フルトン VS 井上尚弥が合意へ Part 2 - 手ぐすねを引いて待つ(?)S・バンタム級トップ -
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■5 or 6月/日本国内(?)/WBC・WBO世界S・バンタム(122ポンド)級タイトルマッチ12回戦
2団体統一王者 スティーブン・フルトン(米) VS 前4団体統一バンタム級王者/WBO1位 井上尚弥(日/大橋)
”ナオヤ・イノウエ争奪戦”。
118ポンドの覇者が雄々しく高らかに宣言した階級アップの一報を受け、年明け早々の122ポンドが色めき立つ。
「こっ酷く打たれるのだけはご勘弁・・・」
専守防衛に閉じこもるのが精一杯のポール・バトラーを11ラウンドで完全に粉砕し、4つ目となるWBOのベルトを巻いた井上を、WBOはスーパー王者に認定(昨年12月20日付け)しただけでなく、1月14日に公表した最新の月例ランキングで、J・フェザー級(IBFとWBOは旧来の呼称を継承)の1位に据えた。
「えっ?。また正規王者決定戦をやるの?」
暫定もレギュラーも休養もいない、正真正銘の完全制覇を果たしたばかりなのに、「この期に及んで、WBOはまたぞろ正規王者をデッチ上げるつもりなのか?。余計なことを・・・」とお嘆きになる方がおられるやもしれない。
だがご安心を。WBOのスーパーチャンピオンは名誉の称号であり、新たにレギュラーチャンピオンを作る愚は冒さない(今のところは)。乱造乱発で正規との並立が常態化していた暫定王座とともに、何かと悪名が高いWBAのそれとは違う。
そして「井上転級」の一報に素早く反応したのは、WBAとIBFの2冠を保持するもう1人の主役,ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)も同じ。
ご本人直接のコメントではなく、エディ・ハーン(プロモーター)の発言ではあるものの、リアル・モンスターの参戦に歓迎の意向を示しているとのこと。
◎エディ・ハーンの発言に関する記事
<1>Hearn: Akhmadaliev Would Have Absolutely No Problem Fighting Inoue For Undisputed
2023年2月8日
<2>Eddie Hearn Won’t Block Naoya Inoue Vs. Murodjon Akhmadaliev For Undisputed At 122 This Year
2023年1月29日/Boxing News24
<3>Hearn: “Inoue Against Akhmadaliev Is An Unbelievable Fight!”
Eddie Hearn Says Team Akhmadaliev Wants To Fight Naoya Inoue!
2023年1月19日/3KING BOXING WORLDWIDER
https://3kingsboxing.com/eddie-hearn-akhmadaliev-wants-inoue-fight/
2019年4月以来、同胞のシャフラム・ギヤソフ(リオ五輪ウェルター級銀メダル/プロ13連勝9KO)と一緒に”MJ”を獲得(ロシアの主要なファイターを傘下に置くプロモーター,アンドレイ・リャビンスキー,同じくロシアの若き敏腕マネージャー,ヴァディム・コルニリョフとの共同プロモート)したエディ・ハーンが、「2人のマッチアップに障害は無い。マーロン・タパレスとの指名戦(IBF/4~5月中の開催を予定)を終えれば、何時でも交渉をスタートできる。」と断言。
フルトンのケースと完全に共通するが、常に争点の中心となる放映権(ESPN VS DAZN)の問題は、「然るべき額での金銭譲渡で解決できる」との判断を示している。
「フルトンと井上の交渉が不調に終るようなら、我々はすぐに動くことが可能だ。タパレス戦の後にはなるが、そう遅くない時期にやれるだろう。」
また、S・バンタムに上げる前から井上との対戦に積極的だったルイス・ネリーが、性懲りも無く名乗りを挙げている。
「イノウエは過大評価され過ぎだ。実際はそこまでのボクサーじゃない。オレとやればわかる。あっという間にメッキが剥がれるからな。」
2017年~2019年にかけて、事あるごとに挑発的なコメントを振りまいていた。短期間だったがフレディ・ローチと組んだ時期(ネリーのウェイトオーバーで幻に終ったエマニュエル・ロドリゲス戦に備えた体制一新/2019年11月)もあり、ローチと一緒に「井上恐るるに足らず」とぶち上げる映像もあった筈だ。
ステロイド使用と確信犯の体重超過で我らが山中慎介のキャリア最終盤にとんでもない泥を塗り付け、JBCから事実上の追放処分(日本国内開催の興行からの締め出し)を受けた後、WBCバンタム級の指名挑戦権を懸けたマニー・ロドリゲス戦でも同じ真似を繰り返し、懲りた様子もほとんど感じられない。
日本側の顔を立てる為に一定期間ランキングから除外していたWBCも、ネリーがS・バンタムへの増量を正式に表明(2020年2月)すると、すぐに1位に復帰させてアーロン・アラメダ(メキシコ/対戦当時WBC6位)との王座決定戦を用意している。
この時期正規王者のレイ・バルガスは、前戦の挑戦者フランクリン・マンサニージャに負けず劣らず、バッティング上等の押し合い&揉み合いを仕掛け続ける亀田和毅に手を焼きながらも、誰の目にも明らかな3-0判定に下してV5を達成(2019年7月/和毅の暫定王座も吸収統一)。
長身故に付いて回る体重維持の困難を訴えて、フェザー級進出に色気を出し始めていたところへ、2試合連続のラフ&ダーティ(大の苦手にする乱戦)で負った傷の治療、同年11月に発覚したドーピング違反、長らく世話になったゴールデン・ボーイ・プロモーションズ(DAZN)からPBC(Showtime)への乗り換えに足の負傷がかさなり、WBCは休養王者への横滑りを決定した(2020年8月/直後に空位:はく奪 or 返上)。
126ポンドの指定席(S・バンタムを放棄した場合即座に1位に据える)を横目で睨みつつ、好条件での復帰戦を模索するバルガスは、パンデミックの追い討ちを受ける格好で戦線離脱が続き、結果的にブランクは2年4ヶ月に及ぶ。
いずれにしても、WBCは余裕でネリーに決定戦を融通できる状況にあったということ。そして1年2ヶ月ぶりの実戦復帰となったアラメダ戦(2020年9月)では、バンタム級時代に発揮していた圧巻のパワーは影を潜めてしまい、大苦戦の末にポイント差が大きく割れた3-0の判定勝ち(118-110,116-112,115-113)を拾う。
こうしてWBA王者フィゲロアとの2団体統一戦が整い、周知の通りまったくいいところを見せることなく、テキサスのニューアイドルに押し捲られて7回TKO負け。サイズの不利も無関係ではなかったけれど、フィゲロアの左フックでレバーを抉られ悶絶するネリーの姿に、日本のファンは拍手喝采で大いに溜飲を下げた(2021年5月)。
昨年2月にセットされた再起戦は、アリゾナ期待の無敗のホープ,カルロス・カストロとのマッチアップ。170センチの長身痩躯を目一杯活かすボクサーに近いボクサーファイターだが、2021年8月の前戦では、ベテランのオスカル・エスカンドンを相手に頭をくっつけたプロのインファイトで応戦。不得手の白兵戦を敢えて選び、見事に勝ち残っている。
乱戦を嫌がる点はレイ・バルガスと良く似ていて、V字回復を目論むネリーには持って来いとも思われたが、エスカンドンを押し切ったフィジカルは想像以上に強く、そうは簡単に問屋は卸さないだろうと考えいたら案の定。
微妙なスプリット・ディシジョン(96-93,95-94,94-95)の後押しで、どうにかこうにかWBCシルバー王座を獲得したが、どうしようもないパフォーマンスの低下は明らか。
山中慎介の”ゴッドレフト”を潰す為にステロイドに手を出し、それが見つかると再戦では意図的な体重超過。118ポンドで見せた強さの源泉が、「PED+計量後の大幅なリバウンド」だったことを自ら証明してしまったに等しい。
流石にマズイと慌てた(?)チームは、昨年10月の再起第2戦で同胞のデヴィッド・カルモナを引っ張り出す。115ポンド時代の井上尚弥に有明で挑戦して、判定まで粘った勇敢なファイターを覚えておいでの方も多いだろう(2016年5月)。
モンスターとの奮戦を終えた後、カルロス・クァドラスにも善戦したが判定負け。その後階級をアップして、2017年以降バンタムとS・バンタムを行き来しながらキャリアを継続するが、ネリー戦を迎えた時点で7戦して2勝5敗。
負けた相手にはカル・ヤファイ(ロマ・ゴンに王座を追われた後バンタムへ上げた)も含まれるが、無名の中堅クラスに思うように勝てない。年齢は31歳で老け込むようなトシではないが、163センチ弱(162.3=井上戦の予備検診データ)のサイズも苦闘の要因。
自分より小さく最近は負けが込み、6年も前の話しにはなるが、モンスターの豪打に耐え抜いて12ラウンズをしのぎゴールテープを切っている。ノニト・ドネアとともに、16戦を数える世界タイトルマッチにおいて、モンスターがKOできなかった「たった2人の男」の1人。
かなり高い確率でKO勝ちが見込める上、首尾良くし止めることができれば井上戦のアピールにも何かと都合がいい。良く考えられたマッチメイクであり、陣営が望む通りの即決(3回)KOでネリーは試合を終わらせた。
今週末(明日)、アザト・ホヴァニシアン(アルメニア)とWBCの指名挑戦権を懸けて戦う予定のネリーが、リング誌のインタビューでまたぞろ何事かを喚き散らした(?)模様。
◎リング誌に掲載された記事
LUIS NERY WARNS AZAT HOVHANNISYAN: YOU WILL SEE THE FAST, AGGRESSIVE ‘PANTERA’ LOOKING FOR THE KO
2023年2月15日/Ring Magazine
「過大評価のされ過ぎは、ナオヤじゃなくてお前だろう?」
ついでに教えてやるが、S・フライ級時代のモンスターは試合の度に拳を傷めていた。減量苦による腰痛も抱えて、コンディショニングをやりくしながらの連続防衛だった。
カルモナ戦でも第2ラウンド早々に右の拳をやってしまい、まともに使えるのは左1本の状態で大差の判定勝ちを収めている。
アルメニアからカリフォルニアに移民してきたホヴァニシアンは、昨年9月モンスターがハリウッドのワイルドカードで行ったスパーリング合宿で手合わせ済み。ジャパニーズ・モンスターのパートナーに自ら名乗りを挙げたとのことで、モンスターを追い詰めたらしい(?)アダム・ロペスと並ぶ猛者たちの代表格。
ごく短く編集された映像ではあったが、NHKが4冠達成直後に放送したドキュメンタリーにその様子が収められていた。

※後方の中央はお馴染みのオスカー・デラ・ホーヤ(興行を主催するプロモーター)

※後方の中央はお馴染みのオスカー・デラ・ホーヤ(興行を主催するプロモーター)
”クレイジーA”の異名を持つアルメニアのファイターは、レイ・バルガスに挑戦(2018年5月)して大差の0-3判定に退いてはいるものの、逃げ足の速い長身痩躯のクリンチワークに絡め取られて攻め手を塞がれ、ペースポイントを献上する現代のファイターたちが頭を悩ます典型的な負けパターン。真正面から打ち合ったら滅法強い。
この際だからホヴァニシアンにネリーを潰して貰い、煩いだけの口を塞いで欲しい。後半~終盤にかけてのストップでアルメニア移民の勝ちと読むが、実は崖っぷちのネリーが、PEDの助けを借りていないことを願うのみ。
◎ネリー VS ホヴァニシアン戦関連記事
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<1>Luis Nery vs. Azat Hovhannisyan Finalized For February 18
2023年1月25日/Boxing Scene
https://www.boxingscene.com/luis-nery-vs-azat-hovhannisyan-finalized-february-18--172046
Azat Hovhannisyan: Luis Nery has my respect, but he’s in for a war
Azat Hovhannisyan is gearing up for a war against Luis Nery on Feb. 18.
2023年2月10日/Bad Left Hook
Part 3 へ続く


