カリブ大会、パン・アメリカン選手権等々、出場した国際大会のほとんどで優勝している。
「出ると負け」ならぬ「出れば金」状態なのだが、キューバの国内選手権でも2016~2019年まで、L・ウェルター級で4連覇。我が国の柔道と同様、キューバにおけるボクシングは、「五輪と世界選手権のメダルより、ナショナル・チームに入る方が大変」と言われるほど競争が激しい。
申告されたアマチュア・レコードは、149戦140勝9敗。200~300戦の猛者がゾロゾロいるアマのトップクラスの中では、むしろ少ない部類に入る。ジュニア・ユースの時代から、突出した才能と将来性を認められていたということか。
黒人特有の高い身体能力(特に敏捷性)に依存した、異常なまでに発達した反応&反射が最大の特徴で、2000年シドニー~2008年北京までの8年間、2分×4ラウンド制を背景にアマの世界を席巻した”タッチ&ラン”を基本に、「打たせずに触れる」ボクシングを貫く。
ざっくりと言ってしまえば、ギジェルモ・リゴンドウと同じ方向性。ただし、ディフェンス第一主義に凝り固まり過ぎてしまい、プロモーターとファンの支持を失ったリゴンドウを反面教師にしたのか、プロ転向後のクルスは意識的に攻撃性を増している。
その分不用意な被弾がまったく無い訳ではないが、重大なトラブルに見舞われることもなく、2023年7月、長谷川穂積と繰り広げたWBCフェザー級王座決定戦での激しいバトルが懐かしい、37歳になったファン・カルロス・ブルゴス(メキシコ)をワンサイドの10回3-0判定に下し、首尾良く初陣をまとめ上げて以降、ここまで5戦全勝(2KO)を維持継続中。
史上最速となるプロ2戦目での世界奪取を目論んだロマチェンコも、初戦でいきなり10ラウンズを戦っているが、挑戦する以上世界ランキングに入らなければならず、ボブ・アラム率いるトップランクはWBOの下位ランカーを調達して、ローカル・タイトルを獲らせている。
実父バリー・ハーンから興行会社を引き継ぎ、短期間で英国最大のプロモーションにリ・ビルドしたエディ・ハーンは、必ずしもアラムに倣った訳ではないだろうが、ブルゴスとのデビュー戦にIBFのインターナショナル・タイトルを用意。
2~4戦目までの3試合すべてを防衛戦にして、承認料と引き換えにランク・アップを図り、直近(今年1月)の5戦目では、またまたWBAがデッチ上げた「コンチネンタル・ラテン・アメリカ」なるベルトも獲らせた。
◎直近の試合映像
A・クルス 10回3-0判定(98-92×2,99-91) オマール・サルシド(メキシコ)
2025年1月25日/コスモポリタン・ラスベガス
やや近めの中間距離で駆け引きを続けたら、三代にまず勝ち目は無い。得意のジャブを当てる事自体が難しく、空転させられるのがオチ。ならば一気に距離を潰して、密着したまま白兵戦に持ち込めるのか言えば、それもまた容易ならざる展開。
シャクールになぶりものにされた吉野修一郎、テオフィモ・ロペスに対する善戦と、フェリックス・ヴェルデホから挙げた大金星(9回TKO勝ち)がウソのように、ロマチェンコに蹂躙された中谷正義の悪夢が二重写しになって蘇る。
サイズのアドバンテージを頼りに、思い切って遠めのミドルレンジをベースラインにしつつ、無理に当てる必要はないから、前後左右の動きを止めずに軽めかつショートのジャブ&ワンツーを突き続けて、焦れたクルスが出て来るのを待ち、1発勝負の右カウンターに懸ける手も無くはない。
クルスの反射&反応のスピードは確かに図抜けているけれど、ボディワークとブロック&カバーの腕前は、ニコリノ・ローチェ,パーネル・ウィテカー,ウィルフレド・ベニテス,ロベルト・デュランら、史上に名高いディフェンス・マスターたちの水準には届かず、まったく手も足も出ない最悪のシナリオを回避できる可能性はある。
手厳しいブーイングを浴びることになりかねないが・・・。
戦前のオッズは、当然大差で金メダリストを支持。ただし、想像していた程の開きはない。まだ6戦目で底が見えていない、見せてくれていないとの杞憂(?)、経験値に対する懸念に加えて、プロとしての説得力にイマイチ欠けるとの主張も一部にはある。
□主要ブックメイカーのオッズ
<1>FanDuel
A・クルス:1600(約1.06倍)
三代:+660(7.6倍)
<2>betway
A・クルス:-1408(約1.07倍)
三代:+750(8.5倍)
<3>ウィリアム・ヒル
A・クルス:1/14(約1.07倍)
三代:13/2(7.5倍)
ドロー:20/1(21倍)
<4>Sky Sports
A・クルス:1/10(1.1倍)
三代:10/1(11倍)
ドロー:28/1(29倍)
「巧い。凄い。だけれども・・・」という訳だ。
無尽蔵のスタミナで膨大な手数を出し続け、一瞬たりとも止まることなく、イナズマのように速く鋭いステップで大胆に出はいりを繰り返しながら、相手を圧倒してギブアップに追い込むロマチェンコのような強さとは明らかに違う。
「そりゃ違うよ。だって、クルスはロマじゃない。求める方が間違っている。」
その通り。公称175センチのタッパは、実際のところもうちょっと低そう。リゴンドウが見せた呆れるほどの接近戦回避は、破滅的な打たれ脆さゆえの止むを得ない対策でもあったのだが、「ひょっとしたら、同じ理由がクルスにもあるのでは?」といぶかる者もいる。
◎ファイナル・プレス・カンファレンス(フル映像)
2025年6月12日/マッチルーム公式
https://www.youtube.com/watch?v=F4JW9cZVlYU
◎ySM Sporys による直前のインタビュー
あくまでプロ5戦の現在地における、まったく個人的な見解でしかないけれど、9割方の確率で三代は勝てないと思うし、4本に分かれたライト級のベルトのうち、クルスならどれか1つは必ず獲れる筈だが、スーパースタークラスに登り詰めることができるかと問われたら、そこは躊躇せざるを得ない。
プロの世界チャンピオンになれないまま、キャリアを終えたメダリストもたくさんいる。ヤン・バルテルミーとイェフゲン・キトロフは、天才の評価を得ていたにもかかわらず、修行段階で大きくつまづきメインを張ることすらできなかった。
三代が勝機を見い出すのは極めて難しく、客観的かつ冷静に戦力と素質の差を見つめれば、良くやったとしても一方的大差の判定負け。中盤~後半にかけてのストップも想定の範囲内になってしまう。
◎クルス(29歳)/前日計量:135ポンド
戦績:5戦全勝(2KO)
アマ通算:140勝9敗
■2020年東京五輪ライト級金メダル
■世界選手権
2021年ベオグラード(セルビア)金メダル
2019年エカテリンブルグ(ロシア)金メダル
2017年ハンブルク(独)金メダル
※階級:いずれもL・ウェルター級
2015年ドーハ(カタール)バンタム級ベスト8敗退
※銅メダルを獲得したドミトリー・アサナウ(ベラルーシ)に0-3ポイント負け
■ユース・ジュニア世界選手権
2012年ユース(イェレバン/アルメニア)L・フライ級ベスト8敗退
※決勝でアフマダリエフを破って金メダルを獲得したル・ビン(中国/プロ:4勝2敗と苦戦中)に13-16で惜敗
■パンアメリカン・ゲームズ
2019年リマ(ペルー)L・ウェルター級金メダル
2015年トロント(カナダ)バンタム級金メダル
■セントラル・アメリカン&カリビアン・ゲームズ(中央アメリカ・カリブ海競技大会)
2018年バランキージャ(コロンビア)L・ウェルター級金メダル
■パンアメリカン選手権
2017年(テグシガルパ/ホンジュラス)L・ウェルター級金メダル
■2024年キューバ vs フランス対抗戦(ヴァラデロ/キューバ)
五輪2大会(2016リオ・2020東京)連続銀メダルのソフィアン・ウーミア(プロ:6戦全勝3KO)に0-3ポイント負け(L・ウェルター級)
■キューバ国内選手権
2016年~2019年まで4年連続優勝(L・ウェルター級)
2014年バンタム級準優勝
※決勝でロベイシー・ラミレスにポイント負け
身長:175センチ
右ボクサー
◎三代(30歳)/前日計量:134.6ポンド
前日本ライト級王者(V2/返上),元OPBF S・フェザー級王者(V4/返上)
戦績:19戦17勝(6KO)1敗1分け
アマ通算:57戦41勝(4RSC・KO)16敗
松江工業高→中央大(主将)
2012年度インターハイ(北信越かがやき総体・新潟市体育館)/ライト級ベスト8
※優勝した李健太(り・ごんて/大阪朝鮮高級学校/現日本S・ライト級王者)にポイント負け
身長:177(179)センチ
※()内:Boxrecの身体データ訂正・更新済み
右ボクサーファイター
◎前日計量
◎前日計量(フル)
https://www.youtube.com/watch?v=56qb2Wot3sg
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□リング・オフィシャル:未発表
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◎試合映像:アマ時代
<1>東京五輪ライト級決勝
A・クルス 4-1 K・ディヴィス
2021年8月8日/両国国技館

<2>2019年パン・アメリカン・ゲームズ L・ウェルター級決勝
A・クルス 4-1 K・ディヴィス
2019年8月2日/リマ(ペルー)
https://www.youtube.com/watch?v=AGw8MbU6qmk
<3>2017年世界選手権L・ウェルター級決勝
A・クルス 5-0 イクボルヨン・ホルダロフ(ウズベキスタン)
2017年9月2日/ハンブルク(独)
https://www.youtube.com/watch?v=do1KjvnOy-w
<4>2015年パン・アメリカン・ゲームズ バンタム級決勝
A・クルス 3-0 エクトル・ルイス・ガルシア(ドミニカ)
2015年6月8日/トロント(カナダ)
※ガルシア:元WBA S・フェザー級王者(ラモント・ローチに大善戦して再評価)
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◎メイン及び主なアンダーカード
IBF J・ウェルター級王座に就いたリチャードソン・ヒッチンズ(27歳/19戦全勝7KO)が、元統一ライト級王者ジョージ・カンボソス・Jr.(豪)の挑戦を受ける。
ラッセル3兄弟の三男,ゲイリー・アントワンとリオ五輪代表の座(L・ウェルター級)を争い敗れた後、ルーツのハイチ国籍で代表権を獲得。リオの本番でまたもやゲイリー・アントワンとぶつかり惜敗し、無念の帰国を余儀なくされた後、マッチルームUSAと契約してプロ転向。
昨年6月の初挑戦(空位のWBC S・ライト級王座を懸けてA・プエリョに1-2判定負け)に失敗したゲイリー・アントワンを横目で睨みながら、半年遅れてIBF王座に挑んだヒッチンズは、王者リアム・パロ(豪)に首尾良く2-1判定勝ち。140ポンドの赤いベルトを巻く。
同じスプリット・ディシジョンでも、勝ちと負けはイコールで天国と地獄。しかしゲイリー・アントワンもさるもの。今年3月1日、ブルックリンの新名所バークレイズ・センターで行われたジャーボンティ・デイヴィス vs ラモント・ローチのセミ格で、メキシコの攻めダルマ,イサック・クルス相手に番狂わせを起こしたホセ・バレンズエラを大差の3-0判定に退けてWBAの王座に就いた。
ゲイリー・アントワンへの雪辱は勿論、WBC王者プエリョ(プエジョ),WBO王者テオフィモとの統一戦を視野に入れ、何としても負けられない初防衛戦に迎えた挑戦者は、ライト級の元統一王者で、140ポンドに鞍替えしたカンボソス。
世界中をアっと言わせたロマチェンコ攻略の直後、上から目線で粗っぽく攻め急ぐテオフィモから先制のダウンを奪い、しつこいインファイトに巻き込んでWBCを除く3本のベルト(+リング誌王座)を手中にしたまでは良かったものの、初防衛戦でデヴィン・ヘイニーに中~大差の0-3判定負け。ダイレクトリマッチもワンサイドの0-3判定で落としたカンボソスは、マネージャーとのトラブルが訴訟沙汰に発展。
無冠となった2023年は、7月のマイナー団体IBO王座戦のみで終わり、判定を巡って紛糾するオマケまで付く。昨年も5月のロマチェンコ戦(空位のIBF王座決定戦=絶対王者のラスト・ファイトとなる)1試合だけ。試合枯れが続いた。
直前の賭け率は、1対8~10と大きく差が開いている。2021年11月のテオフィモ戦以来、すっきりとした勝利から長らく遠ざかり、今年3月の140ポンド初戦(シドニーで24歳の中堅に12回3-0判定勝ち)でも、何の工夫も無く真っ直ぐ入って被弾を許す悪癖は手付かずのまま。
公称ではカンボソスより5センチ背が低い筈のローカル選手よりも、明らかに一回り以上小さく体格差が目立った。イマイチ冴えないパフォーマンスでファンを満足させるには至らず。
気が付けば年齢も31歳。階級アップによるコンディショニングへの影響も、プラスに働いているとまでは言い難く、「ピークアウトしてしまったのでは?」と、地元ファンの間からも寂しい声が聞かれ出したカンボソスの現状を思えば、これもまた致し方のないところ。
直前のオッズは、概ね1対8~9のワンサイドで黒人チャンプに傾く。
良くも悪くもアマチュア臭さの抜けないヒッチンズを、テオフィモ(175センチを公称しているがカンボソスより少し低かった)同様、得意のタフ&ラフに持ち込んでプレスをかけ続けられれば面白くなるけれど、クリンチワークで接近戦を殺され、後退のステップを詰め切れないと、ジャブ,ワンツーのタッチでポイントを奪われ続けて大差の判定を失いそう。
(おそらくは)良くて170センチそこそこのカンボソス(リーチ:175センチ)にとって、178センチ(リーチ:188センチ)を公称するヒッチンズとのサイズの違いは、文字通り「階級の壁」となって眼前に立ちはだかるだろう。
「無敗のまま10勝してプロボクシングのキャリアを終える」と話す42歳のウェルター級8回戦ボーイ、パブロ・バルデスは、ニューヨーク生まれのドミニカ系移民。麻薬の密売に関わった罪で、2010年~2018年まで8年間服役。うち半分の4年を独房で過ごしたという。
刑務所の更正プログラムでボクシングを選び、トレーニングを続けたバルデスは、出所後の2018年7月にプロデビュー。マブダチ(?)のエドガー・バーランガとのスパーで腕を磨き、武漢ウィルス禍の休止を挟んで積み上げた戦績は、10戦9勝(8KO)1NC。目標にしていた10戦全勝無敗での引退は叶わなかったが、ゴールの10勝目を懸けて8回戦のリングに上がる。
対戦相手のセサール・ディアスは32歳のペルー人で、こちらも9勝(4KO)1敗と戦績はいい。自身初となる米本土登場が殿堂MSG。5千人収容のサブアリーナとは言え、地域限定の遅れてやって来たニューカマーから、内容の伴った勝利を奪うことができれば、”ネクスト・ワン”への道も開ける。
42歳の元受刑者が掲げるもう1つの目標、「ローカルタイトルのチャンピオン」には辿り着けていないが、無事に10回目の勝利をマークしたあかつきには、前言通り永遠にグローブを脱ぐのか、ローカル王座挑戦への可能性を探るのか。エディ・ハーンがGOサインを出しさえすれば、主要4団体のどこでも何かしらのベルトを用意してくれるだろうが・・・。
オーストラリアに出現したヘビー級ホープ,テレモアナ・テレモアナ(27歳)は、198センチ+260~270ポンドの巨漢選手。7戦全勝全KOの余勢を駆って、いよいよ初渡米。同じく9連勝中(6KO)のニューヨーカー,アリーム・ホイットフィールド(35歳/183センチ+230~240ポンド)との6回戦でご機嫌を伺う。
2023年の世界選手権(タシケント/ウズベキスタン)で、復活したL・ミドル級の銅メダルを獲得したインド期待のニシャント・デヴ(24歳/プロ:1勝1KO)が、殿堂MSGで2戦目のリングに上がる。185センチのタッパに恵まれた長身サウスポーは、今年1月25日のラスベガス興行(コスモポリタン/ディエゴ・パチェコとアンディ・クルスがWメイン)でプロの初陣を飾ったばかり。
弱冠二十歳のS・フェザー級ホープ,ザクィン・モーゼス(175センチ/3勝2KO/サウスポー)が、プロ4戦目にして殿堂MSGに進出。全米選手権を3度制したシャクール・スティーヴンソンの従兄弟には、早くも130~135ポンドの2階級制覇への期待が懸かっている。
エディ・ハーンが売り出しに力を入れる18歳のアダム・マカ(英)が、いよいよプロデビュー戦に臨む。ユース&ジュニアで5度の全英選手権優勝(アマ時代の戦績を含めて年度・階級等の詳細は不明)を誇り、欧州選手権でも活躍したというマカは、アルバニア移民の家に生を受け、将来の世界チャンピオンを目指して幼い頃からボクシングに打ち込んできた。
試し斬りの生贄として調達されたのは、ラファエル・カスティーリョ(カスティージョ)という36歳になる無名のニューヨーカー。2勝(1KO)6敗(Boxrecの記載が正確なら)のレコード以上に、身長157センチの小兵が心配の種。レコード載る6戦は、バンタム級×2試合+S・バンタム×4試合。
十中八九3分以内に終わらせる目論みだろうが、1秒でも早くフィニッシュしようと雑に攻め込むと、思わぬ1発を貰ってたたらを踏み、デビュー戦を大失敗したロベイシー・ラミレス(キューバ)のテツを踏みかねない。4回戦はあっという間に終わってしまう。期待の大きさと殿堂MSGの雰囲気に呑まれないよう、メンタルのコントロールが重要になる。
公称175センチの右の本格派は、プロの初陣にバンタム級を選択。「118,122,126ポンドの3階級制覇は確実。何の問題もない。体格的にはライト級まで狙える。5階級制覇も夢じゃない」とほくそ笑むハーンの視線の先には、我らがモンスターの後ろ姿がくっきりと映っているに違いない。

