カテゴリ:
■5 or 6月/日本国内(?)/WBC・WBO世界S・バンタム(122ポンド)級タイトルマッチ12回戦
2団体統一王者 スティーブン・フルトン(米) VS 前4団体統一バンタム級王者/WBO1位 井上尚弥(日/大橋)

Fulton_Inoue 1

シャクール VS 吉野戦内定の速報に続いて、ESPNがまたまた特大のリーク。バトラー戦からちょうど1ヶ月を経た先月13日、4本のベルト返上とS・バンタム級への進出を正式に表明した井上尚弥が、その初陣でいきなりフルトンに挑戦・・・?。

来たる2月25日、122ポンドのベルトを保持したまま、126ポンドのWBC暫定王座を懸けたブランドン・フィゲロアとの再戦が内定(前戦に続くミネアポリス開催)と報じられていただけに、急転直下の感が否めないのも確か。

□Naoya Inoue, Stephen Fulton agree to 122-pound title bout
2023年1月19日/ESPN


リング誌が先月12日に掲載した記事では、フルトン VS ダニー・ローマン戦が行われたアーモリー(ミネアポリスにある8,400人収容の屋内競技場)が用意され、フルトン VS フィゲロア2を筆頭に、以下の2試合を含めた”トリプル・ヘッダー”と報じられている。

□STEPHEN FULTON-BRANDON FIGUEROA REMATCH LIKELY FOR FEBRUARY 25 ON SHOWTIME
2023年1月12日/Ring Magazine

◎IBF J・ウェルター級王座決定戦
IBF1位 ヘレミアス・ポンセ(亜) VS IBF2位 スベリアル・マティアス(プエルトリコ)

◎S・ライト級10回戦
エルヴィス・ロドリゲス(ドミニカ) VS ジョセフ・アドルノ(米)
※アンダーカード:未定

30連勝(20KO)のパーフェクト・レコードを更新中のポンセ(26歳)は、テレンス・クロフォードに続いて140ポンドの4団体を制圧したジョシュ・テーラー(英/スコットランド)への指名挑戦権を得ていたが、147ポンドへの階級アップを公表済みの統一王者は、2-1の判定を巡って紛糾したジャック・カテラル(英/イングランド)とのリマッチしか眼中にない。

カテラルとの決着戦が140ポンドのラスト・ファイトという訳で、指名戦の履行を求めるWBA(昨年5月),WBC(同7月),IBF(同8月)のベルトを相次いで返上。決定戦が行われたWBAとWBCは、以下の通り昨年中に新チャンピオンを承認済み。

※WBA:アルベルト・プエリョ(プエジョ/ドミニカ)
昨年8月20日,フロリダ州ハリウッドで2位のバティル・アフメドフ(ウクライナ)に12回2-1判定勝ち

※WBC:レジス・プログレイス(米)
昨年11月26日,カリフォルニア州カーソンで1位ホセ・セペダ(米)を11回KOで撃破。およそ3年ぶりとなる王座奪還に成功した。


残ったIBFの決定戦でポンセに挑むマティアス(30歳/18勝全KO1敗)は、プエルトリコ期待の140パウンダー。

やはり同じ階級の次期王者候補の1人と目されるドミニカのプロスペクト,エルヴィス・ロドリゲス(27歳/13勝12KO1敗)に相対するアドルノ(23歳/17勝14KO1敗2分け)も、ロドリゲスに引けを取らない好レコードの持ち主で、フルトンと同じフィラデルフィアの出身。

ライト級の熱気と群雄割拠には今1歩及ばないながらも、途切れることなく新たなタレントが顔を出す(テオフィモ・ロペスも参入)。激戦区の激戦区たる所以だろう。


忙しさに取り紛れて記事をアップできないでいるうちに、御大ボブ・アラム(井上の共同プロモーター)もコメントを出したようだ。

◎Naoya Inoue Vs. Stephen Fulton Possible For April Says Bob Arum
2023年1月30日/Boxingnews24
https://www.boxingnews24.com/2023/01/naoya-inoue-vs-stephen-fulton-possible-for-april-says-bob-arum/

◎JAKE PAUL VS TOMMY FURY WILL DO VERY GOOD BUSINESS ' Bob Arum Fury-Usyk update
2023年1月29日



リング誌に記事が出た1月上旬の時点では、Boxrecのスケジュールにも掲載されていなかったが、本番まで約1ヶ月というタイミングでようやくアップされた。半ば当然の事ながら、井上戦が具体化したフルトンの名前は無い。

また、開催地ミネアポリスの出身で、ロンドン五輪の代表候補からプロ入りした遅咲きのウェルター級,ジャマル・ジェームズ(34歳/27勝12KO2敗/アマ150戦超)が、一昨年10月に喫したプロ2敗目(ラジャブ・ブタエフのWBAレギュラー王座に挑戦して9回TKO負け)からの復帰戦が追加されている。

※Boxrec Fight Schedule
Saturday 25, February 2023
Armory, Minneapolis, Minnesota, USA

同じくフィゲロアも未記載だが、フルトン撤退の穴を埋めるべく、ランク3位の前王者マーク・マグサヨ(比)のスクランブル発進に関する記事が既に出ていた。

※Magsayo eyes return to throne
2023年1月7日/PhilBoxing.com


マグサヨから正規王座を奪取したレイ・バルガスに、フェザー級のベルトを持ったままS・フェザー級の決定戦を承認したことでも分かる通り、WBCはメキシカン(とメキシコ系米国人)の人気選手のプロテクトについて一切躊躇しない。

ドーピング違反が発覚したカネロとバルガス、PED使用+確信犯の体重超過をセットでやからかしたルイス・ネリー&デヴィッド・ベナビデスに対する過剰なまでのバックアップはもとより、かつてのエリック・モラレスやリカルド・ロペス,トラヴィエソ・アルセらへの厚遇を引き合いに出すまでもないと思う。

人気者のフィゲロアに何としても126ポンドの暫定を獲らせて、今週末アラモドーム(テキサス州サンアントニオ)で首尾良くバルガスが勝利したあかつきには、正規王座をバルガスからフィゲロアへと禅譲(バルガスが返上→暫定から繰り上げ)させる腹づもり。

相手が始めからマグサヨだったなら、フィゲロアの暫定王座戦もアラモドームの興行に組み込んでいたに違いない(人気者のフィゲロアはテキサス出身)。

Brandon Figueroa

集客と視聴者数の都合だけを考えれば、「フルトン VS フィゲロア2」もテキサスかカリフォルニアでやった方がいいに決まっている。素人でもわかる理屈で、議論の余地はない。

しかし、米本土で最もメキシコ系移民の人口構成比が高い西海岸のカリフォルニアと第2位テキサスでの開催について、判定決着ありきのフルトン陣営が嫌がり避けるのも当たり前。どちらとも取れる微妙なラウンドを、全部フィゲロアに持って行かれたらそれこそ一大事。

競った展開を覚悟しなければならないフィゲロアと彼の陣営もまた、フィラデルフィア(フルトンのホームタウン)やニューヨーク,アトランティックシティといった東海岸の要所へは行きたくない筈。

S・ミドル級のニュー・センセーション(?),デヴィッド・モレル(キューバ)が、亡命後の生活と活動の拠点を何故かフロリダ(150万人規模に及ぶ亡命キューバ人の大きなコミュニティがある)ではなくミネアポリスに置いていた為、WBAレギュラー王座の防衛戦もすべてアーモリーで行われていた。

大き過ぎず小さ過ぎない小屋のキャパシティ(8千人超)も、モレルだけでなくフルトンの現在地(バリュー=商品価値)には程良いサイズだとの判断なのかもしれない。


2014年秋にデビューしたフルトンは、8年間のプロ生活で21戦をこなしているが、地元のペンシルベニア州内で行われたのは9試合(半数以下)。そのうちホームタウンのフィラデルフィアでは3試合しかやっておらず、なおかつ修行時代(キャリアの前半=2017年まで)に集中している。

場所もカジノが併設された多目的商業施設にリングを設営したり、1,300人しか収容できない2300アリーナ(ウズベクの雄クァドラティロ・アブドゥカハロフと小原佳太のエリミネーターが行われた会場)が使われていて、念願の世界チャンピオンになって以降も、1万人規模のリアコウラス・センター(アルトゥール・ベテルビエフとオレクサンドル・ゴズディクのL・ヘビー級統一戦を開催)には未登場。

後で述べるけれど、フルトンの人気と集客力(視聴者数)は、アル・ヘイモン=PBC(Premier Boxing Champions)の興行を取り仕切る主要プロモーター、そしてPBCの主要な興行を中継するShowtimeの厚く堅い信頼を勝ち得るまでに至っていない。


一昨年11月にラスベガスで行われた第1戦で、判定(0-2のマジョリティ・ディシジョン)に納得できないフィゲロアが、お馴染みのジム・グレイによる勝利者インタビューに割って入り、「ちょっと待て!。勝ったのはオレだ!。観てくれたファンが証人だ!」と詰め寄った。

Fulton_Figueroa 1

「スポーツマンシップに欠ける。悔しいのはわかるが恥ずべき行為だ。」

フィゲロアに対する批判は半ば当然で、致し方のないところではある。但し、どこにもぶつけようのない怒りを抑えることができず、やらずもがなの抗議に及んだフィゲロアの無念にも同情の余地が無い訳ではない。


リング上で火花を散らしたこのやり取りのお陰で、リマッチへの流れは完全に出来上がったと誰もが確信した筈だが、フィゲロアの増量で一旦は胡散無償したかに思われた。

現代のテキサスを代表するアイドルとの再戦は無くなったものの、前WBA・IBF統一王者の強敵ダニー・ローマンとの防衛戦が決定。接(苦)戦は必至との予想を大きく覆し、ほぼフルマークの大差判定で終わらせると、フェザー級でのフィゲロアとの再戦が一気に具体化(失意のローマンはそのまま引退)。

長身のフィゲロアだけでなく、フルトン自身も厳しさを増すウェイト・コントロールについて繰り返し言及していた経緯があり、現状想定し得る対戦相手の中では最も稼ぎのいいフィゲロアを選ぶしかないという見方が大勢を占める。

「126ポンドに完全に移動するのかって?。そりゃあ条件次第だ。」

フルトンにしても、122ポンドのベルトを持ったままでのフェザー級挑戦。フィゲロア戦以上のリターンが見込める井上戦の可能性を残し、126と122の両面待ちを決め込む。


Part 2 へ続く