世界基準を突き崩せ - シャクール vs 吉野 直前プレビュー -
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4月8日//WBC世界ライト級挑戦者決定12回戦
2階級制覇王者/WBC3位 シャクール・スティーブンソン(米) VS WBC4位 吉野修一郎(三迫)
2階級制覇王者/WBC3位 シャクール・スティーブンソン(米) VS WBC4位 吉野修一郎(三迫)
「オレはナカタニとは訳が違うぞ。どうやってオレに勝つつもりなんだ?」
実に和やかな雰囲気(悪く言えばユルユル?)で進むファイナル・プレッサーの席上、終始余裕綽々のシャクール。雰囲気を盛り上げようとしてるのか、しきりに挑発気味の発言を繰り返す。
そして、本場のムードに呑まれることなく、吉野も苦笑交じりで「すべてはリングの上で」と受け流し、涼やかな目元が印象的な微笑で応える。
「中谷とは違う?・・・(そりゃそうだ)」
「(日本で)ゲームプランをしっかり準備してきた。」
シャクールの巧妙堅牢なディフェンスをいかにして崩すのか?。
ESPNの司会進行役も軽く触れていたが、「前に出て攻め続ける吉野 vs しっかり守りつつリターン&カウンターのシャクール」という基本的な構図は、ファンと関係者なら誰もがイメージする展開である。
自分より大きく右に決定力を持つ吉野に対して、シャクールはいつも以上に丁寧かつ慎重に立ち上がるだろう。
細かいステップ&ボディワークで吉野のパワーを空かしながら、右(リード&ショートフック)と左ストレートを中心にコツコツ当てて、無理をせずポイントメイクにいそしむ。
真正面から正直に攻め込むだけでは、間違いなく空転させられ大差の判定を失う。無論シャクールも人間だから、ケアレス・ミスがゼロではない。攻撃的になれば隙も生じる。ただ、その頻度が非常に少ない。
前後左右に小さくサークリングしながら、けっして1ヶ所に留まらないのが戦術のベース。L字に近い構えもやるが、コンパクトにまとめたガードへの意識は高く、見切りと勘にどっぷり依存することなく、ブロック&カバーをサボらないところも長所の1つ。
常に精度を心がけ無茶振りはしない。ぱっと見の印象はそれほどスナッピーではないが、打たれた方はけっこう効く。見た目以上にキレと威力があると、そう判断せざるを得ない。
吉野も構えた姿はいい。しっかり顎を引いたセミクラウチングを維持しつつ、上体を振りながら左を突いて前に出る。
この上半身の動きには一定の柔らかさがあり、フィリピン人の母から良いDNAを受け継いだのではないか。
ただ、前に出る時左に身体を倒す癖があり、シャクールは当然そこを右で狙う。左ストレートを囮に使い、(シャクールから見て)逆ワンツー的に右を強打してくる場合も有り得る。
少しでも反応が遅れると、シャクールは調子に乗って2発・3発とコンビネーションを回転させて来る為、距離はできるだけ長めに取りたい。無理に追ったりせず、逆にシャクールを引き出したいところ。
長めのミドルレンジを基本に細かく出はいりして、そこから無駄に打たせずプレスするのは確かに大変。距離を潰す場面では、ある程度の被弾は覚悟しなければならない。
スピードスタータイプの黒人選手は、例外なく反応と見切りに過剰なまでの自信を持っている。シャクールも同様だが、調子に乗り過ぎず感情を適切にコントロールできるのが強味。
ただ、左の打ち終わりにガードを戻さないことがある。あるいは左手を下げたままにする癖が時折り顔を出す。ハンドフェイント気味に左を内・外に散らし、左ストレートをステップバックでかわしざま、肩越しの右を打ち下ろせると面白いのだが・・・。
■ファイナル・プレス・カンファレンス(フル)
スポーツブックの賭け率はご覧の通り。止むを得ないことではあるが、米国内における認知がゼロに等しい吉野は完全に万馬券扱い。
□主要ブックメイカーのオッズ
<1>BetMGM
シャクール:-2000(1.05倍)
吉野:+900(10倍)
<2>betway
シャクール:-2500(1.04倍)
吉野:+750(8.5倍)
<3>ウィリアム・ヒル
シャクール:1/20(1.05倍)
吉野:9/1(10倍)
ドロー:25/1(26倍)
<4>Sky Sports
シャクール:1/16(1.0625倍)
吉野:7/1(8倍)
ドロー:20/1(21倍)
好漢吉野が世界基準のライト級を前に、どこまで踏ん張れるのか。自らが信じて鍛え上げてきたボクシングを貫き、一矢を報いて欲しいと願わずにはいられない。
◎スティーブンソン(25歳)/前日計量:ポンド
WBO J・ライト級(V2),WBC S・フェザー級(V0),元WBOフェザー級(V0)王者
戦績:19戦全勝(9KO)
世界戦:5戦全勝(1KO)
現在の世界ランク:WBAライト級5位・WBC3位・IBF5位・WBO2位
アマ戦績:詳細不明
2016年リオ五輪バンタム級銀メダル
2015年ユース全米選手権(18歳以下対象)バンタム級優勝
2014年ユース世界選手権(ソフィア/ブルガリア)フライ級金メダル
2014年ジュニアオリンピック(ネバダ州リノ)フライ級優勝
2014年ユースオリンピック(南京/中国)フライ級金メダル
2013年ジュニア世界選手権(キエフ/ウクライナ)フライ級金メダル
2013年ジュニア全米選手権フライ級優勝
身長:170(173)センチ,リーチ:173センチ
左ボクサーファイター
◎吉野(31歳)/前日計量:ポンド
OPBF(V2),WBOアジア・パシフィック(V3),前日本ライト級(V7/返上)王者
現在の世界ランク:WBC5位・IBF13位・WBO7位(WBAランク外)
戦績:16戦全勝(12KO)
アマ通算:124戦104勝20敗
作新学院→東京農大
2011年度全日本選手権3位(L・ウェルター級)
国体成年準優勝(2年連続2回)
※2013年東京,2014年長崎(ウェルター級),
2010年~111年台北カップ2年連続銀メダル(L・ウェルター級)
高校4冠(インターハイ,国体,高校選抜)
身長:175センチ,リーチ:173センチ
右ボクサーファイター
■前日計量
■前日計量(フル)
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■リング・オフィシャル:未発表