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2023年12月

チャレンジャーはリアル安牌? /通算12回目の大晦日で田中恒成戦以来のKO防衛を目論む - 井岡一翔 vs J・ペレス プレビュー -

カテゴリ:
■12月31日/大田区総合体育館/WBA世界S・フライ級タイトルマッチ12回戦
王者 井岡一翔(志成) vs WBA6位 ホスベル・ペレス(ベネズエラ)





6度守ったWBO王座を惜しげもなく捨てて、懐かしくも慣れ親しんだWBAに乗り換えた井岡が、新しいベルトの初防衛戦。

切望するファン・F・エストラーダ(WBC王者/115ポンド最強の評価を確立)との対戦交渉が暗礁に乗り上げてしまい、恒例となった大晦日興行(2018年から4年連続開催/5年目:通算12度目)もどうなるかと思われたが、上手いことピンチヒッターが見つかって一安心。

刺青を巡るJBCとの対立に続き、ドーピング違反(大麻を検出)に揺れた後、中谷潤人との指名戦回避に対する批判等々、ディフェンスを中心とした技術力への高い評価とは裏腹に、井岡の周辺は何かと騒がしく落ち着かなかった。


新たに用意されたチャレンジャーが無名ということもあり、掛け率は圧倒的な差で井岡支持。

□主要ブックメイカーのオッズ
<1>BetMGM
井岡:-2000(1.05倍)
J・ペレス:+800(9倍)

<2>betway
井岡:-2000(1.05倍)
J・ペレス:+900(10倍)

<3>ウィリアム・ヒル
井岡:1/20(1.05倍)
J・ペレス:8/1(9倍)
ドロー:20/1(21倍)

<4>Sky Sports
井岡:1/25(1.04倍)
J・ペレス:17/2(9.5倍)
ドロー:20/1(21倍)


今月21日の公開練習では、終了後のプレス対応でKO宣言も飛び出すなど、表情にはいつも以上の余裕が感じられる。



調整ミスに関する心配はまず無い。敢えて問題を探すとすれば、過去の試合映像も含めて、挑戦者の情報が少ないことぐらいだろうか。

つまびらかにはわからないが、ベネズエラのトップボクサーの多くがそうであるように、ペレスもまた豊富なアマチュア経験を有している。あくまで自己申告ベースではあるが、一応130戦を超えているとのこと。

限られた映像で確認できるリング上のペレスは、構えた姿も良く動きにもソツがない。しっかりガードを上げて肘を内に絞り、堅実に様子を見ていたかと思うと、前に出た左腕を下げて楽に構えつつ、挑発半ばの駆け引きを仕掛ける。


戦績だけを見ると、結構なパワーパンチャーを想像してしまいかねないけれど、1発の怖さは無い。悪くないスピードとタイミングを武器に、コツコツとジャブ&コンビネーションで削りながら、ポイントをまとめて行くボクシング。

アルテム・ダラキアン(ウクライナ)のWBAフライ級王座にアタックして、大差の0-3判定負けを喫した初挑戦(2020年2月)では、ノーガードのトリッキーなムーヴとクリンチワークも駆使する練達の王者を前にペースを手繰り寄せることが出来ず、中盤以降攻勢を強めながらも、ダラキアン独特のステップ&ボディムーヴとホールドに阻まれ、いい場面を作れないまま12ラウンズを終えた。

防衛疲れと言うより、パンデミックによるブランクに続く、母国を見舞った深刻な戦禍の影響と見るのが筋ではないかと思うが、調子を落とす前のダラキアンの試合運びに一日の長を認めざるを得ない。


帰国して全敗と負け越しのアンダードッグを2人続けて瞬殺したペレスは、11勝3敗の同国人を4回KOに屠り、およそ5年ぶりにナショナルタイトルを獲得(フライ級とS・フライ級の2階級制覇)。2016年デビューのプロ7年生に、ベテランの呼称は重過ぎて似合わないけれど、ボクシングは相応にこなれていてセンスもある。

ダラキアンに対して直線的に突っかける場面が多く、井岡が苦手にするフィジカルの強さとしつこさはさほどでもない。敢えて不安要素を求めるなら、ペレスがうるさく出入いりを繰り返し、来ると見せて来ず、押しては引いて、左右の揺さぶりをかけて来るパターン。

井岡の実直な正攻法は、ダラキアンに比べればわかり易く捉え易いと言えなくもない。S・フライに上げてからの井岡のディフェンスは、国内のファンが思うほどの鉄壁ではなく、カウンターを狙うが故に被弾は増えている。


ペレスの反応が案外しっかりしていることもあって、無策(失礼)の田中恒成ほど簡単ではないと見ることも可能・・・ではあるものの、マックウィリアムズ・アローヨを一瞬で切り倒した畢生の右ストレートよ今一度。

国内引退の最終手段に打って出て、実父と叔父の下を飛び出し、退路を完全に断って単身渡米。「SuperFlyシリーズ」への参戦を実力と覚悟で引き寄せたあの一戦こそ、ミニマム級時代の八重樫東戦を凌駕する、プロボクサー井岡一翔のベストバウトと信じて疑わない。

30代半ばに差し掛かり、勤続疲労も見え隠れする昨今の井岡に、5年前の切れ味と冴えを求めるのは酷かもしれないが、エストラーダとフェルナンド・マルティネス、あるいは、エストラーダ戦の話が持ち上がっているバム・ロドリゲス(やはり出戻り?)の誰とやっても、脳裏に浮かぶのは厳しい結果ばかり。

とりわけ”パワーハウスタイプ”のマルティネスとロドリゲスは、井岡にとって最も相性が悪くリスキー。井岡に負けず劣らず長年の疲労が顕在化しつつあり、インサイドワークの応酬を軸にした駆け引き合戦が望める万能型のエストラーダの方が、まだ噛み合うとの陣営の読みは当たらずとも遠からず。


ただそのエストラーダにしても、いざとなれば”マチズモ”を全開にして、迷うことなく強打を振るって襲い掛かってくる。

何にしても、フィジカル&メンタル両面のタフネスを誇るメキシカンは、井岡にとって最大の鬼門と承知するべし。


◎井岡(34歳)/前日計量:114.6ポンド(52キロ)
現WBA S・フライ級(V0),前WBO J・バンタム級(V6/返上),元WBAフライ級(V5),元WBA L・フライ級(V3).元WBA/WBC統一ミニマム級(V3)王者
戦績:33戦30勝(15KO)2敗1分け
世界戦通算:24戦21勝(10KO)2敗1分け
アマ通算:105戦95勝 (64RSC・KO) 10敗
興国高→東農大(中退)
2008年第78回,及び2007年第77回全日本選手権準優勝
2007年第62回(秋田),及び2008年第63回(大分)国体優勝
2005年第60回(岡山),及び2006年第61回(兵庫)国体優勝
2005年第59回,及び2006年第60回インターハイ優勝
2005年第16回,及び2006年第17回高校選抜優勝
※高校6冠/階級:L・フライ級
身長:164.6センチ,リーチ:166センチ
※ドニー・ニエテス第2戦の予備検診データ
右ボクサーファイター


◎ペレス(28歳)/前日計量:114.6ポンド(52キロ)
戦績:23戦20勝(18KO)3敗
アマ戦績:約130戦(勝敗詳細不明)
ベネズエラ国内選手権6回優勝
※階級及び年度不明
身長:165センチ
右ボクサーファイター


◎前日計量(ABEMA公式)



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■リング・オフィシャル
主審・副審:未発表

立会人(スーパーバイザー):ホセ・オリヴィエ・ゴメス(パナマ/WBAランキング委員)



タフなマッチメイクから一息(?)の超新星と堤試行錯誤の元王者 - 井岡一翔 vs J・ペレス アンダーカード・プレビュー -

カテゴリ:
<1>12月31日/大田区総合体育館/フェザー級10回戦
WBC11位 堤駿斗(志成) vs WBA15位 ルイス・モンシオン・ベントゥーラ(ドミニカ)



堤の次は堤。

駄洒落のつもりではないが、命を削るがごとき壮絶な打撃戦を繰り広げた堤聖也と穴口一輝の興奮冷めやらぬ中、フェザー級で世界を見据える同姓のスーパー・エリートが、昨年に続く2度目の大晦日興行参戦。





あと数歩日本タイトルに届かなかった穴口は、心身の限界を超えたに違いない深刻なダメージが心配だが、幸いにも現時点で異変は報じられていない。確かに穴口のパンチも十二分に効いていた。がしかし、王者の強打を浴びて複数回倒されていたことを考慮すれば、8ラウンド辺りでの棄権、すなわち将来ある若い身を守ることを最優先にするべきではなかったか・・・。

年が明けてからでもいいので、できるだけ早いタイミングでCTスキャンとMRIの検査を是非とも受けて貰いたいし、少なくとも2ヶ月は完全な休養にあてて、本格的なジムワークの再開まで3ヶ月程度の間隔を開けることをお勧めしたい。

長めの静養が必要なのは、1千万円の優勝賞金と死守したベルトとともに年越しする王者も同じ。

なんて原稿を書いていたが、念の為にとニュースを検索してみると・・・。「急性硬膜下血腫で緊急手術」の一報が。

「ああ、やっぱり・・・」と絶句した。

試合終了直後、自軍コーナーに戻った穴口の右足がガクンガクンと大きく痙攣して、まともに座れない状態になっていた。堤聖也とワタナベのコーナーも異変に気付いたが、その後肩を担がれながらも、自分の足で歩いて控え室に戻っていたし、救急搬送も報じられず、落ち着いたのかと安堵していたのだが。

事態を公表した安河内JBC事務局長によると、「手術は成功したが、意識は回復しておらず予断を許さない。」とのこと。今はただ、無事な帰還と回復を願うのみ。


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成り行き上「もう1人の堤」と書いてしまったが、コアなボクシング・ファンが熱い視線を送る「堤」と言えば、むしろ明日リングに上がる堤駿斗(つつみ・はやと)だろう。

粟生隆寛,岩佐亮佑,林田太郎(駒大3年時高校2年の井上尚弥から白星),三須寛幸(拓殖大で全日本2連覇)らを輩出した関東の名門、習志野高校から東洋大学に進学。アマ時代に獲得したタイトルは13にも及ぶ。

アマキャリアのハイライトは、どうしてもユース世界選手権の金(国内男子史上初)ということになってしまうが、当然駿斗も東京五輪メダル候補の最右翼の1人。女子の階級増を実現する為、またもや見直しが行われ、フライ(48~52キロ),フェザー(~57キロ),ライト(~63キロ),ウェルター(~69キロ),ミドル(~75キロ),L・ヘビー(~81キロ),ヘビー(~91キロ),S・ヘビー(91キロ~)の8階級に統一された。


AIBA(現在の呼称:IBA)とプロ契約を結ぶ選手が皆無の日本は、代表枠を最優先で与えられるAPB(AIBA Pro Boxing)とWSB(World Series of Boxing/財政難を理由に2019年に終了)とは無縁であり、五輪前年の世界選手権が最も重要な大会として位置づけられる。

ここで代表枠を得られないと、過酷な5大陸予選(日本はアジア・オセアニア枠)を勝ち抜くしかない。枠がまだ残っている階級については、世界最終予選の道が残されてはいるが、「世界選手権 or 5大陸予選」が日本に取っての大原則。

日本には開催国枠として「男×4+女×2階級」の計6枠が与えられていたが、日連は「世界選手権のメダリストと、5大陸予選で自力で枠を獲得した選手の権利を尊重・最優先にする」と公表。

世界選手権のメダリストと全日本選手権の優勝者が異なった場合、あらためて当該選手同士による代表選考を行い、最終選考とする。また、世界選手権で枠を獲得できなかった階級は、全日本選手権の優勝者と日連が選出する候補者による代表選考を行い、5大陸予選への派遣を決める(Box-Off方式の採用)。


世界選手権の代表は、本命と目される有力候補が全日本で敗れた場合を除き、選考会の結果如何によらず、前年の全日本選手権優勝者がそのままスライドすることが多い。

◎2018年全日本選手権優勝者
L・フライ級:重岡優大(拓殖大)
フライ級: 柏崎刀翔(福井県連)
バンタム級:村田昴(日大)
ライト級:森坂嵐(東京農大)
L・ウェルター級:成松大介(自体校)
ウェルター級:岡澤セオン(鹿児島県体協)
ミドル級:森脇唯人(法政大)
L・ヘビー級:栗田琢郎(日大)
※2018年度はロンドン・リオの2大会で採用された階級を継続

2012年のロンドン大会で正式競技となった女子の出場人数枠(3階級:1階級×12名=36名)を捻出する為、男子のフェザー級が廃止され、駿斗は主戦場にしていたバンタム級で頂点を目指すも、緒戦(シード:2回戦から)で右拳を骨折。不戦勝で決勝に進んだ中岡蓮(愛媛総合警備保障)を0-3判定に下した村田昴に凱歌が上がった。


そして2019年の世界選手権について、AIBAが「東京五輪の予選を兼ねない」との方針を打ち出した為、日連は柏崎(F),成松(L),岡澤(W),森脇(M)の全日本王者4名をそのまま正代表に選出。

また、実施階級が変わって復活したフェザー級(57キロ)について、あらためて代表選考会の実施を通知。世界選手権に相応しいレベルかどうかを判断する目的で、L・ヘビー級も同時に行うことに。

2019年6月14日、バンタム級とライト級から上位2選手が呼ばれて、ナショナル・トレセンに集合。4名によるトーナメントが行われ、16日の終了後に村田昴(前年の全日本王者)の派遣が決まる。L・ヘビー級は全日本王者の栗田ではなく、元々本命視されていた拓大の梅村錬が推挙された。
※本代表選考会の試合結果は非公表


世界選手権の本番では、柏崎(F),村田(Fe),梅村(L・H)の3名が初戦で姿を消し、善戦健闘の成松もベスト8を目前にしてブラジル代表に2-3の惜しい星を落とす。1回戦をシードされたウェルター級の岡澤は、ただ1人ベスト8まで駒を進めたものの、英国代表のパット・マコーミックに2-3で敗れ、あと1歩のところでメダルに届かなかった。

年末の全日本選手権で巻き返しを狙った駿斗は、準決勝で村田昴(自衛隊体育学校:自隊校)を5-0で破り、決勝でも実力者の藤田健児(自隊校)に5-0のポイント勝ち。

◎五輪実施階級の優勝者
フライ級:田中亮明(中京高校教諭/東京の本大会で銅メダル獲得)
フェザー級:堤駿斗(東洋大)
ライト級:西山潮音(駒沢大)
ウェルター級:岡澤セオン(鹿児島県体協)
ミドル級:森脇唯人(自隊校)
L・ヘビー級:梅村錬(拓殖大)


同じ東洋大出身の大先輩,村田諒太に続けとばかりに、ヨルダンで開催されたアジア・オセアニア予選(2020年3月)に乗り込むも、まさかの初戦敗退。岡澤(W)に加えて、女子の入江聖奈(日体大/Fe=本大会で金メダルの壮挙)と並木月海(自隊校/F=本大会で銅メダル)の3名が自力で出場枠を確保した。

この後、全世界を大混乱に陥れる武漢ウィルス禍の大流行が日本にも襲い掛かり、3月24日に1年間の延期が決まる。日連は翌25日に談話を発表。自力で枠をもぎ取った3名と、開催国枠を使って代表に選出した田中(F)、成松(L)、森脇(M)の選考に変更無しとの方針を示す。

5大陸予選も思うようにスケジュールを消化できない中、最後のチャンスとなる世界最終予選(2021年6月/パリ)が、パンデミックを理由に中止(2021年2月中旬)。

梅村錬(L・H)、浜本紗也(日本大/ライト級)、鬼頭茉衣(中京大大学院/ウェルター級)、津端ありさ(西埼玉中央病院/ミドル級)の男女4選手とともに、代表権奪取の夢を絶たれてしまう。


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こうして五輪出場こそ叶わなかったが、”ネクスト・モンスター”、”井上尚弥2世”と呼ばれるなど、早くから注目を集めたのも、ユース世界選手権の金メダルを筆頭にした華々しい戦果の賜物。


弟の麗斗(れいと)も習志野高から東洋大へと進み、1年生で出場したユース世界選手権(2021年:キエルツェ/ポーランド)でライト級の金メダルを獲得しており、大会優秀選手にも選出されている。

パリ五輪でのメダル獲得(フェザー級を選択)に大きな期待を担い、2021年の世界選手権(ベオグラード/セルビア)にも代表として派遣され、3回戦でロシアのヴセヴォロド・シュムコフに1-4の完敗。目標としていた準決勝進出は成らず、代表枠を獲り逃す。
※ロシアとベラルーシは「AIN(中立な個人選手)」としてパリ五輪への出場を承認済み


さらに今年2月(25・26日)、男子世界選手権(4月末~5月上旬:ウズベキスタン/タシケント)と、アジア大会(9月~10月:中国杭州/男女)の代表選考会にも召集を受けたが、棄権による不戦敗扱い。

初戦で麗斗と当たる予定だった原田周大(専修大)が正代表となり、9月の本大会で銀メダルと併せて貴重なパリの代表枠を確保する(世界選手権は1回戦敗退)。フェザー級の代表選考に呼ばれた4名の中には、同じ東洋大の田中将吾が含まれていて、選考会の決勝を棄権して原田に譲り、バンタム級の代表に選出されている。

さらに11月21日から墨田区総合体育館で行われた全日本選手権では、緒戦となる2回戦(4日目)の計量で50グラムオーバーの失格。本当に落とせなかったのかという疑問も含めて、一連の経緯がモチベーションの維持に悪影響を及ぼしたことは想像に難くない。


上述した代表選考のプロセスに関して、日連の意向(フェザー級は原田の派遣が決まっていた?)を汲んだ東洋大の三浦数馬監督(OB/元日本S・バンタム級王者)が、バンタム級での調整が可能だった田中を代表に送り込むことを条件に、麗斗に因果を含めたのではないか、卒業を待たずに志成ジムからプロ入りするのでは・・・等々、無責任な憶測も聞かれた。

2028年のロス大会を十分狙える年齢(21歳)だが、プロのジムならどこでも欲しい逸材には違いなく、動向が気にかかる状況ではある。


そして千葉の堤兄弟には一番上にもう1人兄がいて、3人揃って幼い頃から空手とキックボクシングを習っていたそうだが、駿斗が中学2年でボクシングに転向するまで、那須川天心も同じジム仲間だったという。

小学校1年の時に参加した空手の大会で負けた女の子が、那須川の妹(梨々:プロのキックボクサーとして活躍)だったのは有名な逸話の1つ。

キックへの専念を決めた天心が、2011年に結成した「TEAM TEPPEN」に誘われるままに参加。K-1に憧れを抱き、格闘技のプロになると思うようになった。


長兄の勇斗はボクシング部の無い県立犢橋(こてはし)高校に進学した為、千葉市内にある本多フィットネスジムに通いながら、ジム所属のアマチュア選手として練習を継続(学校の方針で公式戦への出場は無し)。

卒業後拓殖大に入学してボクシングを続けたが、タイトルや入賞歴を含む戦績は開示していない。プロへ進むこともなく、弟2人のサポート役を務めていたとのことだが、今年の春頃ブレイキング・ダウンへの参加が伝えられた(敗れた模様)。


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ボクシングも小学5年からスタートしていたそうだが、空手&キックとの掛け持ちを止めた駿斗は、日連が主催する「UJ(アンダージュニア)大会で優勝(弟の麗斗も優勝)した他、JPBAが手掛けるU-15全国大会でも優勝している。高校生になって以降の目覚しい活躍は上記の通り。

「(五輪予選敗退は)やはりショックだった。メダルを獲れると信じていたので。でも、五輪は東京で終わりと決めていたので迷いはなかった。格闘技のプロになって成功すること。それが子供の頃からの夢だったので、ブレることは一切無かった。」

プロ転向を正式に明らかにしたのは、昨年4月13日。26日には後楽園ホールでプロテストに臨み、余裕でB級(6回戦)合格。実技(スパーリング)で胸を貸してくれたのは、名古屋の薬師寺ジムから移籍してきた志成ジムの先輩で、WBOアジア・パシフィックのベルトも巻いた森武蔵だった。

◎プロ入り会見



デビュー戦は7月13日。「井岡 vs ドニー・ニエテス(比)2」のアンダーカードで、特例として10回戦が認めら、OPBF5位の肩書きを持つジョン・ジェミノ(比)に、ほぼフルマークの3-0判定勝ち。
※試合映像:ttps://www.youtube.com/watch?v=-HSZ4M7fjsM


昨年大晦日の興行で2戦目のリングに上がり、S・バンタム級の前OPBF王者ペテ・アポリナル(比)と対戦。第6ラウンドに左フックからの連打でダウンを奪い、今度はリアルにフルマークの10回判定勝ちを収めたが、倒し切れなかったことへの悔しさ、反省の弁が強調される。
※試合映像
<1>Part 1:ttps://www.youtube.com/watch?v=BftLoQs_IiM
<2>Part 2:ttps://www.youtube.com/watch?v=zIi30tKd-yY


今年5月にABEMAとのスポンサー契約締結が報じられると、同月31日には空位のOPBF王座を懸けて、プロテスト以来となる後楽園ホールに見参。

世界挑戦経験(122ポンド/エマニュエル・ナバレッテに11回TKO負け)を持つジョー・サンティシマ(比)とぶつかり、大差の3-0判定で載冠に成功。3戦目での東洋太平洋タイトル奪取は、2017年10月に清水聡(大橋/引退)が作った4戦目を抜く国内男子最速記録を達成。
※試合映像:ttps://www.youtube.com/watch?v=OI9Fhs0JmD8


ガチンコのハードなマッチメイク故に止むを得ないことではあるが、KOが無いことへの不満とストレスは、駿斗自身が誰よりも痛感しているところ。

「KOはボクシングの華。どんなに綺麗に相手を完封しても、KOのインパクトは全然違う。プロである以上、倒して勝てるようにならないといけない。そこは自分で自分にプレッシャーをかけている。」


WBSSの準決勝でマニー・ロドリゲスとの対戦が決まった井上尚弥から、スパーリング・パートナーを依頼され、大橋ジムで複数回に渡ってリアル・モンスターと手合わせした経験も、「倒して勝つ」ことへのこだわりに強く影響しているらしい。

「もう試合です。本気で倒しに来る。あんな緊張感を味わったのは井上さんだけ。パンチがあるとか速いとか技術がどうとか言うより、本気で潰しにかかる迫力が凄かった。」

「尋常じゃない集中力を切らさず、スパーリングを何ラウンドもやり続ける。だから世界戦であれだけ倒せるんだと思い知らされた。ここまでやらなきゃ駄目なんだって。」


対戦相手の水準を当たり前に引き下げれば、すぐにでもノックアウトは可能なのだろうが、4戦目に迎えられたのは、WBA15位にランクされるドミニカ出身の好戦的なファイター,ルイス・モンシオン・ベントゥーラ。

どうやら、陣営には強気の相手選びを変えるつもりは毛頭無いらしい。しかし、10月13日に後楽園ホールでセットされたものの、試合前日に駿斗が40℃の高熱を出してダウン。計量云々の状態ではなく、試合は中止に(後日インフルエンザと判明)。

マドリード(スペイン)から中東ドバイ(UAE)を経由して、丸2日がかりで来日した陽気なドミニカンは、検診も無事に済ませてやる気満々。「(駿斗の試合)映像は見たよ。スパーも50ラウンズ以上こなしてきた。彼には何もさせない!」と意気込んでいただけに、突然のドタキャンに驚きと失望を露にしていた。


◎堤の欠場を伝える記事
<1>フェザー級のホープ堤駿斗が体調不良 あすの世界ランカー対決中止
2023年10月12日/Boxingnews.jp
https://boxingnews.jp/news/103558/

<2>堤駿斗が40度以上の高熱で13日の試合出場できず ドミニカから2日かけて来日した対戦相手も衝撃
2023年10月12日/スポーツ報知
https://hochi.news/articles/20231012-OHT1T51122.html?page=1



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突然のドタキャン騒ぎから2ヶ月。再び日本に降り立ったドミニカ人は、相変わらず明るく屈託がない。

一応オッズも付いていて、圧倒的なアンダードッグ扱いも意に介すことなく、「勝つのは俺。彼は物凄く期待されているみたいで、日本のファンには申し訳ないけど、余り気分のよくない年越しになる。でもこれが俺の仕事だから、悪く思わないで欲しい。」

□主要ブックメイカーのオッズ
<1>FanDuel
堤駿斗:-2400(約1.04倍)
ベントゥーラ:+1180(12.8倍)

<2>ウィリアム・ヒル
堤駿斗:1/20(1.05倍)
ベントゥーラ:8/1(9倍)
ドロー:22/1(倍)

<3>Sky Sports
堤駿斗:1/18(約1.06倍)
ベントゥーラ:9/1(10倍)
ドロー:28/1(29倍)


一応WBA15位の肩書きを持ってはいるが、ほとんど無名のローカル・ランカー。相応のアマチュア経験もあるとのことだが、国際大会での実績はないらしく、例によって戦績もはっきりしない。

youtubeに以下のチャンネルを見つけたが、本人のオフィシャルなのかどうかは不明。アマチュア時代の試合映像が9つ掲載されている。

■Mao Boxin Moncion Ventura
https://www.youtube.com/@maoboxinmoncionventura5125/videos


国内選手権を6度制しているとのことだが、確かにスピード&シャープネスに不足は無く、足捌きとムーヴィング・センスもまずまず。2021年2月にプロ入りして以降の映像も幾つかあって、「Luis moncion」というチャンネル名なので、こちらがオフィシャルの様子。

■Luis moncion
https://www.youtube.com/@luismoncion2507


ニカラグァのディルソン・フローレスという選手を6ラウンドでストップした映像を見ると、かなり強引に力で振り回していて、パンチに自信のあるイケイケどんどんと勘違いしてしまうが、相手との実力差が明々白々だからだと捉えるべき。他の試合映像を見ればわかる通り、適時足を使ったアウトポイントもこなす。

ストレートとフックだけでなく、アッパーも含めたカウンターのタイミングも悪くないので、駿斗が真っ正直に正面から突っ込みながら、同じテンポとリズムで「ワンツー、ワンツー⇒ボディ、さらに左の返し」の基本形を続けると、思わぬ落とし穴にハマる恐れがゼロではない。

いい加減KOが欲しい気持ちはわかるけれど、判定勝負を念頭に置きつつ、丁寧に立ち上がるのが得策。そもそも力でねじ伏せるボクシングではないだけに、ドミニカ人を先に引き出して、上手に右を合わせる場面も見たいところ。


それから、「Ventura」のカタカナ表記について一言。従来からある日本のカナ表記では、「ベンチュラ」と記載されることがほとんどだった。

ドミニカは周知の通りスペイン語圏で、エスパニョールの発音だと「ベントゥーラ」になる。流石に「ベンチャーラ」は無いと思う。


◎堤(24歳)/前日計量:125.7ポンド(57.0キロ)
OPBFフェザー級王者(V0)
戦績:3戦全勝
アマ通算:94戦88勝(26RSC・KO)6敗
習志野高→東洋大
■五輪予選
2020年3月東京五輪アジア・オセアニア予選(アンマン/ヨルダン)フェザー級1回戦敗退
※フィリピンのイアン・クラーク・バウティスタに2-3の惜敗
■国際大会
2021年世界選手権(ベオグラード/セルビア)ライト級初戦敗退
2016年ユース世界選手権(サンクトペテルブルグ/ロシア)フライ級金メダル
2017年ASBCアジアユース選手権(バンコク/タイ)バンタム級金メダル
2016年ASBCアジアユース選手権(アスタナ/カザフスタン)フライ級金メダル
2018年アジア大会(ジャカルタ・バレンバン/インドネシア)バンタム級初戦敗退
※モンゴル代表のエンカ・アマル・カルクーに2-3の惜敗/高校1年以来の黒星と話題になった
2019年コンスタンティン・コロトコフ記念国際トーナメント(ハバロフスク/ロシア)57キロ(フェザー)級優勝
■全日本選手権
2019(令和元)年度第89回大会57キロ(フェザー)級優勝
2017(平成28)年度第87回大会バンタム級優勝
※高校生の優勝は2011年第81回の井上尚弥(L・フライ級)以来6年ぶり
■インターハイ
2018(平成29)年度フライ級優勝
2016(平成28)年度フライ級優勝20
■高校選抜
2018(平成29)年度第29回フライ級優勝
2017(平成28)年度第28回フライ級優勝
■国体
2017(平成28)年第72回愛媛大会バンタム級優勝
2015(平成27)年第70回和歌山大会フライ級優勝
※2018(平成29)年第1回山根杯争奪戦バンタム級優勝
身長:171センチ
右ボクサーファイター


◎ベントゥーラ(25歳)/前日計量:124.8ポンド(56.6キロ)
戦績:11戦全勝(9KO)
アマ戦績:約130戦(勝敗詳細不明)
ベネズエラ国内選手権6回優勝
※階級及び年度不明
身長:165センチ
右ボクサーファイター


◎前日計量(ABEMA公式)



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■比嘉大吾がWBC5位ナワポンと10回戦

悪夢のウェイトオーバー騒動から、早くも5年半が経つ。生涯の師でもあり、戦友でもある野木トレーナーとともに志成ジムに移り、2020年の暮れにバンタム級で再起してから、思うような内容と結果を見せていない。

再起後の戦績は6戦して4勝(2KO)1敗1分け。世界ランキングはWBO5位を頭に、WBA7位,IBF12位と回復しつつあるけれど、フライ級時代の爆発力が影を潜め、国内ランカーを相手に苦闘が目立つ。

今年8月、ビンセント・アストロラビオ(比)を地元バンコクに招聘して、WBC王座への挑戦権を懸けて戦い、激しい打撃戦の末11回TKO負けに退いたナワポンは、この試合が4ヶ月ぶりの復帰戦。

タイのトップ選手らしくタフでハートが強く、少々打たれても音を上げずに打ち返して来る。頭を低くして状態を振りながら、電光石火の踏み込みとともにボディから攻め込んでいた以前の比嘉なら、さほど心配することもなかった。

運動量が落ちて真正面に留まる時間が増えた今は、強打の応酬で我慢比べに引きずり込まれてしまい、半歩先に根負けしてしまう恐れが無きにしも非ず。ガード(ブロック&カバー)だけでなく、ボディワークとステップを惜しまず使って、打たせずに打つ上手いファイター(昨今は絶滅危惧種と言っていい)への変貌再進化を願わずにはいられない。


白井・具志堅ジムの閉鎖を受け、志成ジムに移った木村吉光が、坂晃典(仲里)とのOPBF S・フェザー級王座決定戦(再戦)に挑む他、アマ58戦のS・フライ級,重里侃太朗(じゅうり・かんたろう/27歳/5勝2KO1分け/仲里ジムから移籍)は、まずまずのレコードを持つタイ人(一応ミニマム級の元コンテンダー)との8回戦に出場。

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木村吉光が減量の失敗で緊急入院した模様。極度の脱水でドクターストップがかかり、止むを得ず試合は中止。木村には1年間のサスペンドと階級アップが勧告される見込みとのこと。タイトルマッチが吹っ飛んだ坂は、年の瀬に踏んだり蹴ったりといった按配・・・

6回戦と4回戦が1試合づつ用意された予備カードから、どちらか1試合を行うものと思われる(おそらく6回戦)。早いKO決着が増えれば、2試合ともやるだろうけれども。

※【ボクシング】木村吉光、減量失敗で救急搬送 坂晃典との再戦は中止
12月30日/サンケイスポーツ
https://www.sanspo.com/article/20231230-LAA56Q7UOFPOVNNBMDBEZYDXCE/?outputType=theme_fight

「2階級+4団体統一」 /モンスター伝説の新たな序章・・・? - 井上尚弥 vs M・タパレス プレビュー II -

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■12月26日/有明アリーナ/WBA・WBC・IBF・WBO世界S・バンタム級4団体統一12回戦
WBC・WBO統一王者 井上尚弥(日/大橋) vs WBA・IBF統一王者 マーロン・タパレス(比)




いまだ記憶に生々しい、フルトン戦の圧勝劇。122ポンド最強と目された”クールボーイ”を、パワーではなく、技術と駆け引きで問題にしなかった。

井上自身は「スピードと間合い。フルトンが一番驚いたのはそこだと思う。」と追懐しているけれど、開始間もなく、ジャブの刺し合いを難なく制してしまうのを見て、冗談じゃなく身体が震えた。

IBFのエリミネーターで岩佐に倒された後、タパレスはチームを一新している。イーグル京和との激闘で日本のファンに強い印象を残したロデル・マヨール(引退してトレーナーに転進)とのコンビを解消すると、マニラ近郊にジムを持つアーネル・フォンタニーリャをチーフに招き、カシメロもサポートするティン・アリオサが加わった。


多くの関係者が指摘している通り、リスタート後のタパレスは思い切りの良さこそ変わっていないが、大振り傾向が多少なりとも是正されて、細かいフェイントのヴォリュームも増やすなど、攻防のまとまりにも気を使うようになっている。

大番狂わせの載冠となったアフマダリエフ戦も、統一チャンプの調整不足(左拳の骨折で10ヶ月のブランク)に助けられたのは間違いないが、タパレスのボクシングがブラッシュアップされたことが大きい。

2008年に16歳でプロになったタパレスは、L・フライ級でデビューしている。大人の身体が出来上がるにつれ、S・フライ級に主戦場を移し、さらにバンタム級に上げてコンディションが安定。


初来日は2013年5月で、インドネシアのルーベン・マナカネを問題にせず、4回TKOで圧倒。2014年4月の再来日では、逆輸入ボクサーとして話題になった木村隼人(ワタナベ)に5回負傷判定勝ち。

そして2015年12月、京都の島津アリーナで大森将平(Woz)を瞬殺。当時最も世界に近いと言われ、大きな期待を担っていた強打の和製大型サウスポーを開始早々左のオーバーハンドで倒し、さらに2度のダウンを追加。

第2ラウンドに入ってまた倒し、何とか立ち上がった大森に右をヒットしてグラつかせ、レフェリー・ストップを呼び込み、WBOの指名挑戦権を獲得した。


翌2016年7月にタイへ乗り込むと、プンルアン・ソー・シンユーに11回TKO勝ち。赤穂亮に反則の限りを尽くし、後頭部に肘を叩き落して巻いたWBOのベルトが、フィリピンのニューヒーローの下へと渡る。

2017年4月に組まれた初防衛戦は、大森との再戦。会場も大阪府立が用意されたが、何とタパレスが2ポンド超過の計量失敗。戦わずしてベルトを失ってしまう。タパレス対策を立てて立ち向かう大森は、ボディ攻撃で王者を弱らせ想像以上の善戦。

打ちつ打たれつの展開が続く中、先に限界に達した大森の動きが止まり、終盤10ラウンドに右強打からの連打(左アッパー→右フック)を浴びてダウン。ここは何とか持ちこたえたが、11ラウンドにタパレスがラッシュを仕掛けて万事窮す。

4度目の来日はウェイトオーバーで評判を落とす結果となり、1年半を超えるスパンを開け、フェザー級で再起。2019年以降アメリカに足場を移し、S・バンタムに定住。岩佐に敗れて一度後退した後、上述した通り体制を変え、勅使河原弘晶を衝撃的な2回TKOに屠って、IBFの指名挑戦権を得た(2021年12月)。

パンデミックの影響にアフマダリエフの故障が重なり、タイトルへの挑戦がなかなか決まらず待たされたが、昨年5月にチューンナップを1つ挟んで、ようやく実現に漕ぎ着けた2度目のチャンスをモノにする。


アフマダリエフとも拳を交えている岩佐は、「大味に見えるけど、タパレスは案外上手い。パンチもまともには貰わないし、タイミングを合わせる感覚に優れている。」と好評価。

「1発が無いっていう訳じゃないけど、パワーはアフマダリエフの方が上。どうやっても井上君には勝てないとは思う。でも、実際に戦った者としてタパレスを応援する。」


マイク・タイソン以上の”モンスターマニア”として知られ、日本のファンにもすっかりお馴染みのティム・ブラッドリーも、「フルトン戦を見ただろ?。余裕だよ。タパレスもまあまあいい線いってるけど、何もかもが違い過ぎる。一方的な勝負になるよ。」と前半~中盤にかけての決着を語る。

「井上はアマチュアの時から凄い数のKOを量産してきた。子供の時からだぞ。そして未だに強くなり続けている。5歳の頃からボクシングを仕込まれて、二十歳かそこいらで108ポンドを獲って、階級を上げ続けて勝ち続けている。それも日々進歩しながらだ。誰も指摘しないけど、これはとんでもないことなんだ。」

ブラッドリーの入れ込み方も半端ではないけれど、オッズも凄いことになっている。

□主要ブックメイカーのオッズ
※12月1日
<1>BetMGM
井上:-1200(約1.08倍)
タパレス:+700(8倍)

<2>betway
井上:-1408(約1.07倍)
タパレス:+700(8倍)

<3>ウィリアム・ヒル
井上:1/20(1.05倍)
タパレス:7/1(8倍)
ドロー:25/1(26倍)

<4>Sky Sports
井上:1/16(約1.06倍)
タパレス:8/1(9倍)
ドロー:25/1(26倍)

※12月25日
<1>BetMGM
井上:-1600(約1.06倍)
タパレス:+800(9倍)

<2>betway
井上:-2000(1.05倍)
タパレス:+800(9倍)

<3>ウィリアム・ヒル
井上:1/20(1.05倍)
タパレス:9/1(10倍)
ドロー:22/1(23倍)

<4>Sky Sports
井上:1/16(約1.06倍)
タパレス:8/1(9倍)
ドロー:25/1(26倍)


◎計量後の囲み取材



「(前半の)タパレスはフルトンより怖い。1発があるし、普通とは違う角度とタイミングで、かなり遠いところからでもしっかり振って来る。」

今回もまた、父の真吾トレーナーと口を揃えるかのように語り、井上は警戒を怠らない。しかし同時に、次のようにも言っている。

「絶対に気が抜けない相手。でも、圧倒的に勝ちます。」


長身の大森と岩佐に見せていた、深いクラウチングスタイルから振るう外よりの左フックは減らすと思う。ガードも堅くコンパクトにして、井上のジャブと右強打に合わせて、相打ちのカウンターをストレートやアッパーで狙って来るのではないか。

それをいい具合に食らう井上ではないし、素早いステップとヘッドムーヴで確実に外しざま、ショートの左右で上下を小突くに違いない。タパレスがボディを苦手にしているのは確かで、ダスマリナス戦の再現も容易に想像がつく。

エルボーブロックの上からわざと強めの左ボディを叩き、十二分に危機感を煽った上で、瞬間移動の踏み込みから電光石火のワンツーを顔面へ。それでフィニッシュできなくても、またボディを抉って上に返す。


まともにやっていたら勝負にならない。イチかバチかで初めからブンブン振り回して来るのか、丁寧な様子見で長い勝負に持って行こうとするのか。タパレスの出方にもよるが、どんな戦い方できたとしても、モンスターがペースを掌握するのに2分はかからない。

できるものなら、パジャーノ戦の再現を。フルトン戦もため息が出るほど見事な結末だったけれど、それ以上に芸術的なKOをまた見てみたい。

タパレスがフルトンのように呑まれてしまうと、おそらく早くなる。2~3ラウンド。いい意味で開き直って、少々遅くても小さくても、しっかり守って前後左右に動きながら、強くてコンパクトなコンビで打ち返すことができたら・・・。

いや、それでも4~6ラウンド持つかどうか。

卒寿を超えた御大アラムが到着して、ジミー・レノン・ジュニアの顔もある。4団体の立会人がズラリと居並ぶ計量会場の眺めと雰囲気は、まさにラスベガスそのもの。

「引退を2年(35歳から)延ばしてもいいですか?」

井上からそんなことを言われたと明かした大橋会長が、「これは終着点じゃない。新たな伝説の始まりです。」と真顔で話す。

井上尚弥が歩むボクシング・ロードは、それ自体が奇跡として歴史に刻まれて行く。本当にグローブを壁に吊るしたら、最短(ラストファイトから5年経過)でキャナストゥータ(殿堂)に迎えられる。

井上尚弥という最上のギフトを地上に贈り出してくれた天に、ただただ感謝を申し上げ頭を垂れるのみ。


◎井上(30歳)/前日計量:121.7ポンド(55.2キロ)
戦績:25戦全勝(22KO)
現WBC・WBO統一S・バンタム級王者
WBA(V7)・IBF(V6)・WBC(V1)・WBO(V0)前4団体統一バンタム級王者.元WBO J・バンタム級(V7),元WBC L・フライ級(V1)王者
元OPBF(V0),元日本L・フライ級(V0)王者
世界戦通算:120戦全勝(18KO)
アマ通算:81戦75勝(48KO・RSC) 6敗
2012年アジア選手権(アスタナ/ロンドン五輪予選)銀メダル
2011年全日本選手権優勝
2011年世界選手権(バクー)3回戦敗退
2011年インドネシア大統領杯金メダル
2010年全日本選手権準優勝
2010年世界ユース選手権(バクー)ベスト16
2010年アジアユース選手権(テヘラン)銅メダル
身長:164.5センチ,リーチ:171センチ
※ドネア第1戦の予備検診データ
右ボクサーパンチャー(スイッチヒッター)


◎タパレス(31歳)/前日計量:121.3ポンド(55.0キロ)
WBA・IBF統一S・バンタム級王者,元WBOバンタム級王者(V0/体重超過によるはく奪)
戦績:40戦37勝(19KO)3敗
世界戦通算:4戦3勝(2KO)1敗
アマ戦績:50戦超(詳細不明)
身長:163センチ,リーチ:165センチ
左ボクサーファイター

◎前日計量



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■オフィシャル

主審:セレスティーノ・ルイス(米/イリノイ州)

副審:
ロビン・テーラー(米/ニューヨーク州)
ラウル・カイズ(米/カリフォルニア州)
クレイグ・メットカーフ(カナダ)

立会人(スーパーバイザー)
WBA:ホセ・オリヴィエ・ゴメス(パナマ/WBAランキング委員)
WBC:マイケル・ジョージ(米/ロードアイランド州/WBCシルバー・チャンピオンシップチェアマン)
IBF:ベン・ケイティ(豪/IBF Asia担当役員)
WBO:レオン・パノンチーリョ(WBO副会長/米ハワイ州/タイ在住)

◎Lemino公式
<1>WBA・WBC・IBF・WBO 世界スーパー・バンタム級王座統一戦 井上 尚弥 vs マーロン・タパレス
12月26日(火)無料LIVE配信(開場15:45/開演16:00)

<2>前日軽量:12月25日(月)ライヴ配信済み(開場12:45/開演13:00)


◎キック・オフ・カンファレンス(ダイジェスト)
2023年11月1日/Lemino公式


◎キック・オフ・カンファレンス(ダイジェスト)
※ショーン・ギボンズ(MPプロモーションズ代表)のコメント
2023年11月1日/Lemino公式


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■12月26日/有明アリーナ/WBA・WBC・IBF・WBO世界S・バンタム級4団体統一12回戦
WBC・WBO統一王者 井上尚弥(日/大橋) vs WBA・IBF統一王者 マーロン・タパレス(比)



ギリギリまで待っていたら、リング誌がようやく記事をアップした。恒例の「Fight Picks 尚弥 vs タパレス編」である。


FIGHT PICKS: NAOYA INOUE VS. MARLON TAPALES
2023年12月24日
https://www.ringtv.com/662517-fight-picks-naoya-inoue-vs-marlon-tapales/


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■専門記者(リング誌)

<1>アンソン・ウェインライト
井上:9回TKO勝ち
※フルトン戦の予想:井上3-0判定勝ち

<2>リー・グローブス
井上:7回TKO勝ち
※フルトン戦の予想:井上11回KO勝ち

<3>ディエゴ・モリーヤ(モリージャ)
井上:4回TKO勝ち
※フルトン戦の予想:井上判定勝ち

<4>>マーティ・マルケーヒー
井上:TKO勝ち

<5>ノーム・フラウエンハイム
井上:8回TKO勝ち
※フルトン戦の予想:井上3-0判定勝ち

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5名全員が井上のTKO勝ちを支持


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■ボクシング関係者

<1>デューク・マッケンジー(英国/元3階級制覇王者)
井上:KO勝ち
※フルトン戦の予想:フルトン2-0判定勝ち

<2>ヴァディム・コルニリョフ(マネージャー)
井上:TKO勝ち

<3>ジョリーン・ミッツォーネ(マネージャー)
井上:8回TKO勝ち
※フルトン戦の予想:井上判定勝ち

<4>カミル・エステファン(プロモーター/EYE OF THE TIGER)
井上:TKO勝ち

<5>トム・グレイ(リング誌元編集委員)
井上:2回TKO勝ち
「Style make fights」タパレスはなかなかの使い手で、打ち合いを好む。ただし、それは遅すぎる上に変化に乏しい。井上はタパレスより遥かに優れている。早い決着になるだろう。燃えるような勢いでコーナーから飛び出し、(あっという間にタパレスを倒して)誇らしく王座統一を宣言する。
※フルトン戦の予想:井上10回KO勝ち

<6>ジョー・ロトンダ(マッチメイカー/メイン・イベンツ)
井上:TKO勝ち
興味をそそられる戦いだ。タパレスは誰もが良く知る著名なファイターではないし、井上にとって過去最大の脅威とも言えない。それでもタパレスは勇敢で思い切りが良く、アフマダリエフから大きな勝利を上げた。一方の井上は、誰もが難しい試合になると考えたフルトンを打ち破り、(階級を上げても)無敵であることを証明した。どんな相手にも順応してしまうし、何の問題も感じさせない。それは今回も変わらないし、井上のパワーと波状攻撃が勝敗のカギを握る。モンスターが早い時間帯でストップする。
※フルトン戦の予想:井上3-0判定勝ち

<7>ロベルト・ディアス(マッチメイカー/GBP)
井上:TKO勝ち
グッド・ファイト。タパレスは王座統一を狙うのに相応しい実力の持ち主で、井上はこれからも圧倒的な才能、スピード、パワー、高い精度で世界を驚かせ続ける。彼は本当に特別な存在で、一生に一度出会えるかどうかのボクサーだ。だからと言って、短い夜にはならない。井上は卓越したスピードで距離をキープし、試合全般をコントロールする。8~10ラウンド辺りでタパレスのコーナーが棄権すると思う。
※フルトン戦の予想:井上勝ち

<8>リッチ・マロッタ(スポーツ・パーソナリティ/ボクシング・コメンテーター)
井上:TKO勝ち

<9>トニー・シムズ(英国のトレーナー)
井上:4回TKO勝ち

<10>ルティ・エルナンデス(トレーナー/USA帝拳)
井上:8回TKO勝ち
タパレスは岩佐亮佑戦の敗北を糧にして立ち直り、それなりに良くなっている。それでもなお、パウンド・フォー・パウンドのNo.1である井上を倒すまでには至らない。タパレスのスキルは侮れないし、ある程度までは渡り合えるが、それも8ラウンド辺りが限界だろう。井上が”モンスター”と呼ばれるには、それだけの理由がある。
※フルトン戦の予想:井上勝ち

<11>アレックス・スティードマン(解説者)
井上:KO勝ち
※フルトン戦の予想:井上判定勝ち

<12>クリス・アルジェリ(元WBO J・ウェルター級王者/コメンテーター)
井上:9回TKO勝ち

<13>ウェイン・マッカラー(英/アイルランドのトレーナー/元WBCバンタム級王者)
井上:7回TKO勝ち

<14>ラウル・マルケス(元IBF J・ミドル級王者/コメンテーター)
井上:5回KO勝ち
井上は間違いなくモンスターだ。非常に良く動き、手数も出て勢いがある。彼がホームの日本で負けるなんて考えられない。5ラウンドで終わらせる。
※フルトン戦の予想:井上判定勝ち

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14名(合計19名)全員が井上のTKO勝ちを支持


「2階級+4団体統一」 /モンスター伝説の新たな序章・・・? - 井上尚弥 vs M・タパレス プレビュー I -

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■12月26日/有明アリーナ/WBA・WBC・IBF・WBO世界S・バンタム級4団体統一12回戦
WBC・WBO統一王者 井上尚弥(日/大橋) vs WBA・IBF統一王者 マーロン・タパレス(比)


◎OFFICIAL TRAILER


全階級を通じて最高・最強を誇るパワー、日本人離れしたフィジカルの強度は無論、スピード(手足・身体・反応)、心身のタフネス(スタミナ)、リードジャブにコンビネーション&カウンターを含めたオフェンス、ディフェンス、インサイドワーク等々、攻防に関わる総ての要素で1歩も2歩も上回り、122ポンド最強の呼び声も高いスティーブン・フルトンのメンタルを開始から1分もかけずに崩壊させた驚愕の圧勝から早や5ヶ月。

いよいよ、”その日”がやって来た。

バンタム級で4年半の歳月を要した4団体統一。武漢ウィルス禍による1年近いブランク込みとは言え、交渉の難しさ(指名戦履行+タイミング)に象徴される難行を、S・バンタム級では1年でやり遂げようとしている。


1960年代前半~末にかけて表面(激)化した「WBA(全米:旧NBAによる支配体制) vs WBC(メキシコ+フィリピン=東洋連合+英国・欧州連合)」の対立に始まり、およそ20年かけて4つに増えた世界タイトル認定団体の分裂は、そもそも己の利権を剥き出しに主張し合う団体内部の権力闘争に端を発したもので、大金が動く世界戦を1つでも多く誘致したいプロモーターの我欲を絡めた地域間闘争でもあった。

WBAの内部(下部)組織だったWBCが1968年に独立を宣言し、多くの反対・懸念の声を押し切り単独王座の承認とランキング策定を強行した後、ベネズエラとパナマを中心とした反メキシコ(?)中南米勢に主導権を奪われた旧NBAの残党組みが、主に東海岸の主要プロモーターらと結託して再びWBAを割り、1983年にIBFを設立。

さらに5年後の1988年、プエルトリコを中心とするカリブ海沿岸地域の「反メキシコ+ベネズエラ+パナマのヒスパニック連合」が、またまたWBAに叛旗を翻してWBOを立ち上げた。


対立する他団体の王者のみならず、指名挑戦権を持つトップランカーと挑戦が決まった有力ランカーを。それぞれがそれぞれのランキングから外す愚行が横行し、世界の各地域に元々存在する地域王座を無視して、勝手気ままに地域タイトルを粗製乱造。

1970年代前半まで11だった階級を17へと大増設しただけでなく、さらにランキングも10位から15位に拡大して、乱造した地域タイトルの承認料とバーターで、各国・各地域の有力プロモーターが抱える有力選手に下位ランクをセットにして提供する。

承認料をケチってすぐに返上したりせず、律儀に防衛を続けてくれた場合、その選手が月例ランキングの更新に際して優遇されるのは自明の理。

◎公開練習
Highlights from Naoya Inoue's Open Workout As He Prepares for Undisputed Fight Against Tapales
2023年12月16日 Top Rank公式



WBCの単独王者認定が加速する1970年代前半以前、世界チャンピオンは11人しかいなかった。1つの階級に君臨する世界一は1人。世界一は希少だからこそ価値がある。そして、世界ランカーは各階級に10人(10位まで)だから110人。当たり前の常識である。

その当たり前が、当たり前ではなくなってしまった。11人しかいなかった世界チャンピオンは、単純計算で68人(4団体×17階級)に増加。絶対に生ずる同じ選手の重複ランクを無いものと仮定した、これまた乱暴な単純計算にはなるけれど、110人だった世界ランカーは最大1020人に膨れ上がる(4団体×17階級×15人)。

これだけの数を上手に回して行くのはそもそも不可能なのだが、暫定・休養・シルバー・ゴールド・フランチャイズ云々・・・世界一が1つの階級に4人ならまだしも、1つの団体が1つの階級に複数の世界一を平然と並立させる。


嘆かわしくも醜い承認料ビジネスと化したチャンピオン・シップ運営、4団体のあられもないシェア争い(陣取り合戦)が常態化してしまった惨憺たる状況下において、指名戦履行の優先順位を巡る政治的抗争を見れば明らかな通り、統一王者の存在は認定団体にとって本来厄介者でしか有り得ない。

すなわち、「世界チャンピオン×68名体制(1つの階級に4人)」の安定的な維持・稼動こそが、主要4団体にとって最も望ましい。

80年代半ば以降、プロボクサーが1年間にこなす試合数が激減した。世界チャンピオンの防衛戦も、概ね年間2試合。「17階級×4名×2回」で136回。下手に統一戦なんてやられようものなら、集金(承認料徴収)のチャンスがその分減ってしまう。


極めて例外的な存在が、80年代にスタートしたPPVを起動に乗せ、マーケットを作った立役者としてのマイク・タイソンであり、タイソンからPPVセールスキングの座を引き継いだオスカー・デラ・ホーヤであり、デラ・ホーヤを破ってスターダムの頂点に立ったフロイド・メイウェザーとマニー・パッキャオである。

WBOがスタートする2年前にWBC王座を奪取したタイソンは、矢継ぎ早にWBAとIBFを吸収して3団体を統一。レイプ事件で有罪判決を受け、3年半に及んだブランクから再起した後も、ボクサーとしてのピークはとっくの昔に過ぎていたが、すぐにWBCとWBAのベルトを撮っている。

また、主戦場のドイツ国内で巨大なサッカースタジアムを満杯にし続けたクリチコ兄弟も、EU域内における超例外的存在と言えた。弟のウラディーミルは、兄ヴィタリ(現在キーウ市長)が持つWBCを除く3団体を統一。兄弟でヘビー級の4団体を制圧した珍しいケース。


ライト級でWBOとIBFの2団体を制したデラ・ホーヤは、ウェルター級に上げてWBCを獲り、WBA王座を返上したアイク・クォーティに薄氷の逆転勝利を収めた後、IBF王者ティト・トリニダードと事実上の3団体統一戦をやって初黒星を献上。

その後S・ウェルター級でもWBAとWBCの2つを巻いて、ミドル級のWBO王座をフェリックス・シュトルムから強奪(露骨な地元判定勝ち)すると、3団体(A・C・I)をまとめたバーナード・ホプキンスにボディを抉られ、屈辱のテン・カウントKO負け。史上初となる4団体統一の夢を打ち砕かれた。

そのホプキンスも、ジャーメイン・テーラーによもやの大番狂わせを許し、あっという間に4本のベルトを失う。名うてのダーティ・ファイターとして知られるホプキンスは典型的なヒールの嫌われ者で、人気者のティト・トリニダードが階級を上げて来なければ、ミドル級の3団体統一は無かった。4団体統一の栄誉も、デラ・ホーヤがいたればこそ。

B-HOPのような嫌われ者ではなかったが、スターと呼べるほど人気に恵まれなかったテーラーは、認定団体からの手厚い庇護を受けることなく、B-HOPとの再戦を優先する為に、指名戦の履行に何かとうるさいIBFを即座に返上。

さらにWBAからの指名戦通告を無視し続けてはく奪され、残った2つのベルトもケリー・パブリックに譲ってジ・エンド。


統一路線に積極的ではなかったメイウェザーは、収入面でキャリアのピークを築いたウェルター級とS・ウェルター級の2階級でWBAとWBCを同時に保持していた時期があり、400万件超のPPVを売りまくったパッキャオ戦でWBOも獲得。ウェルター級で3団体を統一した。

8階級制覇(リング誌王座を含む/主要4団体:6階級)の偉業を成し遂げ、目も眩むようなアメリカン・ドリームを実現したパッキャオが、王座統一に無縁だったのは意外な気もするが、マネー・メイとパックマンクラスになると、もはやベルトの有無はさしたる意味を持たない。

◎Behind The Scenes of The Press Conference with Naoya Inoue & Marlon Tapales
2023年12月25日 Top Rank公式



日本という狭くて小さなボクシング・マーケットにおいて、ネット配信で数十万件のPPVを売り、1~2万人規模の会場をソールド・アウトにする井上尚弥は、経済規模から見ても”リアル・モンスター”である。

ミドル級でゴロフキン戦を引き当てた村田諒太は別にして、軽量級の王者が国内で億単位のギャランティを得るなど、閉鎖的な民放地上波を基盤とした旧来型のビジネスモデル、古くから続く業界の常識では到底考えらなかった。

マーケットの確立に程遠い女子ボクシングでは、男子より一足も二足も早く4団体統一がトレンドになっていたが、遅ればせの流れを男子にもたらしたのは、井上が世界にその名を広めるきっかけにもなったWBSS(World Boxing Super Series)に他ならない。

第1シーズン(2017~18年)でオレクサンドル・ウシクがクルーザー級の4団体を獲り、続く第2シーズン(2018~19年)でも、S・ライト級のジョシュ・テーラーと井上が2団体統一に成功して、完全制覇への大きな足掛かりとなった。


名実ともにメイウェザーの後継者(PPVセールス・キング)たるカネロ・アルバレスは、4団体をまとめてさらに維持する必要などないのに、S・ミドル級の4団体統一を丸2年続けている。

そして井上 vs フルトン戦から4日後、男子初の「2階級+4団体統一」に成功したテレンス・クロフォードに、ウシクとカネロを交えた4つ巴でパウンド・フォー・パウンドのトップを競う井上尚弥も、「例外中の例外(金額はともかく)」の列に並んだと称して然るべきだろう。

勿論、4団体統一後の防衛ロードは予断を許さない。先週末、無事に再起を果たしてWBAの指名挑戦者となったムロジョン・アフマダリエフだけでなく、WBCから指名挑戦権を認められている不良メキシカン,ルイス・ネリー(日本国内では半永久追放状態)の2人が、観戦目的の来日を明言している。

IBFとWBOにも1位のサム・グッドマン(豪)が控えており、アフマダリエフとネリーが本当に姿を見せるのかどうかはともかく、指名戦の消化に頭を悩ます大橋会長の姿が目に浮かぶ。

認定団体から譲歩を引き出すことができなければ、早々に返上を余儀なくされる場合も有り得る。返上まで行かなくても、暫定王者が承認され、結局は指名戦指示の繰り返し・・・。

◎井上(30歳)/前日計量:121.7ポンド(55.2キロ)
戦績:25戦全勝(22KO)
現WBC・WBO統一S・バンタム級王者
WBA(V7)・IBF(V6)・WBC(V1)・WBO(V0)前4団体統一バンタム級王者.元WBO J・バンタム級(V7),元WBC L・フライ級(V1)王者
元OPBF(V0),元日本L・フライ級(V0)王者
世界戦通算:120戦全勝(18KO)
アマ通算:81戦75勝(48KO・RSC) 6敗
2012年アジア選手権(アスタナ/ロンドン五輪予選)銀メダル
2011年全日本選手権優勝
2011年世界選手権(バクー)3回戦敗退
2011年インドネシア大統領杯金メダル
2010年全日本選手権準優勝
2010年世界ユース選手権(バクー)ベスト16
2010年アジアユース選手権(テヘラン)銅メダル
身長:164.5センチ,リーチ:171センチ
※ドネア第1戦の予備検診データ
右ボクサーパンチャー(スイッチヒッター)


◎タパレス(31歳)/前日計量:121.3ポンド(55.0キロ)
WBA・IBF統一S・バンタム級王者,元WBOバンタム級王者(V0/体重超過によるはく奪)
戦績:40戦37勝(19KO)3敗
世界戦通算:4戦3勝(2KO)1敗
アマ戦績:50戦超(詳細不明)
身長:163センチ,リーチ:165センチ
左ボクサーファイター

◎前日計量(Top Rank公式)


◎前日計量+グローブチェック(Top Rank公式)
2023年12月26日
Naoya Inoue Selects Gloves + Behind the Scenes of the Weigh-In With Inoue & Marlon Tapales



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■オフィシャル

主審:セレスティーノ・ルイス(米/イリノイ州)

副審:
ロビン・テーラー(米/ニューヨーク州)
ラウル・カイズ(米/カリフォルニア州)
クレイグ・メットカーフ(カナダ)

立会人(スーパーバイザー)
WBA:ホセ・オリヴィエ・ゴメス(パナマ/WBAランキング委員)
WBC:マイケル・ジョージ(米/ロードアイランド州/WBCシルバー・チャンピオンシップチェアマン)
IBF:ベン・ケイティ(豪/IBF Asia担当役員)
WBO:レオン・パノンチーリョ(WBO副会長/米ハワイ州/タイ在住)

◎Lemino公式
<1>WBA・WBC・IBF・WBO 世界スーパー・バンタム級王座統一戦 井上 尚弥 vs マーロン・タパレス
12月26日(火)無料LIVE配信(開場15:45/開演16:00)

<2>前日軽量:12月25日(月)ライヴ配信済み(開場12:45/開演13:00)


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