KO負けのヴェナードが脳出血(本人は再起を明言) /本命不在が続くフェザー級戦線 - L・A・ロペス vs A・レオ レビュー 5 -
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■8月10日/ティングリー・コロシアム,ニューメキシコ州アルバカーキ/IBF世界フェザー級タイトルマッチ12回戦
IBF11位/元WBO J・フェザー級王者 アンジェロ・レオ(米) KO10R 王者 ルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ)
IBF11位/元WBO J・フェザー級王者 アンジェロ・レオ(米) KO10R 王者 ルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ)
■フルトンに完敗・・・122ポンドでの復活に見切り
そして翌2021年の年明け早々、武漢ウィルスの感染症から回復したフルトンが満を持してレオにアタック。東部の要所フィラデルフィアの伝統を継承する”クール・ボーイ(Cool Boy Steph:フルトンのニックネーム)”は、秀逸なディフェンス・テクニックに加えて、レオの活路となる筈の接近戦でも容易に優位を譲らず、大差のユナニマウス・ディシジョンでゴールテープを切る。
公称されている身長は1センチしか違わない(フルトン:169/レオ:168)のに、計量の時点で明らかにフルトンが大きい。海外のボクサー(マネージャー)は、1インチ程度は平気でサバを読むことが多く、レオもその例に含まれるのかもと推察。そしてフルトンの申告は、案外正確なのかもしれないなと感じた。
当日のリング上で向かい合った両者を見比べると、少なく見積もっても一回りは違う。いかにも黒人らしい、柔らかく上質な筋肉をまとった厚みのある上半身に、スラリと伸びる長く細い下肢。どちらかと言えばズン胴で、東洋人に近い体型のレオが可哀そうになるくらい、フルトンは完璧なアスリートに見える。
レオも頑張って内懐に潜り込み、果敢にコンビネーションを繰り出してはいたが、クール・ボーイの本領とも言うべき、クリンチワーク込みの老獪なディフェンスに絡め取られるだけでなく、フィジカルの違いにも吸収されて、効果の大部分を殺がれてしまう。
まともに貰っているように見えるパンチでも、ほとんど効いていない。素早い見切りと反応が実現する絶妙なスリップ&ウィーブを軸に、上体を僅かに傾けて相手のパンチを流し、必要に応じて使う大きめのダックとボブにステップワークを組み合わせる。
ハイリスクな至近距離では、クリンチ&ホールドによる回避がメインにはなるが、堅実なブロック&カバーもサボらない。一流のプロが操るディフェンス・ワークの妙・・・これは安直にまとめ過ぎで、「言うは易し行うは難し」を象徴する技術&ハイ・センスと言い換えておく。
◎試合映像:フルトン 判定12R(3-0) レオ
2021年1月23日/モヒガンサン・カジノ(コネチカット州アンキャンスビル)
オフィシャル・スコア:109-119×2,110-118×1
WBO世界J・フェザー級タイトルマッチ12回戦
※フルファイト(一部省略・抜粋)
https://www.youtube.com/watch?v=yWW0J8yPxIg
◎フルトン戦の前日計量
フルトンに完封を許し、唯一にして初の敗北を喫したレオは、5ヶ月開けて同じウェイトで再起。ルイス・ネリーといい勝負をやってのけたメキシコの中堅ローカル・トップ,アーロン・アラメダに粘られ、スコアが示す通り苦しい2-0判定勝ち。
◎試合映像:レオ 判定10R(2-0) アーロン・アラメダ(メキシコ)
2021年6月19日/トヨタ・センター(テキサス州ヒューストン)
オフィシャル・スコア:98-92,96-94,95-95
ref: Gregorio Alvarez Jesse Reyes Randy Russell Eva Zaragoza
S・バンタム級10回戦(レオ:122ポンド/アラメダ:123.5ポンド)
※フルファイト
https://www.youtube.com/watch?v=ZlGcFJR4Nuc
◎アラメダ戦の前日計量
フルトンとアラメダの2試合に共通していたのが、明白なサイズのディス・アドバンテージ。想像以上にフィジカルの違いを実感させられたフルトン戦に続き、公称168センチのレオは、170センチ(Boxrec現在:168)のアラメダと比べても一回り小さく映った。
さらにもう1つ、自分より大きな相手に対して真っ正直に打ち合いを挑み過ぎる。出入り(はいり)のボクシングなど、ハナからほとんど頭に無い。技術戦になったらおよそ勝ち目のないフルトンに対して、速攻突撃するのはまだわかる。
例えば王座統一を懸けてフルトン敗れるダニエル・ローマン(2022年4月)だが、なまじボクシングが出来るがゆえに、駆け引きに応じて中途半端にお見合いの時間を増やし、クール・ボーイの土俵でアリ地獄にハマり込んでしまった。
レオはジャブもフェイントもそこそこに、一気に距離を潰して回転の速さに注力した連打を振るう。放っておいてもフルトンがクリンチするから、ブレイクを待って同じやり方をリピートする。これはこれで、立派な作戦ではあった。
ただし、中に入って密着した後もフルトンに堅く守られ、自信を持っていた強打のコンビネーションもフィジカルの差で中和されてしまい、目論みが完全に外れてしまったのが最大の誤算。
アラメダについては、リミット丁度を計測して秤を降りたレオに対して、123.5ポンドで計量したアラメダとのウェイト・ハンディを考慮する必要はある。計量時点で1.5ポンドだった乖離が、リカバリーを経てどこまで拡がっていたのか。
メキシコの中堅どころは、例外なく攻防の基本をしっかり叩き込まれていて、タフでしぶとく簡単に試合を諦めない。侮ると痛い目に遭う。とは言っても、フルトンほどの上手さがアラメダにある筈もなく、丁寧な出入り(はいり)からの波状攻撃を選択すべきだったと今でも思う。
ステップをまったく踏まない訳ではないが、短い間を置く為に使うのみ。サイドからの揺さぶりは皆無と表して良く、細かくフェイントを入れながらタイミングと角度に変化を付ける工夫も見られない。
結局、正面に立ち続けて打ち合いを仕掛ける以外にやりようがなく、そうなるとレオの守りには小さからぬ綻びが生じる。ディスタンスの長短にかかわらず、アラメダ(サウスポー)の左を貰って右眼をブラック・アイにされるなど、いい場面を作り切れなかった。
9歳の時から恩師チャベスと父ミゲルの指導を受け、ジュニア&ユース限定ながらもニューメキシコのローカル・トーナメントで好成績を残したレオは、好戦的でありながらも、相応に脚も使って無駄に打たせ(れ)ない、伝統的なメキシカン・スタイルを基本にする。
本来なら青タンになるほど打たれることはないし、フルトンにもここまで酷くはやられなかった。バランス&柔軟性を優先重視するフルトンは、そもそも踏ん張って打たないのに対して、ある程度の力みは仕方がないと割り切って強振するアラメダとの違いが、レオの顔の腫れになって現れた。
「勝ったんだからいいじゃないか。」
そうしたご指摘もあろうかと思う。しかし、これだけ消耗の激しい戦い方をしていたら、蓄積したダメージの影響で早晩引退に追い込まれかねない。何より心配されるのは眼疾だが、ロペスと同じ悲劇も当然懸念される。
幸運に恵まれ無事に現役を終えてホっと一息ついた後、重大な健康被害に苦しむケースも皆無ではない。
20世紀のトップボクサーたちは、その多くが打たせずに打つ上手いイン・ファイトをこなしていた。数が少なくなる一方の現代のファイターは、例外なくディフェンスが粗くなっている。無駄に打たれ過ぎていい事は1つもない。
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■長いレイ・オフと転級・・・新たな環境で再出発
王座転落後に生じた長い中断は、直接的にはパンデミックによるものだが、イベントを手掛けるプロモーションの対応のバラつきとも無縁ではなかった。
トップランクはラスベガスのMGMグランドの協力を得て、5千名収容のボールルーム内に小さな無観客用の会場(数百名規模)を準備して興行を継続。我らが井上尚弥も、ボブ・アラムが「The Bubble」と命名したボクシング専門の小ホールに馳せ参じて、マイケル・ダスマリナスを強烈なボディブローで一蹴。
1万人超の大観衆を前に晴れのラスベガス・デビューとはならなかったが、ESPNの生配信を81万8千人(ニールセンが公表したアベレージ/瞬間最高値も同じ)が視聴。同じく5月にESPNが配信したジョシュ・テーラー vs ホセ・ラミレスのS・ライト級統一戦が記録した130万人(平均/第1位)に次ぐ堂々の第2位で、同日ヒューストンのトヨタ・センターで行われたジャーモール・チャーロ vs ファン・M・モンティエル戦(有観客)の33万3千(平均/瞬間最高:37万9千)を圧倒した。
マッチルームのボクシング部門を率いるエディ・ハーンも、ロンドン北部ブレントウッド(ウェンブリー・スタジアムとアリーナが有名)にある広大な自宅敷地内に、無観客を前提にした屋外リングを仮設。「HQガーデン」と名付けて、2020年8月に4回、2021年7月~8月にかけて3回の計7回興行を打っている。
メイウェザー一家はと言うと、予定していた興行を原則すべて中止にして、相当数の支配下選手を放逐する現実的な手段を講じた。レオも契約を打ち切られた中の1人だった。
「焦りはあった。この先どうなるのかって不安にもなった。でも、世界中のありとあらゆる人たちが、出口の見えない状況で苦しんでいる。そこはもう割り切るしかない。コンディションの維持に集中するしかなかった。」
天は自ら助くる者を助く。捨てる神あれば拾う神ありで、フロリダで成功した実業家ゲイリー(ギャリー,ガリー)・ジョーンズから声がかかる。
※ゲイリー・ジョーンズ(2021年4月)
フロリダのゲイリー・ジョーンズと言えば、2011年から12年にかけて、アクエンティ・スポーツ(Acquinity Sports)という興行&マネージメント企業のCEOに収まり、ボクシング界に参入した人物である。
自前の配信サービスも視野に入れて、新たなWEBサービスの開発と提供にも熱心に取り組んでいたのだが、アドレスを取得したユーザーに対して、無料のギフトカードを添付した大量のスパムメールを送りつけた上に、架空請求を目的とした詐欺サイトに誘導した嫌疑をかけられ、FTC(Federal Trada Commission/連邦取引委員会:米国の公取)から告発されてしまう。
対象となったのは、アクエンティ・スポーツを含む詐欺行為に関連した3つの企業で、総額1千万ドルの罰金を科せられた。ジョーンズは興行&マネージメント会社を休眠させると、以前から口説いていたマイク・タイソンを遂に担ぎ出し、「アイアン・マイク・プロダクションズ(新しいプロモーション)」を立ち上げる。
会社名義の口座と金庫はスッカラカンになったが、引き継ぐことができた人的資源(実働部隊)を現場で指揮していたのは、2008年頃から同じフロリダを地盤に活動していたヘンリー・リヴァルタというプロモーターで、ジョーンズとリヴァルタは罪に問われずに済んだらしい。
※左から:マイク・タイソン,ヘンリー・リヴァルタ,ゲイリー・ジョーンズ
悪質極まる犯罪行為に一切関わっていなかったのか、あるいはジョーンズとアクエンティ・スポーツも騙された側だったのか。この辺りは時間の都合で詳しく調べることができず、つまびらかな経緯と正確な結末についてはよくわからない。
プロモーターとボクシング・ビジネスをまったく信用していないタイソンを、よくもまあ引っ張り出せたものだと感心するが、その一方で「どうしてわざわざタイソンと・・・」と間逆の声が多数派だったとも記憶する。
ジョーンズによれば、各地で開催したプレ・イベントでのタイソンは、遅刻やすっぽかしも無くきちんと出席して、サイン会でもファンが最後の1人になるまで丁寧に対応した上、舞台裏で汗を流すスタッフへの気遣いを忘れず、「事前の心配事はすべて杞憂だった。マイクは常識をわきまえた真っ当なビジネスマンだ」と満点の評価を述べていたが、やはりと言うべきか、タイソンとジョーンズはすぐにソリが合わなくなり、程なくして活動停止に追い込まれた。
折りしも米国ボクシング界は、オスカー・デラ・ホーヤの右腕リチャード・シェーファーの造反と主力選手の大量離脱で騒然としていた。中核を担うウェルター級のランカーを始めとする数十名規模を受け入れたのが、メイウェザーのマネージメントで業界に隠然たる影響力を行使するようになり、影の大物と呼ばれていたアル・ヘイモン。
どの選手もゴールデン・ボーイ・プロモーションズ(以下GBP)との契約満了に合わせて、順次PBCとの複数年契約を結んで行く。法的には何1つ問題はないが、あらかじめこの時を見据えて、母国スイスの一流銀行家だったシェーファーが、用意周到に計画した前代未聞の大規模な引き抜き工作である。
その為シェーファーは、あらかじめ目を付けた主力級を、1人残らずアル・ヘイモンとのマネージメント契約にサインさせていた。
飛ぶ鳥を落とすかのごとく、数年の間に全米最大規模に急成長したGBPは、一気に経営危機まで囁かれるなど窮地に陥る。急拡大したヘイモン一派に対抗する為、トップランクが一肌脱ぐ。パッキャオとドネアの争奪戦を繰り広げるなど、訴訟を繰り返して冷戦と呼ばれるほど対立が激化していたデラ・ホーヤとボブ・アラムが、急転直タッグを組み共闘路線に転換する。
「アラム+デラ・ホーヤ連合軍 vs ヘイモン一派」の抗争勃発は、タイソンとジョーンズの内輪揉めをいとも容易く吹き飛ばし、ジョーンズは完全に蚊帳の外へと追いやられた。
時を同じくして音楽業界から参入して来た50centは、ビジネス・パートナーとして信頼していた”マブダチ”のフロイド・メイウェザーと仲違いし、自らのセックス・スキャンダルが原因で自己破産。具体的に動き出す前に急停止してしまい、音楽ビジネスに精を出す必要に迫られた。
ラッパーとして50cent以上の成功を手にした他、スポーツ・バーのプロデュースやファッション・デザインにも手を伸ばし、ビヨンセのパートナーとなり、NBAとNFLを中心にしたスポーツ・マネージメントでも大きな成果を残したジェイ・Zも、ロック・ネイションの名前を冠したボクシング・プロモーションを立ち上げたが、カネロ vs ミゲル・コット,アンドレ・ウォード vs セルゲイ・コヴァレフ第1戦,ロマチェンコ vs リゴンドウ戦を共催した以外に目ぼしいイベントが無く、2017年以降活動休止状態となり、武漢ウィルス禍を契機にして、2020年にボクシング興行から撤退。
以前から噂が出ては立ち消えを繰り返してはいたものの、2大ケーブル局のHBO(2018年末)とShowtime(2023年末)が遂にボクシング中継から完全に手を引き、カネロとの超大型契約で全世界を驚かせたDAZNも、パンデミックの影響が大きかったとは言え、ボクシングの配信は必ずしも堅調とは言い難い。
アル・ヘイモン率いるPBC(Premier Boxing Champions)は、Showtimeの中継終了に伴い、amazon primeとの複数年契約を発表。トップランク=ESPN,GBP・マッチルーム=DAZNという具合に、一応の棲み分けは出来ている。
時を同じくして、音楽業界から成功した2人のラッパー,50centとジェイ・Zがボクシング興行に手を伸ばしたが、便りにしていた”マブダチ”のメイウェザーと仲違いした上に、自らのセックス・スキャンダルの追い討ちが重なり、本格指導する前に解散。音楽ビジネスの世界に戻って行った。
ジェイ・Zが投資したロックネイション・スポーツは、アンドレ・ウォード,ミゲル・コット,ギジェルモ・リゴンドウらを獲得してそれなりに成果を残すことできたものの、2017年以降事実上の休止状態となり、武漢ウィルス禍の被害が本格的に拡大した2020年に、これ幸い(?)とボクシング界からの完全撤退を決定。
ただしこちらは、スポーツマネージメント参入の最大の動機になったNBAとMLB、NFL,MLS(デヴィッド・ベッカムの加入で遂に全米の認知を得たサッカー)にラグビーを加えた5つのメジャー競技で、総勢100名を超える選手をハンドリング中。スポーツ・バーのプロデュースやファッション・デザインにも才能を発揮するジェイ・Zの眼には、ビジネスとしてのボクシングは将来性と魅力に乏しい、典型的な斜陽産業と映ったらしく、投資の回収は難しいとの結論に至った。
アル・ヘイモンも80年代に音楽プロデューサーとして一家を成した人で、エントランス(入場)のBGMや演出等に関する様々な相談を受けたのが、ボクシング興行に関心を持つきっかけだったらしい。
HBOで長く副社長を務めたケリー・デイヴィスも音楽業界からの転入組みで、芸能界とボクシング界の腐れ縁は、洋の東西と時代の別を問わない。
こうして、どちらかと言えば、先行きについて明るい話題がほとんど聞かれない2019年~2021年にかけて、ヘンリー・リヴァルタとゲイリー・ジョーンズがボクシング界に復帰してきた。
先に行動を開始したのはリヴァルタで、自身の名前を冠した興行会社(Rivalta Boxing)を興し、フロリダ州ACのライセンス認可を受けて、2019年3月から興行を再開。
フロリダ州内にオフィスを置くUSAテレムンド(スペイン語の配信プラットフォーム)や、「TikTok」の対抗馬として発足し、「タイソン vs ロイ・ジョーンズ」の実現に一役買ったトリラーTV(Triller TV)で配信も行ったが、パンデミックの襲来と時期が重なり、昨年までは年1回ペースの開催に止まっている。
片やジョーンズだが、とてつもない初期投資を行い、万全の態勢を敷いてのリスタート。ハリウッドから映像製作のプロフェッショナルをプロダクションごと買い取り、「ProBox TV」と名付けた配信プラットフォームをiOSとスマホ向けのアプリ込みで開発しただけでなく、ニュースサイトとして「Boxing Scene」を買収。
公式サイトと公式SNS、youtubeの公式チャンネルの準備はもとより、配信のメイン解説には、アナリストとして一定の評価を確立したポーリー・マリナッジ(140ポンドの元王者)を配して、2021年5月からライヴ配信(興行)をスタートさせた。
フロリダ出身のロイ・ジョーンズとアントニオ・ターバー(現役時代はライバル)、全米のボクシング興行を支える集客基盤に成長したヒスパニック(メキシコ)系コミュニティの顔としてファン・マヌエル・マルケスを招聘。解説に華を添えつつ、サブスクの登録ユーザー獲得にまい進(月額1.99ドルに価格設定)。
肝心要のライヴ配信プログラムは、「Contenders(コンテンダーズ)」と銘打ったシリーズを柱に、プロスペクトの発掘を目的にした「Future Stars(フューチャー・スターズ)」と題したイベントに、タイトルマッチとビッグ・ファイトを単発で打つ標準的な構成。
パンデミックがようやく落ち着きを見せ始めた2022年以降、ほぼ毎月1回の配信(興行も開催)を続けて、今年の7月以降は月2回ペースに拡大。ライヴ配信済みのイベントはアーカイヴとして残し、youtube公式チャンネルと公式サイトの両方(当然アプリも可)で無料視聴できる。
フロリダとも縁の深いプエルトリコ,ドミニカの選手を手掛けるミゲル・コットのプロモーションと正式に提携した他、ESPN(トップランク)とDAZN(マッチルーム&GBP),amazon prime(PBC)とも積極的に協調を図り、プレス・カンファレンスと計量,興行全体のハイライト限定ではあるが、カネロ vs バーランガ,ジャーボンティ・ディヴィス vs フランク・マーティンなど、わざわざ放映権を買って、上乗せ無しの月額1.99ドルの範囲内で無料公開する大判振る舞い。
ジムでの様子を含む舞台裏を捉えたドキュメンタリーなど、先行するESPN,DAZN,amazon primeに引けを取らないコンテンツ製作にも注力。
※業務提携の発表会見(2022年7月20日)/左から:ミゲル・コット,ファン・M・マルケス,エクトル・ソト(ミゲル・コット・プロモーションズ副社長)
今はとにかくコンテンツの充実に全振りしていて、コットも自ら手掛ける興行の放映権を提供するとの内容だった。従って、現在ProBoxが支配下選手として完全に掌握しているボクサーは、「Future Stars(フューチャー・スターズ)」の中軸になる若手数名のみのようだ。
メイン・コンテンツの「Contenders(コンテンダーズ)」は、月1~2回の定期放送「Wednesday Night Fights」と、不定期の「Live on ProboxTV(単発のタイトルマッチ)」の2本立てになっていて、ニコラス・ウォルタース,ジョセフ・アドルノ,サリヴァン・バレラらのオールドタイマーを起用。
新興のプロモーションには定石とも言うべき手法だが、彼らの全員と直接契約を結んだのかどうかはよくわからない。折角獲得したアンジェロ・レオを、敢えて複数試合契約を交わしてトップランクに任せる現実的な方法を採った。既存プロモーターとの共同保有を基本にしているように見受ける。
ヴェナード・ロペス vs レオのタイトルマッチは、ESPNから権利を買うことができず、「ProBox TV」での配信は出来なかった。レオが安定政権を築く公算は、ただ今のところは希少と言わざるを得ない。今後予定される防衛戦の配信については、今一度トップランクを通じてESPNと話し合うつもりではいるだろうが、望み通りの回答を引き出すのは難しいだろう。
トップランクとの契約満了まで持たず、レオが丸腰になって戻って来ることになっても、それでもジョーンズはマイナスとは考えていない筈だ。
Leminoが配信した井上尚弥の試合映像(日本国内開催/フルファイト)が、トップランク公式チャンネルのアーカイヴに載るまで1年かかっている。そこまで待たされることは無いと思いたいが、ESPNが配信するレオの試合映像もいずれOKが出て、ProBox TVのアーカイヴに載る可能性はあると思う。
ちなみに「Wednesday Night Fights」のネーミングは、ESPNの長寿看板番組だった「Friday Night Fights」に由来するが、大元を辿ると、1948年から1960年までのおよそ12年間、CBSとABCが中継を行ったボクシング番組の名称そのもので、筋金入りのマニアたちの心理をくすぐる効果も狙ったのは明々白々。
サブスクの登録ユーザーが増えて、経営が軌道に乗るまでの間は、若くてバリバリに元気なチャンピオンとランカークラスの獲得(直接保有とプロモート)はお預けといったところか。という訳で、今後も勝ち続ける前提にはなるが、レオのプロモートは引き続きトップランクが仕切る。
※Part 6(Final Chapter)へ
◎ロペス(30歳)/前日計量:125.6ポンド
IBFフェザー級王者(V2)
戦績:33戦30勝(17KO)3敗
アマ戦績:6勝4敗
身長:163センチ,リーチ:169センチ
好戦的な右ボクサーファイター
◎レオ(30歳)/前日計量:125.6ポンド
戦績:26戦25勝(12KO)1敗
アマ通算:65勝10敗
ニューメキシコ州ジュニア・ゴールデン・グローブス,シルバー・グローブス優勝
※複数回のチャンピオンとのことだが階級と年度は不明
身長:168センチ,リーチ:174(175)センチ
※Boxrec記載の身体データ修正(リーチ/カッコ内:以前の数値)
右ボクサーファイター
◎前日計量
◎ファイナル・プレス・カンファレンス
Venado Lopez vs Angelo Leo | WEIGH-IN(フル映像)
2024年8月9日/Top Rank公式
https://www.youtube.com/watch?v=QA_KuTtxHcA
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■オフィシャル
主審:アーニー・シェリフ(米/ペンシルベニア州)
副審:1-2でレオを支持(第9ラウンドまでの採点)
エステル・ロペス(米/ニューメキシコ州):85-86(レオ)
フェルナンド・ビラレアル(米/カリフォルニア州):85-86(レオ)
ザック・ヤング(米/カリフォルニア州):86-85(ロペス)
立会人(スーパーバイザー):レヴィ(リーヴァイ)・マルティネス(米/ニューメキシコ州/IBF執行役員)
■オフィシャル・スコアカード
※清書
※管理人KEI:85-86でレオ
◎パンチング・ステータス
■ヒット数(ボディ)/トータルパンチ数(ヒット率)
ロペス:142(28)/586(24.2%)
レオ:203(66)/487(41.7%)
■ジャブ:ヒット数/トータルパンチ数(ヒット率)
ロペス:26(3)/162(16%)
レオ:53(6)/137(38.7%)
■強打:ヒット数/トータルパンチ数(ヒット率)
ロペス:116(25)/424(27.4%)
レオ:150(60)/350(42.9%)
※compubox - Boxing Scene
https://www.boxingscene.com/compubox-punch-stats-angelo-leo-luis-alberto-lopez--185331