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■5月24日/インテックス大阪5号館,大阪市住之江区/IBF
世界M・フライ級タイトルマッチ12回戦
王者 ペドロ・タドゥラン(比) vs 前王者/IBF4位 重岡銀次郎(日/ワタナベ)



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※入力したコードの一部に誤りがあり、ブラウザや視聴環境によって正常に表示されない箇所、同じ内容が重複して表示される箇所が発生していました。修正済みです。
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ワンサイドのTKO陥落から10ヶ月。再起戦(調整試合)を挟むことなく、重岡銀次郎がリベンジに挑む。この間、どうしたことか新チャンピオンもリングに上がってはおらず、初防衛戦がダイレクトリマッチになった。

昨年3月、銀次郎より早くWBCのベルトを失った兄優大は、サミュエル・サルヴァ(比)とのテストマッチ(昨年8月)を経て、今年3月30日にメルヴィン・ジェルサレム(比)との再戦を敢行したが、僅少差の1-2スプリット(112-114×2,114-113)を落とした第1戦以上の差を付けられ、中~大差の0-3判定(109-119,110-118,112-116)で無念の連敗。

ジェルサレムが放つ電光石火のストレートに対して、「1年開いた試合間隔がプラスになった。対策はバッチリ。もう貰わない」と自信を見せたが、確かにその言葉通り、ジェルサレムの動き出しに敏感に反応して、ダックで外すディフェンスは機能した。前半戦だけは・・・。


優大のマイナーチェンジを読み切った前半~中盤にかけて、ジェルサレムは突破のタイミングに微妙な変化を付けて、リードのタイミングにも気を付けながら、時には優大の打ち気を誘い、ガードの開いたところを的確に打ち抜く。

実力者サルヴァとの復帰戦でも感じたことだが、チーム・シゲオカ(ワタナベジム)の修正能力に疑問を覚えた。結局のところ、正面に留まって真っ正直にワンツー,左のパターンを繰り返す、ボクシングのベースは変わっていない。入り方の工夫が決定的に足りない。

尊大なまでに過剰だった自信はかなり抑制されてはいたものの、まだそこかしこに見え隠れして、「”ちゃんとやれば”負けっこない」という、根拠がはっきりしない雪辱への手応えを述べていた。


昭和のトップボクサーたちのように、小刻みなウィービングにステップを連動させ、細かくリズムを刻みながらポジションチェンジを繰り返し、ジャブ&捨てパンチを惜しまず、可能な限りのフェイントも駆使して相手を崩す、プロのプロたる所以とも言うべき駆け引き、巧まざるインサイドワークは望むべくもない。

もっともこの抜本的かつ重大な欠陥は、重岡兄弟に固有の問題ではなく、洋の東西を問わず、現代のボクサーに共通する一般的な課題だと、拙ブログ管理人は個人的に整理・結論付けているけれども。

それはもう充分に分かっているつもりだが、ジェルサレムほど速くてキレるステップインもろとものストレートは、脚(距離&ポジション)で外すのが第一ではないのか。完全に対応し切る必要はなく、相手の出足を多少なりとも狂わせることが大事。

これはそっくりそのまま、タドゥランに対する銀次郎にも当てはまる。スピード&シャープネスのジェルサレムと、フィジカル&パンチング・パワーでガンガン圧をかけてくるタドゥランのスタイルは左右の構え(スタンス)も含めてまったく違う。

違うけれども、丁寧なボディワークの習得に期待と可能性を見出せない以上、基本的な対処法はフット(ステップ)ワークにならざるを得ない。


優大と同程度の対策では、文字通りボコボコにされて、意識が飛んだまま第9ラウンドまで立ち続けた前戦の過ちを繰り返すだろう。


◎第1戦試合映像:タドゥラン 9回TKO 銀次郎
2024年7月28日/滋賀ダイハツアリーナ(滋賀県大津市)
オフィシャル・スコア(8回まで): 78-74×2,77-75
IBF世界M・フライ級タイトルマッチ12回戦
ttps://www.youtube.com/watch?v=SiWHjh13J88

2ラウンズを銀次郎に振った(4ポイント差)オーストラリアとイタリアの副審に対して、フランスから招かれたジャッジは、3ラウンズを銀次郎に与えている。あれほど一方的な展開にもかかわらず。見方1つで実態からかけ離れてしまう、振り分け採点の根本的な欠陥をいまさらながらに痛感する。


直前のオッズは、思ったよりも接近していた。攻撃型であるが故に、タドゥランのディフェンス・ラインはけっして堅いとは言い切れず、銀次郎のパンチも当たる。

□主要ブックメイカーのオッズ
<1>FanDuel
タドゥラン:-144(約1.69倍)
銀次郎:+108(2.08倍)

<2>Caesars
タドゥラン:-150(約1.67倍)
銀次郎:+120(2.2倍)

<3>Sky Sports
タドゥラン:4/5(1.8倍)
銀次郎:13/10(2.3倍)
ドロー:16/1(17倍)


◎公開練習
<1>銀次郎
(1)

(2)2025年4月23日/サンケイスポーツ


<2>タドゥラン(関連記事)
<1>IBFミニマム級王者タドゥラン「重岡をもう一度KOする」と気合い十分
2025年5月21日/Boxing News
https://boxingnews.jp/news/112243/

<2>タドゥラン「もっと早く倒す」 IBFミニマム級
2025年05月20日/時事
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025052000792&g=spo


深手を負った初戦のショックは流石に大きかったようで、剥き出しの自信が影を潜めた。眼差しと表情はまるで別人。よく言えば「憑き物が取れた」となるし、「完全に自信を喪失したんじゃないのか」と、逆に取られる恐れもあって、謙虚であればそれでOKとならないところが勝負事の難しさ。

◎重岡銀次朗、プロ初の敗戦を振り返る「全身のダメージがすごくて」『3150×LUSHBOMU vol.6』公開スパーリング
2025年4月23日/マイナビニュース



タドゥランへの雪辱だけでなく、王座を奪還したあかつきには、ジェルサレムとの統一戦に進み、兄の屈辱も晴らすと意気込む。ノーマルな表情に戻った銀次郎の変貌に、ここは一番乗りたい気持ちはヤマヤマなれど、拙ブログ管理人はタドゥランの3-0判定勝ちと見る。

ポイントのマージンは中差を基準値として、ジャッジごとにバラつく場合も有り。銀次郎のボクシングがほとんど変わっていなければ、「前回よりも早く倒す」と語るタドゥランの言葉通りになりかねない。


◎タドゥラン(28歳)/前日計量:104.5ポンド(47.4キロ)
※当日計量:114.9ポンド(52.1キロ)/IBF独自ルール(リミット:105ポンド+10ポンドのリバウンド制限)
(4回目でパス/1回目:52.4キロ,30分後2回目:52.3キロ,+100分後3回目:52.25キロ)
元IBF M・フライ級王者(V1)
戦績:22戦17勝(13KO)4敗1分け
世界戦:6戦2勝(2KO)3敗1分け
アマ通算:約100戦(勝敗を含む詳細不明)
身長:163センチ,リーチ:164センチ
脈拍:48/分
血圧:146/82
体温:36.3℃
※計量時の検診データ
左ボクサーファイター


◎銀次郎(25歳)/前日計量:104.9ポンド(47.6キロ)
※当日計量:114.2ポンド(51.8キロ)/IBF独自ルール(リミット:105ポンド+10ポンドのリバウンド制限)
現在の世界ランク:IBF4位/WBO10位
戦績:13戦11勝(9KO)1敗1NC
世界戦:5戦3勝(3KO)1敗1NC
アマ通算:57戦56勝(17RSC)1敗
2017年インターハイ優勝
2016年インターハイ優勝
2017年第71回国体優勝
2016年第27回高校選抜優勝
2015年第26回高校選抜優勝
※階級:ピン級
U15全国大会5年連続優勝(小学5年~中学3年)
熊本開新高校
身長:153センチ,リーチ:156センチ
脈拍:/分
血圧:/
体温:℃
※計量時の検診データ
左ボクサーファイター

◎前日計量


◎前日計量&会見(フル映像)
https://www.youtube.com/watch?v=KlMCBXFbi7w


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■オフィシャル

主審:チャーリー・フィッチ(米/ニューヨーク州)

副審:
ジル・コー(比)
デイヴ・ブラスロウ(米/メリーランド州)
中村勝彦(日/JBC)

立会人(スーパーバイザー):ジョージ・マルティネス(カナダ/チャンピオンシップ・コミッティ委員長)