リング誌公式サイトが復活 - ”Bible of Boxing”の行き着く先は? -
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■年間表彰も発表

ようやく再開の日が訪れた。在米ファンと関係者が待ちに待った(?)、リング誌公式サイトがリニューアル・オープンである。モバイル用アプリも公開済み(Google Play / App Store)。
メインメニューは7つ。
<1>NEWS
<2>RANKINGS - Ring(階級別)・P4P・Champions・WBC・WBO・WBA・IBF
<3>SCHEDULE - Fights / Results(予定と結果)
<4>FIGHTERS
<5>DIGITAL MAGAZINE - New Magazines / Archives(Comming Soon)
<6>SHOP(COMMING SOON/準備中)
<7>COMMUNITY
最重要の「RANKINGS」には、主要4団体が追加されている。拙ブログ管理人には、4団体の並び順がいささか興味深い。一般的に考えれば、歴史の古い順にWBA(旧NBA)・WBC・IBF・WBOと並べるのが妥当と思われるが、並び順に何か政治的な意味合いがあるのか無いのか。
改称直後のWBA(旧NBA:1962~63年)において、米国による支配的な体制に不満を鬱積させたメキシコ&中南米を中心に、フィリピンが旗振り役だった東洋(OBF:現在のOPBF)と、WBAへの加盟を頑なに拒み続ける英国を軸にした欧州(EBU:旧IBU)が加わり、いわばWBAに叛旗を翻す格好で発足し、1968年に分派独立を強行して世界タイトルを分裂させたWBCを先頭に置く。
そして2番目は、1988年にプエルトリコとカリブ海沿岸地域の代表役員とプロモーターが結託してWBAから飛び出したWBOで、老舗のWBAが3番目。
WBC造反独立後のWBAで、新たにトップの座に就いたベネズエラのヒルベルト・メンドサ会長を追い落とし、中南米に奪われた主導権の回復を狙った旧NBA残党組みが再び会長選挙に敗れてしまい、1983年にWBAを割って立ち上げたIBF(米国東部に拠点を置く)を最後にした。
対応している言語は、英語・スペイン語・フランス語・アラビア語の4ヶ国語。グレーアウトした状態(対応予定)で、ロシア語と日本語が含まれている。登録ユーザーの推移(需要動向)を見ながら、少しづつ増やして行くのだろう。

現代のWEB製作において、英語を筆頭にしたマルチ・ラングウィッジ対応は当然にしても、スペイン語が2番目に選ばれているのは、今や世界最大のマーケットを誇る米本土のボクシング興行を支える集客基盤であり、イベントの成否を左右するメキシコを中心としたヒスパニック・コミュニティへの配慮に他ならない。
アラビア語への対応は、言語表示環境における実質的な最優先事項だったことは言うに及ばず、フランス語がアクティブになっているのは、かつて植民地にしていたアフリカ大陸には、アルジェリアを始めとしてイスラム教国が数多く存在しているからである。
また、世界最大の産油国であるサウジアラビアにとって、原油の年間消費量の4割程度を、四半世紀以上に渡って購入し続けている日本は、中国・米国・インド・韓国等とともに、国家財政の基盤となる大のお得意様でもあり、保有する世界王者の数だとか、リング誌ランカーの国別人数比といった単純な話ではない。
◎国別世界王者保有数トップ5(2025年1月現在)
※主要4団体(ブリッジャー級を除く)
1位 アメリカ:24名(男15/女9)
2位 メキシコ:12名(男7/女5)
2位 日本:12名(男9/女3)
4位 英国:11名(男4/女7)
5位 豪州:5名(男1/女4)
基本的なページ構成は、配色が変わっただけでリニューアル前のデザインを継承している。あくまで述べ人数ではあるものの、「4団体×17階級×10名(11位以下を省略している点はリング誌らしい)=680名」の変動を、毎月1回(各団体ごとアップデートの日程が異なる為実際は4回)チェックして更新を続けるのはかなり大変。
確認と文字起こしのワークは在宅のアルバイトにやらせるにしても、副編集長クラスの担当責任者を置いて校正を行う必要はあり、日本国内では帝拳ジムが自社公式サイト内で主要4団体の月例ランキングを掲載していたが、負担が大きかった為かいつの間にか止めてしまった。
国と地域,民族の異なる選手の名前を、日本語のカナ表記に翻訳するのは本当に厄介な作業で、リング誌は英語表記のままでいい分、楽と言えば楽には違いないけれども。
気になるランキングのボード・メンバーは掲載されていない。そのうち載るのだろうと、ここは安易に希望的観測だけ記しておく。
次に重要な「NEWS」と「スケジュール(Fights / Results)」を確認すると、時系列に従って注目の記事とイベントが並んでいる。こちらは「無限スクロール」を使わず、ページ・エンドに「LOAD MORE」のボタンを配置。
何より驚いたのは「FIGHTERS」で、最初メニュー項目の名称だけ見た時は意味を理解できなかった。リング誌の階級別ランカー(17階級×10名=170名)を紹介するのかと思いつつ、「興行会社でもあるまいし」といぶかりながらページにアクセスすると、オレクサンドル・ウシク.タイソン・フューリー,アンソニー・ジョシュア,井上尚弥,アルトゥール・ベテルビエフら、トップ・ファイターが大きめのサムネイルで並ぶ。
下にスクロールするに連れて、順番に登録されている選手のサムネイルが次々と現れるお馴染みの「無限スクロール」で、拙ブログ管理人は大嫌い。迷惑なことこの上なく、「Next」とか「More」などのボタン(ガイド用リンク)を付けてくれると有り難い。サムネイルの右隅上部に、「Active(現役)」というボタンが付いている。
そのうち最下部に辿り着くだろうとスクロールダウンを続けると、出るわ出るわキリがない。1,290名を超えたところでストップした。
「ひょっとして・・・」
「Boxrec」か「Fightfax」のレコードに掲載されているすべての選手を、現役・引退問わずすべて網羅するつもり?。大袈裟でなくゾっとした。嫌な予感がして、まずは我らがモンスターの「Active」をクリック。
ディテールを表示した。当たり前だが、最新の戦績がちゃんと載っている。身体データも基本的に変わらず(身長のインチ数が違う=5フィート4インチ≠5フィート5インチ/165センチは同じ)、ページを下に少し下げると、「BOX-PRO」「BOX-AM」「ALL BOUTS」のタブが3つ並ぶ。Boxrecのお世話になっているファンならお分かりだと思うが、同一の構成である。
「まさか・・・」
唖然としながらタブを切り替えたが、流石にレコードは出て来ない。もしかしたら、そのうちBoxrecのデータベースと連携する計画なのだろうか。だって、これだけの数の選手のレコードを1人1人追跡して、試合のたびに誰かが人力で更新するなんて有り得ない。
しかしそんなことをしたら、Boxrecの存在価値が無くなってしまう。トゥルキ氏はFightfaxの買収に失敗していて、Boxrecの吸収に動いていたとも考えられる。完全な移行には相当な時間を要するだろうから、経営権を買い取った上でBoxrecを残し、計画的にデータを移行しつつ、各国・各地域の編集者たちとコンタクトを取りながら、更新・登録ページ(URI)の変更時期を通知。
1~2年がかりで移行作業を完了させる過程で、順次リング誌公式サイト上での編集・更新に切り替えて行き、目処がついた段階でBoxrecの公開を終了・・・という算段?。
一応検索の機能も付いているが、検索キーは選手の名前と国名の2つだけ。データの記載が無い以上、階級別の検索にも対応していない(BoxrecとFightfaxは対応)。バックエンドで動いているデータベースのマスターに、カレントの階級が登録されていないか、確認が不十分な為オープンにしていないだけのどちらかだとは思う。

主戦場にする階級も、比較的頻度の高い変動要因になり得る。これだけ膨大な人数の選手を手作業でメンテナンスすることなど到底不可能だ。やはりトゥルキ氏は、Boxrecに代わるデータサイト機能の実装を諦めてはいない。
※年間表彰へ続く