男子初の4冠王対決 /2階級差のアドバンテージ・・・文句無しの完勝が最低ライン? - カネロ vs ジャーメル 直前プレビュー -
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■9月30日/T-モバイル・アリーナ,ラスベガス/WBA・WBC・IBF・WBO4団体統一世界S・ミドル級タイトルマッチ12回戦
統一王者 カネロ・アルバレス(メキシコ) vs 4団体統一S・ウェルター級王者 ジャーメル・チャーロ(米)
統一王者 カネロ・アルバレス(メキシコ) vs 4団体統一S・ウェルター級王者 ジャーメル・チャーロ(米)
異なる2つの階級で、4つのベルトを保持するチャンピオン同士の激突。今秋一番の注目カード(?)が、いよいよ本番当日を迎える。
話題の中心は、2階級越えのギャンブルに打って出た挑戦者ジャーメル・チャーロの勝算の有無にならざるを得ず、在米専門サイトやyoutubeチャンネルも勝敗予想に余念がない。
リング誌も恒例の予想記事をアップしているが、7名の専門記者を含む総勢20名のボクシング関係者のうち、19名が受けて立つカネロの勝利を支持しており、KO勝ち~僅差の判定まで展開と結果に関する見解に差異はあれど、「階級の壁(168ポンド vs 154ポンド)」を超えることは難しいとの見立て。
◎FIGHT PICKS: CANELO ALVAREZ VS. JERMELL CHARLO
9月27日/リング誌
https://www.ringtv.com/658758-fight-picks-canelo-alvarez-vs-jermell-charlo/
唯一「チャーロの判定勝ち」としたロン・ボルヘス(ボストン・ヘラルド,スウィート・サイエンス等に寄稿するベテラン記者)は、「カネロの年齢的な衰え(ビヴォル戦の敗北で露になった下降線)」に言及しつつ、ジャーメルのアグレッシブネス&スキル、左フックの決定力を高く評価する。
さらには、154ポンドの4団体を統一したにも関わらず、リング誌P4Pランキング入りを果たし切れていない現状、ギャランティを含めた「過小評価」に対する鬱積した不満、メガ・ファイトを渇望し続けてきたチャーロのハングリネスにも言及。
「ジャーメルの旺盛な攻勢力と圧力を前に、カネロは有効な手立てを結局見い出せないだろう。明白な判定でジャーメル。」
1995年にBWAA(The Boxing Writers Association of America,:全米ボクシング記者協会)から「ナット・フライシャー賞(優れたボクシング・ジャーナリストの業績を讃える年間表彰の1つ)」を贈呈されたボルヘスは、実は両雄が同い年であること、多くのファンと関係者が関心を寄せる「サイズの問題(カネロ:H175センチ/R179センチ,ジャーメル:H183センチ/R185センチ)」には触れておらず、ジャーメルの積極果敢なスタイルは落ち目のカネロ(?)には手に余ると結論。
そうした一方で、リング誌編集長のダグ・フィッシャー(カネロ:7ラウンド以降KO勝ち)、及びシニア・ライターのアンソン・ウェインライト(カネロ:3-0判定勝ち)の見解に同調するマニア,ファンも多いと思われる。
■D・フィッシャー
サイズだけでなく高い身体能力にも恵まれたジャーメルは、154から168へ一気にジャンプしても十二分なパフォーマンスを発揮し、前半はカネロとも五分に渡り合える(打ち合いではなく駆け引き・インサイドワークの応酬)。
「階級の壁」はジャーメルにとって致命的な障害にはならないが、S・ミドル級にしっかりアジャストしたカネロ(リアルなエリート・クラス)のパンチに耐え切れるかどうか。そこには疑問の余地が残る。
ワールド・クラスのS・ミドル~L・ヘビーのパワーを肌で知るカネロと、未知のジャーメル。ジャーメルのタイミング,リズム,スタイル,戦術を読み切った後、カネロは充分な圧力をかけて決定的な場面を作る。
第7ラウンド以降、おそらく強力なボディ・ショットでカネロがストップを呼び込む。
■A・ウェインライト
エリクソン・ルビン,ジェイソン・ロサリオ,ブライアン・カスターノをリマッチでストップしたジャーメルと、ジョン・ジャクソン,トニー・ハリソン,カスターノに苦闘を強いられた初戦のジャーメル。
果たして今回、そのどちらが登場するのか。私が抱く最大の関心と疑問がそれだ。
待望久しいAマッチ(ビッグ・マネー・ファイト)に、ジャーメルは気合十分で臨むだろうが、S・ウェルター級の4団体を統一したカスターノとの第2戦以来、16ヶ月(1年4ヶ月)の長いオフが、(33歳になった)ジャーメルにどんな影響を及ぼすのか(及ぼさないのか)。
コンスタントに戦い続けているカネロにも、その分疲労と消耗の不安がある。(ビヴォル戦以降のパフォーマンスはいまいち冴えを欠き)全盛の勢いを失ったと見ることもできるが、それでもなお他の168パウンダーより優れている。
カネロの仕上がり次第にはなるけれど、メキシカンが慣れ親しむ拮抗したせめぎ合いに持ち込み、3-0の判定でカネロが前進を続けるだろう。
ライヴ中継を実現させたWOWOWエキサイトマッチのスペシャル・ゲストに招かれ、解説席に陣取る我らが村田涼太は、「僕の中ではイーブン。カネロが勝つにしても圧勝はない」と自論を展開。P4Pセールス・キングの落城も有りと述べる。
「(二度)L・ヘビーに上げて、またS・ミドルに戻している。5キロの増減がフィジカルにもたらす影響は小さくない。重いクラスで階級を下げて成功するケースは滅多にない。」
「(ジャーメルにとっても)6キロの体重差は確かに大きい。でも、無理をしてまでS・ミドルに合わせて来ないことも考えられる。身長とリーチのアドバンテージを活かす意味でも、スピードを維持できる状態でリング中央に留まって戦う筈(ロープを背負う時間が長くなればなるほど勝利は遠のく)。」
拙ブログの予想は・・・。フィッシャーとウェインライトの中間ぐらい。
ステロイドの助けを諦めざるを得なくなった(?)カネロに、175ポンドの調整はいかにも負担が大きく、もともと後半~終盤にかけてのスタミナを疑問視されてはいたものの、重い身体を懸命に引きずりながら息切れもかなり早かった。
S・ミドルに出戻ったカネロは、前半の貯金でゴロフキンとの因縁に決着を着けた第3戦に続いて、豪快なKOが期待されたジョン・ライダー(英)にも判定勝ち。
増量の負荷に加えて、歴戦の疲労いよいよ健在化したとの指摘は無視できないながら、168ポンドの調整によって明らかに活力と精気を取り戻している。
スタミナのやりくりに苦労が絶えず、14歳から戦い続けた経年劣化も致し方のない面はあり、キャリアが第4コーナーに差し掛かっていることに疑いを差し挟む余地はなし。がしかし、それでもカネロの優位は動かし難い。
168ポンドのリミットぎりぎりで仕上げたジャーメルの上半身は、思っていた以上に引き締まって無駄な脂肪は無かった。フィジカルの強化に「PED(Performance-Enhancing Drugs:運動能力の強化を目的とした薬物)」が含まれていないことを願いつつ、計量後のリバウンドが気にかかる。
村田の言う通り、170ポンド前後のウェイトを維持したままリングに上がるのか、180ポンド超まで戻すカネロのパワーに対抗する為にと、一定程度のスピード喪失を招致の上で175ポンド辺りまで体重を増やすのか。
ジャブ&ステップでカネロを捌き切ったビヴォルの快勝は、チーム・ジャーメルにとって大きな福音になるだろうが、S・ミドルのカネロはあの時ほど鈍くはないし、身体のキレも違う。
計量の映像を見る限り、「14ポンドの飛び級」に関するダグ・フィッシャーの推察には敬意を表するし、ボストンの論客ボルヘスが確信を抱くアップセットの可能性も当然あるとは思う。
ただし、ボルヘスが積極的に買う「ジャーメルのアグレッシブネス」は、必ずしもプラスにばかり働かないのでは。カネロほどの手練れなら、敢えて手数を控えてジャーメルを引き出し、外寄りのフックやインサイドから突き上げるアッパーのカウンターを効かせられるだろう。
そしてカネロのボディ・アタックは、充実している筈のジャーメルの気力を削り続ける確率が高く、フィッシャーが読む「7ラウンド以降のKO(TKO)決着」に確かな説得力を与える。
◎ファイナル・プレス・カンファレンス
◎フル映像
https://www.youtube.com/watch?v=UC5xLTgCbiQ
直前の賭け率はやはりカネロ。意外に接近したマージンは、ボルヘスが推す「ジャーメルのハングリネス」+「サイズのアドバンテージ(考慮せざるを得ない)」への可能性と見るべき・・・?。
□主要ブックメイカーのオッズ
<1>BetMGM
カネロ:-480(約1.21倍)
ジャーメル:+330(4.3倍)
<2>betway
カネロ:-400(1.25倍)
ジャーメル:+333(4.33倍)
<3>ウィリアム・ヒル
カネロ:2/9(約1.22倍)
ジャーメル:7/2(4.5倍)
ドロー:16/1(17倍)
<4>Sky Sports
カネロ:1/4(1.25倍)
ジャーメル:7/2(4.5倍)
ドロー:14/1(15倍)
よって拙ブログは、6-4でカネロを支持。順当なら3-0の小~中差判定勝ち。ジャーメルのコンディションと戦術次第で、中盤以降のストップも有り。
◎カネロ(33歳)/前日計量:167.4ポンド
現WBA(V6),現WBC(V5),現IBF(V3),現WBO(V4)S・ミドル級王者
前WBO L・ヘビー級(V0/返上),前WBCミドル級(第2期:V1/返上),前IBFミドル級(V1/返上),WBAミドル級スーパー(V1/返上),元WBC S・ウェルター級(V6/WBA王座吸収V0),元WBCミドル級(第1期:V1/返上),元WBO J・ミドル級(V0/返上)王者
戦績:63戦59勝(39KO)2敗2分け
世界戦通算:23戦20勝(11KO)2敗1分け
アマ通算:不明
※20戦,44勝2敗など諸説有り
2005年ジュニア国内選手権優勝
2004年ジュニア国内選手権準優勝
※年齢・階級等詳細不明
身長:175センチ,リーチ:179センチ
右ボクサーファイター
◎チャーロ(33歳)/前日計量:167.4ポンド
現WBA(V2)・WBC(V3/通算V6)・IBF(V2)・WBO(V0)4団体統一S・ウェルター級王者
戦績:37戦35勝(19KO)1敗1分け
世界戦通算:9戦7勝(6KO)1敗1分け
アマ通算:56勝8敗(56勝9敗説有り)
※BoxrecとWiki(英)には「2005年ジュニア・オリンピック銅メダル」の記述があるものの正式な記録は確認できない。
身長:183センチ,リーチ:185センチ
右ボクサーファイター
◎前日計量
◎フル映像
https://www.youtube.com/watch?v=nriJgsNDrMM
180センチ超のタッパとリーチは伊達じゃない。一切弛緩したところがないジャーメルの上半身を見るにつけ、フィジカルに関する黒人ボクサーのポテンシャルの高さにはため息をつくしかない。
あらためてお断りするまでもなく、PEDに手を染めていない前提にはなるけれど、カネロに一泡吹かせることに成功して、クロフォードに続く「2階級+4団体統一王者」となったあかつきには、念願のリング誌P4Pランク入り&定着(一度入ったがすぐに外された)のみならず、名実ともにビッグネームの仲間入りが遂に実現する。
内容と出来にもよるが、首尾良くカネロ撃破を成し遂げた場合、直ちにS・ミドルの4冠を捨ててミドルに降りるのも一策。
「3階級+4団体統一」は、挑戦を続けるプロセスそのものが最高のビジネス・チャンスになる上、男女を通じて誰も成し得ていない偉業を達成したとなれば、クロフォードを超える評価とカネロに匹敵する巨額の報酬も夢物語ではなくなる。
◎メディア・ワークアウト
<カネロのみ:1時間>
https://www.youtube.com/watch?v=igqZb-16EXM
<ジャーメルのみ:1時間>
https://www.youtube.com/watch?v=XTFN16a3rSg
<アンダーカード・フル:2時間>
https://www.youtube.com/watch?v=rdbngPKX5ck
両陣営とも本気の動きではけっしてないが、カネロ,ジャーメルともに少し重そうに見える。本番2週間前(9月14日)のセットだから、キャンプ(追い込み)の疲労を隠し切れないとしても無理からぬところ。
カネロもきちんと絞れてはいるものの、やや鈍い印象。計画通りのペースなのか、2階級下のジャーメルを軽く見た結果の調整遅れなのか。あるいは、キャンプのスケジュールを狂わせるアクシデントでもあったのか。
GGGとの決着戦(2022年9月17日/T-モバイル・アリーナ)に向けた公開練習を見ると、絞り方の相違にいささかの不安を感じないこともない。単なる老婆心に過ぎないかもしれないが。
◎ゴロフキン第3戦時の公開練習
CANELO ALVAREZ FULL GENNADY GOLOVKIN MEDIA WORKOUT - CANELO BEAST MODE TRAINING TO KO GOLOVKIN
2022年8月30日
https://www.youtube.com/watch?v=2fxB8_iK1kI
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■オフィシャル
主審:ハーヴィ・ドック(米/ニュージャージー州)
副審:
マックス・デルーカ(米/カリフォルニア州)
ディヴィッド・サザーランド(米/オクラホマ州)
スティーブ・ウェイスフィールド(米/ニュージャージー州)
立会人(スーパーバイザー):4団体とも未発表
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■All Access(Showtime)
<1>ALL ACCESS: Canelo vs. Jermell Charlo | Episodio 2
2023年9月22日
<2>ALL ACCESS: Canelo vs. Jermell Charlo | Ep 1 | Full Episode
2023年9月9日
https://www.youtube.com/watch?v=lFIDHPOFsIA
<3>Canelo Alvarez vs. Jermell Charlo: Press Tour Recap
2023年8月21日
https://www.youtube.com/watch?v=FdCiN31NsMk
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■キック・オフ・カンファレンス
<1>ロサンゼルス
2023年8月17日
https://www.youtube.com/watch?v=Crp4_sIBx6U
<2>ニューヨーク
2023年8月16日
https://www.youtube.com/watch?v=L7L28V2_Bg8