両国3大決戦 プレビュー 3 - ”4団体統一を公言・中谷戦をも見据えた拓真の勝算は・・・ -
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■2月24日/両国国技館/WBA世界バンタム級タイトルマッチ12回戦
王者 井上拓真(日/大橋) vs WBA位/前IBF J・バンタム級王者 ジェルウィン・アンカハス(比)
王者 井上拓真(日/大橋) vs WBA位/前IBF J・バンタム級王者 ジェルウィン・アンカハス(比)
「兄(尚弥)が返上したバンタム級のベルトを、もう一度自分が集める。」
歴戦の雄,リボリオ・ソリスを3-0の判定に下してWBA王座に就いた拓真は、今後の目標についてはっきり言い切った。
半ば無理やりに自らを鼓舞しているようにも見えたし、本心からそれを望んでいるのかどうか、今1つ釈然としない印象も残ったけれど、他に自分自身を納得させ得るチャレンジが見当たらない。
兄尚弥との実績の差は、もはや埋めようがないほど乖離してしまった。アンカハス戦に向けた会見やインタビューの中で、「目標を見失いかけた」と本音を吐露することも・・・。
尚弥への評価と賞賛が高まる一方で、まばゆい光の傍らに追いやられた影のように、地味で目立たない存在へと追いやられてしまう。それこそが勝負の世界の常,容赦呵責のない現実とは言え、簡単に言葉で表し切れない相克があったに違いない。
桁外れの爆発力で当たるを幸い倒しまくる尚弥に対して、拓真最大のストロング・ポイントは、スピード&タイミング。
「相手に何もさせない。触らせないボクシング」こそ拓真の本領だと、父の真吾トレーナーはこれまで何度もそう繰り返してきたが、愚直なと言いたくなるほど不器用な打ち合いにのめり込み、負わずに済んだ筈の傷とダメージを負う。
WBC暫定王座を獲得した4年前のペッチ・CPフレッシュマート戦でも、打ち終わりに棒立ちになる悪い癖を面白いように突かれ、無用な被弾を続けて苦しんだ。
正規王者ナルディーヌ・ウバーリ(仏)とのWBC内統一戦では、「経験が違う。拓真は良いボクサーだが、私のような万能型とは初めての対戦になる」と、自信満々に語るウバーリの言葉通り、ダウンを奪われ一敗地に塗れている。
その後は、栗原慶太(一力)からOPBF王座を奪うと、122ポンドに上げて和氣慎吾(FLARE山上),古橋岳也(川崎新田)の2人を破るも、尚弥のS・バンタム進出に伴いバンタムに出戻り。
フィリピンの中堅選手を8回TKOに屠り、およそ6年半ぶりとなる手応えに思わず吼えた。そして、4本のベルトを巻いた尚弥が予定通り返上。ソリスとの王座決定戦出場のチャンスをモノにする。
ソリス戦の拓真は、ペッチ戦,ウバーリ戦とは違って、打ち終わりの処理をサボらず頭の位置を変え、ソリスの攻撃を足で外しながら、「打たせずに打つ」スタイルに撤していた。肝心要の「打つ」方は、精度に今一歩の課題を残しはしたものの、綺麗な顔のまま12ラウンズを戦い終えることができたのは大きな収穫と表していい。
直前のオッズは、何とも微妙な数字になった。本来ならば、昨年11月15日に開催される予定だったが、延期の原因となった拓真の負傷(肋骨骨折)も無関係ではないと思う。万全な状態に回復しているというが、アンカハスは当然そこを狙ってくる。
□主要ブックメイカーのオッズ
<1>BetMGM
拓真:-225(約1.44倍)
アンカハス:+200(3倍)
<2>betway
拓真:-225(約1.44倍)
アンカハス:+188(2.88倍)
<3>ウィリアム・ヒル
拓真:4/9(約1.44倍)
アンカハス:7/4(2.75倍)
ドロー:14/1(15倍)
<4>Sky Sports
拓真:1/2(1.5倍)
アンカハス:9/4(3.25倍)
ドロー:22/1(23倍)
115ポンドで安定政権を築いたアンカハスは、フェルナンド・マルティネス(亜)に連敗して階級アップを決断。以前からフィジカルの強さを嫌う傾向が顕著で、力で押されることを苦手にする。
技術&神経戦に相性の良さを発揮するだけに、拓真を「持って来いの相手」と見立ている可能性が高く、会見で「勝算は100%」と語る大橋会長に対して、MPプロモーションズの代表を務めるショーン・ギボンズが「110%勝つ」と胸を張ったのは、前景気を煽るリップサービスでもなければ空元気でもない。
アンカハスをアウトボックスするのは、骨の折れる仕事になる。その為に最も重要なピースは、ジャブの精度&タイミング。これが向上していないと、アンカハスのプレスがかかり易くなり、見栄えの良くない時間帯が増えてしまう。
ソリス戦の展開も、見る人によっては「押し負けた」「地の利を得ての逃げ切り勝ち」と言われてしまいかねない。
サウスポー対策にも抜かりはないと信じるが、とにもかくにも足を止めないこと。そして正確かつコンパクトなジャブを絶やさないで。
◎【ダイジェスト版】2.24 LIVE BOXING 7 スペシャルコンテンツ | プライムビデオ
2024/02/10
◎拓真(27歳)/前日計量:117.7ポンド(53.4キロ)
現WBAバンタム級王者(V0),元WBCバンタム級暫定王者(V0),前日本S・バンタム級(V0),WBOアジア・パシフィック S・バンタム級(V1),OPBFバンタム級(V0), 元OPBF S・フライ級(V2)王者
戦績:18戦17勝(4KO)1敗
アマ通算:57戦52勝(14RSC)5敗/綾瀬西高校
キッズボクシング(小学高学年~中学)
戦績:15戦14勝1敗
2012年インターハイ準優勝(L・フライ級)
2011年ジュニア世界選手権ベスト16(L・フライ級/アスタナ,カザフスタン)
2011年高校選抜優勝(L・フライ級)/ジュニアオリンピックを兼ねる
2011年国体(山口県)準優勝(L・フライ級)
2011年インターハイ優勝(ピン級)
※中京高時代の田中恒成(現WBO J・フライ級王者/畑中)とは、5度対戦して2勝3敗。
”スーパー高校生”として大きな注目を集めたライバル同士。
身長:164.2センチ,リーチ:163センチ
※ウバーリ戦の予備検診データ
脈拍:51/分
血圧:142/84
体温:36.0℃
※計量後の検診
右ボクサーファイター
◎アンカハス(32歳)/前日計量:117.7ポンド(53.4キロ)
前IBF J・バンタム級王者(V9)
戦績:39戦34勝(23KO)3敗2分け
身長:168センチ,リーチ:169センチ
脈拍:98/min
血圧:100/71 Hgmm
体温:35.9℃
※計量後の検診
左ボクサーファイター
◎前日計量
◎「何もさせない」
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■オフィシャル
主審:マーク・ネルソン(米/ミネソタ州)
副審:
ルイージ・ボスカレッリ(伊)
アレックス・レヴィン(米/フロリダ州)
キム・ビュンム(韓)
立会人(スーパーバイザー):ウォン・キム(韓)