「2階級+4団体統一」 /モンスター伝説の新たな序章・・・? - 井上尚弥 vs M・タパレス プレビュー II -
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■12月26日/有明アリーナ/WBA・WBC・IBF・WBO世界S・バンタム級4団体統一12回戦
WBC・WBO統一王者 井上尚弥(日/大橋) vs WBA・IBF統一王者 マーロン・タパレス(比)
WBC・WBO統一王者 井上尚弥(日/大橋) vs WBA・IBF統一王者 マーロン・タパレス(比)
いまだ記憶に生々しい、フルトン戦の圧勝劇。122ポンド最強と目された”クールボーイ”を、パワーではなく、技術と駆け引きで問題にしなかった。
井上自身は「スピードと間合い。フルトンが一番驚いたのはそこだと思う。」と追懐しているけれど、開始間もなく、ジャブの刺し合いを難なく制してしまうのを見て、冗談じゃなく身体が震えた。
IBFのエリミネーターで岩佐に倒された後、タパレスはチームを一新している。イーグル京和との激闘で日本のファンに強い印象を残したロデル・マヨール(引退してトレーナーに転進)とのコンビを解消すると、マニラ近郊にジムを持つアーネル・フォンタニーリャをチーフに招き、カシメロもサポートするティン・アリオサが加わった。
多くの関係者が指摘している通り、リスタート後のタパレスは思い切りの良さこそ変わっていないが、大振り傾向が多少なりとも是正されて、細かいフェイントのヴォリュームも増やすなど、攻防のまとまりにも気を使うようになっている。
大番狂わせの載冠となったアフマダリエフ戦も、統一チャンプの調整不足(左拳の骨折で10ヶ月のブランク)に助けられたのは間違いないが、タパレスのボクシングがブラッシュアップされたことが大きい。
2008年に16歳でプロになったタパレスは、L・フライ級でデビューしている。大人の身体が出来上がるにつれ、S・フライ級に主戦場を移し、さらにバンタム級に上げてコンディションが安定。
初来日は2013年5月で、インドネシアのルーベン・マナカネを問題にせず、4回TKOで圧倒。2014年4月の再来日では、逆輸入ボクサーとして話題になった木村隼人(ワタナベ)に5回負傷判定勝ち。
そして2015年12月、京都の島津アリーナで大森将平(Woz)を瞬殺。当時最も世界に近いと言われ、大きな期待を担っていた強打の和製大型サウスポーを開始早々左のオーバーハンドで倒し、さらに2度のダウンを追加。
第2ラウンドに入ってまた倒し、何とか立ち上がった大森に右をヒットしてグラつかせ、レフェリー・ストップを呼び込み、WBOの指名挑戦権を獲得した。
翌2016年7月にタイへ乗り込むと、プンルアン・ソー・シンユーに11回TKO勝ち。赤穂亮に反則の限りを尽くし、後頭部に肘を叩き落して巻いたWBOのベルトが、フィリピンのニューヒーローの下へと渡る。
2017年4月に組まれた初防衛戦は、大森との再戦。会場も大阪府立が用意されたが、何とタパレスが2ポンド超過の計量失敗。戦わずしてベルトを失ってしまう。タパレス対策を立てて立ち向かう大森は、ボディ攻撃で王者を弱らせ想像以上の善戦。
打ちつ打たれつの展開が続く中、先に限界に達した大森の動きが止まり、終盤10ラウンドに右強打からの連打(左アッパー→右フック)を浴びてダウン。ここは何とか持ちこたえたが、11ラウンドにタパレスがラッシュを仕掛けて万事窮す。
4度目の来日はウェイトオーバーで評判を落とす結果となり、1年半を超えるスパンを開け、フェザー級で再起。2019年以降アメリカに足場を移し、S・バンタムに定住。岩佐に敗れて一度後退した後、上述した通り体制を変え、勅使河原弘晶を衝撃的な2回TKOに屠って、IBFの指名挑戦権を得た(2021年12月)。
パンデミックの影響にアフマダリエフの故障が重なり、タイトルへの挑戦がなかなか決まらず待たされたが、昨年5月にチューンナップを1つ挟んで、ようやく実現に漕ぎ着けた2度目のチャンスをモノにする。
アフマダリエフとも拳を交えている岩佐は、「大味に見えるけど、タパレスは案外上手い。パンチもまともには貰わないし、タイミングを合わせる感覚に優れている。」と好評価。
「1発が無いっていう訳じゃないけど、パワーはアフマダリエフの方が上。どうやっても井上君には勝てないとは思う。でも、実際に戦った者としてタパレスを応援する。」
マイク・タイソン以上の”モンスターマニア”として知られ、日本のファンにもすっかりお馴染みのティム・ブラッドリーも、「フルトン戦を見ただろ?。余裕だよ。タパレスもまあまあいい線いってるけど、何もかもが違い過ぎる。一方的な勝負になるよ。」と前半~中盤にかけての決着を語る。
「井上はアマチュアの時から凄い数のKOを量産してきた。子供の時からだぞ。そして未だに強くなり続けている。5歳の頃からボクシングを仕込まれて、二十歳かそこいらで108ポンドを獲って、階級を上げ続けて勝ち続けている。それも日々進歩しながらだ。誰も指摘しないけど、これはとんでもないことなんだ。」
ブラッドリーの入れ込み方も半端ではないけれど、オッズも凄いことになっている。
□主要ブックメイカーのオッズ
※12月1日
<1>BetMGM
井上:-1200(約1.08倍)
タパレス:+700(8倍)
<2>betway
井上:-1408(約1.07倍)
タパレス:+700(8倍)
<3>ウィリアム・ヒル
井上:1/20(1.05倍)
タパレス:7/1(8倍)
ドロー:25/1(26倍)
<4>Sky Sports
井上:1/16(約1.06倍)
タパレス:8/1(9倍)
ドロー:25/1(26倍)
※12月25日
<1>BetMGM
井上:-1600(約1.06倍)
タパレス:+800(9倍)
<2>betway
井上:-2000(1.05倍)
タパレス:+800(9倍)
<3>ウィリアム・ヒル
井上:1/20(1.05倍)
タパレス:9/1(10倍)
ドロー:22/1(23倍)
<4>Sky Sports
井上:1/16(約1.06倍)
タパレス:8/1(9倍)
ドロー:25/1(26倍)
◎計量後の囲み取材
「(前半の)タパレスはフルトンより怖い。1発があるし、普通とは違う角度とタイミングで、かなり遠いところからでもしっかり振って来る。」
今回もまた、父の真吾トレーナーと口を揃えるかのように語り、井上は警戒を怠らない。しかし同時に、次のようにも言っている。
「絶対に気が抜けない相手。でも、圧倒的に勝ちます。」
長身の大森と岩佐に見せていた、深いクラウチングスタイルから振るう外よりの左フックは減らすと思う。ガードも堅くコンパクトにして、井上のジャブと右強打に合わせて、相打ちのカウンターをストレートやアッパーで狙って来るのではないか。
それをいい具合に食らう井上ではないし、素早いステップとヘッドムーヴで確実に外しざま、ショートの左右で上下を小突くに違いない。タパレスがボディを苦手にしているのは確かで、ダスマリナス戦の再現も容易に想像がつく。
エルボーブロックの上からわざと強めの左ボディを叩き、十二分に危機感を煽った上で、瞬間移動の踏み込みから電光石火のワンツーを顔面へ。それでフィニッシュできなくても、またボディを抉って上に返す。
まともにやっていたら勝負にならない。イチかバチかで初めからブンブン振り回して来るのか、丁寧な様子見で長い勝負に持って行こうとするのか。タパレスの出方にもよるが、どんな戦い方できたとしても、モンスターがペースを掌握するのに2分はかからない。
できるものなら、パジャーノ戦の再現を。フルトン戦もため息が出るほど見事な結末だったけれど、それ以上に芸術的なKOをまた見てみたい。
タパレスがフルトンのように呑まれてしまうと、おそらく早くなる。2~3ラウンド。いい意味で開き直って、少々遅くても小さくても、しっかり守って前後左右に動きながら、強くてコンパクトなコンビで打ち返すことができたら・・・。
いや、それでも4~6ラウンド持つかどうか。
卒寿を超えた御大アラムが到着して、ジミー・レノン・ジュニアの顔もある。4団体の立会人がズラリと居並ぶ計量会場の眺めと雰囲気は、まさにラスベガスそのもの。
「引退を2年(35歳から)延ばしてもいいですか?」
井上からそんなことを言われたと明かした大橋会長が、「これは終着点じゃない。新たな伝説の始まりです。」と真顔で話す。
井上尚弥が歩むボクシング・ロードは、それ自体が奇跡として歴史に刻まれて行く。本当にグローブを壁に吊るしたら、最短(ラストファイトから5年経過)でキャナストゥータ(殿堂)に迎えられる。
井上尚弥という最上のギフトを地上に贈り出してくれた天に、ただただ感謝を申し上げ頭を垂れるのみ。
◎井上(30歳)/前日計量:121.7ポンド(55.2キロ)
戦績:25戦全勝(22KO)
現WBC・WBO統一S・バンタム級王者
WBA(V7)・IBF(V6)・WBC(V1)・WBO(V0)前4団体統一バンタム級王者.元WBO J・バンタム級(V7),元WBC L・フライ級(V1)王者
元OPBF(V0),元日本L・フライ級(V0)王者
世界戦通算:20戦全勝(18KO)
アマ通算:81戦75勝(48KO・RSC) 6敗
2012年アジア選手権(アスタナ/ロンドン五輪予選)銀メダル
2011年全日本選手権優勝
2011年世界選手権(バクー)3回戦敗退
2011年インドネシア大統領杯金メダル
2010年全日本選手権準優勝
2010年世界ユース選手権(バクー)ベスト16
2010年アジアユース選手権(テヘラン)銅メダル
身長:164.5センチ,リーチ:171センチ
※ドネア第1戦の予備検診データ
右ボクサーパンチャー(スイッチヒッター)
◎タパレス(31歳)/前日計量:121.3ポンド(55.0キロ)
WBA・IBF統一S・バンタム級王者,元WBOバンタム級王者(V0/体重超過によるはく奪)
戦績:40戦37勝(19KO)3敗
世界戦通算:4戦3勝(2KO)1敗
アマ戦績:50戦超(詳細不明)
身長:163センチ,リーチ:165センチ
左ボクサーファイター
◎前日計量
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■オフィシャル
主審:セレスティーノ・ルイス(米/イリノイ州)
副審:
ロビン・テーラー(米/ニューヨーク州)
ラウル・カイズ(米/カリフォルニア州)
クレイグ・メットカーフ(カナダ)
立会人(スーパーバイザー)
WBA:ホセ・オリヴィエ・ゴメス(パナマ/WBAランキング委員)
WBC:マイケル・ジョージ(米/ロードアイランド州/WBCシルバー・チャンピオンシップチェアマン)
IBF:ベン・ケイティ(豪/IBF Asia担当役員)
WBO:レオン・パノンチーリョ(WBO副会長/米ハワイ州/タイ在住)
◎Lemino公式
<1>WBA・WBC・IBF・WBO 世界スーパー・バンタム級王座統一戦 井上 尚弥 vs マーロン・タパレス
12月26日(火)無料LIVE配信(開場15:45/開演16:00)
<2>前日軽量:12月25日(月)ライヴ配信済み(開場12:45/開演13:00)
◎キック・オフ・カンファレンス(ダイジェスト)
2023年11月1日/Lemino公式
◎キック・オフ・カンファレンス(ダイジェスト)
※ショーン・ギボンズ(MPプロモーションズ代表)のコメント
2023年11月1日/Lemino公式

