- ジェルサレム vs 優大 2 プレビュー -
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■3月30日/愛知県国際展示場(ホールA),愛知県常滑市/世界級タイトルマッチ12回戦
王者 メルヴィン・ジェルサエム(比) vs 前王者/WBC1位 重岡優大(ワタナベ)
王者 メルヴィン・ジェルサエム(比) vs 前王者/WBC1位 重岡優大(ワタナベ)
昨年3月31日、電光石火の右カウンターを浴びて不覚のダウンを奪われ、同門の先輩谷口将孝(2回TKO負けでWBO王座を譲る)のテツを踏んでしまった優大が、丁度1年ぶりのリマッチに挑む。
敗因は明確だ。”オラオラ・キャラ”全開の根拠無き前進。ワイドオープンなガードを閉めることなく、ジャブも崩しもそこそこに強振を繰り返す。倒されたパンチがまともに見えていないのに、同じ戦い方を性懲りも無く繰り返していたら、勝てる試合も落とすのは当たり前。
ペドロ・タドゥラン(比)にコテンパンにやられた弟の銀次郎ともども、これ以上はないというくらいはっきりしている。勝負事において自信を持つのは極めて大事なことではあるが、あの井上尚弥だって、ここまで自信過剰に愚かな真似は絶対にしない。
昨年8月24日に組まれた再起戦(大和アリーナ/大阪市吹田)では、タドゥランとの対戦経験もある実力者サミュエル・サルヴァ(比)を10回3-0判定に下しているが、相手の出方を伺う姿勢は回復していたけれど、ジャブと崩しの手間を端折る悪癖はそのまま。目立った改善の跡は見られなかった。
受けて立つ側となったジェルサレムは、1位ルイス・カスティーリョ(メキシコ)をフルマークに近い3-0判定に退けて、第一の関門となる指名戦を終えている(昨年9月22日/マニラ)。
谷口から奪ったWBOのベルトを、カリフォルニアのインディアン・カジノ(初渡米)で指名挑戦者のオスカー・コラーゾ(米/プエルトリコ)に奪われた失敗を糧に、ジェルサレムは丁寧な組み立てから右のカウンターを狙うスタイルを熟成させ、さらに安定感を増した。
ヘッドとしてコーナーを預かる町田主計(まちだ・ちから)トレーナーは、2017年に閉鎖した名門ヨネクラジムからワタナベジムに移籍し、銀次郎と横山葵海(よこやま・あおい)も担当。名実ともに、ワタナベジムの屋台骨を支えるチーフ。
優大と銀次郎のアビリティ&センスを信じるのはいいけれど、粗雑な攻防が手付かずとの印象がどうしても付いて回る。いざゴングが鳴ってしまえば、現実問題として選手個々人に任せるしかない。
ただし、序盤にダウンを喫して機先を制された上に、ペースを取り戻すきっかけすら掴めない状況下で、具体的な戦術転換を指示できずにズルズル流れてしまうのは、チーフ・トレーナーの責任を問われても致し方がなく、為す術なく中南米や韓国勢の軍門に下り続けた80年代の悪夢そのもの。、
「どんな展開になっても勝つのは私。」
静かに余裕を見せるジェルサレムの言葉には、経験と技術の裏づけを伴った説得力が溢れており、「右対策は万全」と言い切る優大のテンションの高さに不安だけを感じるのは、おそらく拙ブログ管理人だけではないと思う。
ところが・・・。直前のオッズは、どうした事か優大を支持。大きな開きではないが、身銭を切るファンは、地の利込みでの王座奪還を予測している。
□主要ブックメイカーのオッズ
<1>FanDuel
ジェルサレム:+196(2.96倍)
優大:-144(約1.69倍)
<2>betway
ジェルサレム:+138(2.38倍)
優大:-163(約1.61倍)
<3>ウィリアム・ヒル
ジェルサレム:5/4(2.25倍)
優大:4/6(約1.67倍)
ドロー:14/1(15倍)
<4>Sky Sports
ジェルサレム:13/8(2.625倍)
優大:4/6(約1.67倍)
ドロー:16/1(17倍)
◎畑山隆則(KO負けで陥落・引退から復帰)との対談
※昨年8月のサルヴァ戦前
まずはしっかり距離を見定めて、右のリードで王者の出足を僅かに遅らせながら、コンパクトな左で上下を打ち分けることが重要だと、昭和からボクシングを見続けてきたマニアは、今日もまた同じ繰言を呟くのみ。
サルヴァ戦の再現(内容と出来)では、小差の割れた判定まで持ち込むのが精一杯か・・・。
◎ジェルサレム(31歳)/前日計量:104ポンド(47.2キロ)
現WBCストロー級王者(V1),元WBO M・フライ級王者(V0)
戦績:26戦23勝(12KO)3敗
身長,リーチとも157センチ
※以下計量時の計測
血圧:130/81
脈拍:52/分
体温:34.0℃
右ボクサーパンチャー
◎優大(27歳)/前日計量:104.7ポンド(47.5キロ)
前WBCストロー級王者(V1),前日本ミニマム級(V0),元WBOアジア・パシフィックM・フライ級(V1),元日本ユースミニマム級(V0)王者
戦績:10戦9勝(5KO)1敗
アマ通算:91戦81勝(21RSC・KO)10敗
2018年度全日本選手権優勝(L・フライ級)
2015年度高校選抜優勝
2015年度インターハイ優勝
2015年度第70回回国体少年の部優勝
2014年度インターハイ優勝
階級:ピン級
熊本開新高校→拓殖大学
身長:160.8センチ,リーチ:158.7センチ
※ウィルフレド・メンデス戦の予備検診データ
※以下計量時の計測
血圧:135/88
脈拍:52/分
体温:35.2℃
左ボクサーファイター
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■オフィシャル
主審:レイモンド・チャン(香港)
副審:
ジェセフ・グウィルト(タイ)
タウット・プルームサムラン(タイ)
クリス・テレス(米/ニューメキシコ州)
立会人(スーパーバイザー):アクー・ジャン(中国)