ルディの秘蔵っ子が初載冠へ /両国3大世界戦 2 - T・オラスクアガ vs 加納陸 ショートプレビュー -

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■7月20日/両国国技館/WBO世界フライ級王座決定12回戦
WBO3位 トニー・オラスクアガ(米) vs WBO2位 加納陸(大成)


拳四朗との激闘(昨年4月/9回TKO負け)が未だ記憶に新しい、ルディ・エルナンデスの秘蔵っ子トニーが、本来の階級に戻して2度目の世界戦に臨む。

同じルディの指導とサポートを受ける中谷とは、ステーブル・メイトの枠を超える親友として知られており、昨年9月の再起戦に続く2度目の共宴。3戦連続での日本のリングとあって、すっかり馴染んだ様子。

好戦的な本格派のボクサーファイターで、デビュー前から逸材との評判で持ちきり。それでも6戦目での拳四朗挑戦は、無理が有り過ぎると思われた。

当初拳四朗は、当時のWBO王者ジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ)との3団体統一戦を行う筈だったのだが、WBO王者が急病を理由にドタキャン。大勝負が流れただけでなく、代役として手配した13位のランカーもビザの発給が間に合わず、アンダーで出場予定のオラスクアガが断れば、事実上のメイン・イベント(井上拓真 vs リボリオ・ソリスとのWメイン)が潰れてしまう。

帝拳サイドは、絶頂期を迎えた拳四朗に負けても大きな傷にはならないと判断。ゴンサレスを想定して準備をしてきた拳四朗にとっても、タイプがまったく異なるオラスクアガとの対戦には小さからぬリスクはあったが、オオトリの責任感を優先した。


そして拳四朗はやはり強く、オラスクアガは9ラウンドでストップされたが、プロ6戦目とは思えない完成度の高いボクシングを披露。想像以上の善戦で、陣営の思惑通り評価&認知を大きくアップ。

5ヶ月のスパンを開けて再来日。中谷 vs A・コルテス,拳四朗 vs H・バドラーのセミで、比国のローカル・トップ,ジーメル・マグラモ(中谷とWBOフライ級王座を争い8回KO負け)との復帰戦に、多くの日本のファンが注目する。

ところが・・・。

S・フライ級の契約ウェイトが影響したのか、拳四朗戦のダメージが十分に抜けていなかったのか、オラスクアガの状態は非常に悪く、いかにも重い身体を引きずるようなスローな動きで、パンチにもスピード&キレが皆無。

マグラモは特に変わったところはなく、普段通りの仕上がりなのだが、反応も鈍っているオラスクアガが再三危ない貰い方をする。ヒヤヒヤもので正視していられない。「判定負けがあるかも・・・」と、あらぬ心配をしながら中盤を折り返すと、それまでと同じ流れで一進一退の打ち合いになった第7ラウンド、ロープ際まで後退したマグラモとフックの応酬になり、相打ちの右フックがマグラモの顔面をクリーンヒット。

グラリと左方向に身体を傾けたマグラモを見て、主審の中村がストップを宣告。完全に効いていた為、TKOは妥当な裁定ではあったが、止められたマグラモは「まだやれる」と一瞬戸惑いを見せていた。

◎試合映像
<1>オラスクアガ TKO7R G・マグラモ
2023年9月18日/有明アリーナ(S・フライ級10回戦)
https://www.youtube.com/watch?v=GVHXdG5PQ5g

<2>拳四朗 TKO9R オアラスクアガ
2023年4月8日/有明アリーナ
WBA・WBC統一世界L・フライ級タイトルマッチ12回戦
https://www.youtube.com/watch?v=7eoh6f-wST8

<3>オラスクアガ TKO1R マルコ・サスタイタ(米)
2022年10月14日/セネカ・ナイアガラ・リゾート&カジノ, N.Y.州ナイアガラ・フォールズ
WBAフェデラテンフライ級タイトルマッチ10回戦



不出来の極みと評すべきマグラモ戦から10ヶ月。あらためてのテストマッチをやらずに、いきなり世界戦に雪崩れ込んでも大丈夫なのか。拳四朗戦と同等の仕上がりなら、WBA王者ユーリ阿久井政吾(倉敷守安)を含む邦人フライ級の誰とやっても、むざむざ名をなさしめることは無い筈。

しかし、酷過ぎたマグラモ戦から1年近くが経ち、付いて回るコンディショニングへの不安をどうしても払拭することができない。微妙なマージンに落ち着いたオッズにも、身銭を賭けるマニアたちの揺れる心(?)が見え隠れする。

□主要ブックメイカーのオッズ
<1>BetMGM
オラスクアガ:-300(約1.33倍)
加納:+250(3.5倍)

<2>betway
オラスクアガ:-357(約1.28倍)
加納:+250(3.5倍)

<3>ウィリアム・ヒル
オラスクアガ:3/10(1.3倍)
加納:5/2(3.5倍)
ドロー:14/1(15倍)

<4>Sky Sports
オラスクアガ:1/3(約1.33倍)
加納:14/5(3.8倍)
ドロー:25/1(26倍)


約3倍のアンダードッグとなった加納陸(かのう・りく)は、今を去ること10年前、2013年の暮れにフィリピンへ渡り、弱冠15歳でのプロ・デビューが話題となった兵庫県出身のサウスポー。同門の同い年だった服部海斗(はっとり・かいと)も行動を共にして、1歳年上のデビュー2戦目の比国人と4ラウンドを0-1で引き分ける。

加納は、負け越しとは言え既に8戦を経験していた地元の無名選手と戦い、無念の4回1-2判定負け。敵地の真っ只中で、同じミニマム級で実戦のリングに登り、いきなりプロの洗礼を浴びることになった。その後タイへ活動の拠点を移し、2014年12月までの2年間に7戦5勝(3KO)1敗1分けの戦績を残して帰国。

一緒に渡航した服部海斗は、突然の病に倒れて緊急入院。骨髄性白血病と診断され、17歳の青春を散らす。TV大阪が2人の軌跡を追うドキュメンタリーを制作するなど、あくまで関西中心ではあったが、ボクシング・ファンの強い関心を惹く。

◎「海と陸・16歳のプロボクサー」
https://www.tv-osaka.co.jp/sp/nameless_hero_another/


17歳の誕生日を待ってJBCライセンスを取得(当時の規定)すると、加納は大成ジムから正式に国内デビュー。以来、「三田(さんだ:兵庫県三田市)から世界へ」をキャッチフレーズに戦い続けてきた。

U-15全国大会での優勝経験を持ち、フィリピンとタイで実戦を経験した加納は、国内5戦目で世界挑戦経験のあるメルリト・サビーリョ(比)を2-1の判定に下して、105ポンドのWBOアジアパシフィック王座を獲得(2016年5月)。

余勢を勝って3ヶ月の2016年8月、国内最軽量で長らく第一人者として君臨する高山勝成(仲里:当時の所属ジム)と、空位のWBO王座を懸けて対戦。加納が勝てば、井岡弘樹が持つ国内最年少奪取記録(18歳9ヶ月10日)を、6日短縮する新記録(18歳9ヶ月4日)となることことから、地元三田市での開催(駒ヶ谷公園体育館)と相まって注目を集めるも、偶然のバッティングで高山が古傷の瞼をカット。

第6ラウンド終了後の負傷判定となり、ベテランの高山が3-0のユナニマウス・ディシジョンを得る。番狂わせの載冠は成らなかった。


この後2018年の夏まで105ポンドに留まったが、小野心(ワタナベ)の日本タイトルに挑戦して8回TKOに退き、同年12月の復帰戦で108ポンドに増量。WBCユース,WBOアジア・パシフィック王座を獲得したが、武漢ウィルス禍による停滞を経て、2022年にフライ級に進出。

同年9月に井上夕雅(真正)を12回3-0判定に下し、WBOアジア・パシフィック王座を2階級制覇。さらに昨年4月、亀山大輝(ワタナベ)の挑戦を受けて激闘を展開。三者三様のドローで辛くもベルトを守っている(6月12日付けで返上)。

12月10日のエディオン・アリーナ興行(第2競技場/メインは石田匠)に出場して、タイ人とのチューンナップを2回TKOで難なく終わらせ、世界タイトルに照準を合わせた。

そして今年4月、エディオン・アリーナ(第2競技場)でのシリーズ興行に参戦が決まるも、ジェシー・ロドリゲスの王座返上により、WBOがオラスクアガとの決定戦を通告。4月の試合をキャンセルして、本格的なトレーニングに専念する。


◎ファイナル・プレス・カンファレンス


※ファイナル・プレス・カンファレンス(アマプラ公式:フル)
https://www.youtube.com/watch?v=V6L9QXkR_nQ


お互い正統派のクリーンなボクシングを身上にしていて、変わったことはやらない。左右の違いはあれど攻防は良くまとまっている。スピード,パワー,テクニックのいずれにおいても、突出したアビリティがある訳ではないが、細かい崩しを厭わず総合力で戦況を切り開く。

そうなると、すべての要素について上回るオラスクアガが優位に立たざるを得ない。問題はトニーのコンディション。万全なら判定まで粘れるかどうか。加納が最終ラウンドまで立っていられたら、上首尾と称されるべき。


◎オラスクアガ(25歳)/前日計量:111.3ポンド(50.5キロ)
戦績:7戦6勝(4KO)1敗
アマ通算:23戦22勝1敗
身長:163(167)センチ,リーチ:175センチ
※Boxrec記載の身長が大きく変わった/164.5センチの拳四朗とどっこいだったから、167はサバを読んでいたのかもしれない
※以下計量時の測定
脈拍:62/分
血圧:128/75
体温:35.7℃
右ボクサーファイター


◎加納(26歳)/前日計量:111.8ポンド(50.7キロ)
元WBOアジア・パシフィックフライ級(V1/返上),元WBOアジア・パシフィックJ・フライ級(V1/返上),元WBC L・フライ級ユース(V0/返上).元OPBFミニマム級暫(V0/返上),元WBAアジアミニマム級(V0/返上)王者
戦績:28戦22勝(11KO)4敗2分け
身長:162センチ,リーチ:167センチ
※以下計量時の測定
脈拍:60/分
血圧:114/85
体温:35.4℃
左ボクサーファイター


◎前日計量


◎前日計量(アマプラ公式:フル)
https://www.youtube.com/watch?v=hWuuj-UUNvc


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■オフィシャル

主審:ホセ・リベラ(プエルトリコ)

副審:
ルイス・ルイス(プエルトリコ)
リシャール・ブルアン(カナダ)
エドワルド・リガス(比)

立会人(スーパーバイザー):レオン・パノンチーリョ(米/ハワイ州/WBO副会長)


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■アマゾン・プライムで無料配信(午後6時~)

2024 那須川天心ボクシング第4戦、中谷潤人・加納陸 世界戦

◎【無料全編公開】 LIVE BOXING 9 『独占密着 那須川天心第4戦、中谷潤人、田中恒成、加納陸出場トリプル世界戦直前SP』|プライムビデオ
2024年7月6日/アマプラ公式




充実期を迎えた三冠王に鋼(はがね)の男が挑戦 /両国3大世界戦 1 - 中谷潤人 vs V・アストラビオ ショートプレビュー -

カテゴリ:
■7月20日/両国国技館/WBC世界バンタム級タイトルマッチ12回戦
王者 中谷潤人(M.T) vs WBC1位 ヴィンセント・アストロラビオ(比)



想定を上回る一方的な展開で、ドネアに完勝したメヒコの新たな雄,アレハンドロ・サンティアゴを破壊してから早や5ヶ月。迎えた初防衛戦は、ランク1位との指名戦になった。

4月20日更新(23日発表)のリング誌P4Pランキングで10位に入り、5月と6月に行われた2回づつの更新でも圏外に落ちることなく現状を維持。主要4団体の王座を日本が独占するバンタム級で、こちらも評価を爆上げ中のWBA王者,井上拓真(大橋)を抑えて、クラス最強の呼び声は高まる一方。

敢えて不安要素を探すなら、唯一ウェイト・コントロールしか有り得ない。今回も無事計量をクリアはしたものの、血圧(109/78=前回:106/70)と体温(35.7℃=前回:36.3℃)の数値の低さは、精気を欠いた土気色の顔色ともども、118ポンドに上げてもなお、減量の過酷さがさほど改善されていないことを示唆している。

脈拍(76/分=前回:81/分)については、もともとスポーツ心臓ではないというだけで、余計な心配をする必要はないと思うけれども。


左の決定力に翳り無し。圧巻の破壊力を誇る豪砲は、3つ目の階級でも変わらぬ威力を発揮。西岡利晃のモンスター・レフト、山中慎介のゴッド・レフトに優るとも劣らない。メヒコの小型ラッシャーをし止めた返しの右も切れ味を増して、勢いと安定感もいや増すばかり。

◎試合映像:中谷 TKO6R サンティアゴ(ハイライト/Top Rank公式)
2024年2月24日/両国国技館
WBC世界バンタム級王座決定12回戦


だとしても、直前のオッズは流石に開き過ぎてやしないか。

□主要ブックメイカーのオッズ
<1>BetMGM
中谷:-2500(1.04倍)
アストロラビオ:+1000(11倍)

<2>betway
中谷:-2500(1.04倍)
アストロラビオ:+900(10倍)

<3>ウィリアム・ヒル
中谷:1/25(1.04倍)
アストロラビオ:9/1(10倍)
ドロー:25/1(26倍)

<4>Sky Sports
中谷:1/20(105倍)
アストロラビオ:14/1(15倍)
ドロー:33/1(34倍)

ファイナル・プレッサーでは記者の質問に対して井上拓真の名前を挙げ、統一戦への抱負を述べていた。P4Pランク入りを果たしたことで、さらなる階級アップ+モンスターとのマッチアップへの期待に拍車がかかる。

◎ファイナル・プレス・カンファレンス(抜粋)

※ファイナル・プレス・カンファレンス(アマプラ公式:フル)
https://www.youtube.com/watch?v=V6L9QXkR_nQ

今月10日行われた公開練習は、あくまで見せる為の動きに止めていた為、本当のところはわからないけれど、まずまず上首尾の仕上がりではないか。

◎中谷公開練習(デイリースポーツ)



「アセロ(Asero:スペイン語で鋼鉄)」の異名を取るアストロラビオは、ジャブ,ワンツーからセットアップする右構えの正攻法。意表を突くフェイントやムーヴは少なく、同じリズムとテンポで波状攻撃を続ける上、ディフェンスにも相応に穴がある。

ニックネームに違わず、軽量級としては高いKO率(73%超)を誇るが、パワーはともかく、一撃で倒し切れるほど精度は高くない。中谷にとって組し易い相手だと、多少見くびられても致し方のない面はある。

バンタム級としては平均的なサイズに収まり、タイの大ベテラン,ナワポンとのエリミネーターでは、ワンパターンな正面突破の繰り返しが目立ち、大柄でタフなナワポンに力負けして持て余し、ロープに押し込まれて防戦に回らざるを得ず、想定外(?)の苦境に追い込まれている。

モロニー戦から3ヶ月のスパンに無理があったのか、正直イマイチの感が拭えなかったけれど、首都バンコクに乗り込んだ完全アウェイを考慮すれば、拮抗した厳しい戦況の中で何とかスタミナを温存して、11ラウンドに右の相打ちで決定的なダウンを奪い、レフェリーストップを呼び込んだ集中力は賞賛されていい。

ナワポンは昨年大晦日の興行に呼ばれて、比嘉大吾に4回でフィニッシュされたが、アストロラビオ戦に続く連続KO負けは、14年に及ぶ歴戦の疲労が顕在化したとの印象。


中谷が労せずして制空権を握り、早々と左の一撃を効かせて終わらせる。あるいは積極的に距離を潰して、得意のショートアッパーでアストロラビオのガードを割り、たたらを踏ませて止めの左を叩き込む。

楽観的かつ安直に過ぎる見立てではあるが、そんな展開をついつい想像してしまいがち。それほど両者の力の差は大きいと、多くのファンが考えたとしても無理からぬ話ではある。

ただし、好調時のスピード&シャープネスはかなりの高水準。前戦のサンティアゴを易々と凌駕する。老いたりとは言え、あのリゴンドウからダウンを奪って1ポイント差の3-0判定をもぎ取り(出世試合)、ジェイソン・モロニー(豪)とのWBO王座決定戦でも、五分の勝負を繰り広げた。

気合を入れてしっかり準備した時のアストロラビオは侮れない。甘く見ると痛い目に遭う。まさしくリゴンドウがその典型だと、頭から決め付けるつもりは毛頭ないが、ちょっといい線いってるフィリピン人アンダードッグ程度の認識だったと思う。

◎アストロラビオ公開練習(デイリースポーツ)



フィリピン国内のローカル・ファイトを取り仕切り、アストロラビオを鍛え上げてきたマネージャー兼トレーナーのノノイ・ネリは、元々パッキャオのチームで働いていた人物で、フレディ・ローチの隣で名物的存在感を発揮したブボイ・フェルナンデスとともに、8階級制覇の英雄を支えた重要なスタッフの1人。

リゴンドウ戦のアップセットを認められ、パッキャオが興したMPプロモーションズと正式契約を結び、PBC(Premier Boxing Champions)参戦への道が開けた。

海千山千のノノイのことゆえ、中谷の左への警戒は抜け目なくやってくるだろうが、ブロック&カバーとヘッドムーヴの強化に止まるのか、それともステップにさらなる磨きをかけて、距離のコントロール(細かく丁寧な出入り)で対抗して来るのか。

前者だけなら、それほど苦労はしない筈。だが、後者を混ぜて鋭いジャブ,ワンツーを主体に動かれると、思いのほか厄介な状況になるかもしれない。


◎試合映像
<1>アストロラビオ TKO11R ナワポン
2023年8月26日/ スアンルム・ナイトバザール,バンコク(タイ)
WBC世界バンタム級挑戦者決定12回戦
https://www.youtube.com/watch?v=FA4FkhHVpF0

<2>J・モロニー 判定12R(2-0) アストロラビオ
2023年5月13日/アドヴェンティスト・ヘルス・アリーナ,カリフォルニア州ストックトン
※Top Rank公式ハイライト
https://www.youtube.com/watch?v=mX2PWMTX4d4

※フルファイト
https://www.dailymotion.com/video/x8l6hh5

<3>アストロラビオ 判定10R(3-0) リゴンドウ
2022年2月26日/ドバイ・マリーナ,ドバイ(UAE)
WBCインターナショナルバンタム級王座決定10回戦

※フルファイト(現地撮影映像)
https://www.youtube.com/watch?v=gTVx9EX_32k


勝利が揺らぐようなことはないと信じるが、何しろ油断は禁物。もしもステップをふんだんに使って出入りしてきたら、闇雲に距離を詰めに行かず、スピードを意識したジャブで刺し負けないことが大事になる。

果敢に前に出て強打を振るい、左へのスイッチも込みで奮闘するフランシスコ・ロドリゲス・Jr.とのS・フライ級初戦(ノンタイトルのテストマッチ)では、メキシカン・ファイターの出足を止めるジャブが無く、揉み合い上等の密着を許して苦しんだ。

バッティングによる出血に見舞われたアンドリュー・モロニー(豪)とのタイトルマッチ、ジャブが上手くて煩いモロニー対策の必要性から、目に見えて修正・改善された右リードは、最終ラウンドのドラマティックな幕切れを演出する重要な役割を果たし、タフでしぶといアルヒ・コルテスとの防衛戦でも、距離とペースの掌握に大きな力を発揮した。

身長160センチに満たないサンティアゴには、ロング・ディスタンスのワンツーはとりわけ有効だったが、”効かせるジャブ”ではなく、いわゆるストッピング・ジャブ(そんなもの存在しないとの主張も最近はあるらしいが)、左を決める為の”水先案内”の域を出ないのが惜しまれてならない。


ロドリゲス,コルテスのメキシカン2人(とサンティアゴも)が露にした、中谷最大のウィークネス。強引にくっつかれて強打を振り回されると、必要以上にバタついてしまう。強振に強振で対応してしまい、オフ・バランスを招いて被弾のリスクが増大する。

アストロラビオの本領はラフ&タフにはなく、注意すべきは丁寧な出入りとの認識ではあるが、断崖絶壁まで追い詰められた拍子に、大きな山猫を噛む荒ぶる窮鼠に変身する恐れがゼロとまでは言えない。

”ハードジャブの開眼”に叶わぬ期待を寄せつつ、中盤~後半にかけての綺麗なフィニッシュで怪我無く終えて、是非とも年末にもうひと勝負を。


◎中谷(26歳)/前日計量:117.3ポンド(53.2キロ)
現WBCバンタム級王者(V0),前WBO J・バンタム級(V1/返上),前WBOフライ級(V2/返上),元日本フライ級(V0/返上),元日本フライ級ユース(V0/返上)王者
2016年度全日本新人王(フライ級/東日本新人王・MVP)
戦績:27戦全勝(20KO)
世界戦:6戦全勝(5KO)
アマ戦績:14勝2敗
身長:172センチ,リーチ:170センチ
※以下計量時の測定
脈拍:76/分
血圧:109/78
体温:35.7℃
左ボクサーパンチャー


◎アストロラビオ(27歳)/前日計量:117.5ポンド(53.3キロ)
戦績:23戦19勝(14KO)4敗
身長:165センチ,リーチ:166センチ
※以下計量時の測定
脈拍:83/分
血圧:128/84
体温:36.4℃
右ボクサーファイター

◎前日計量(Top Rank公式)


◎前日計量(アマプラ公式:フル)
https://www.youtube.com/watch?v=hWuuj-UUNvc


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■オフィシャル

主審:トーマス・テーラー(米/カリフォルニア州)

副審:
マイケル・テイト(米/フロリダ州)
クリス・ミリオーレ(米/ネバダ州)
ホセ・マンスール(メキシコ)

立会人(スーパーバイザー):マウリシオ・スレイマン(メキシコ/WBC会長)

※スレイマン会長が直々に来日。先代のドン・ホセは、辰吉の試合に何度か臨席(日米両方)して華を添えてくれたが、”ポスト・モンスター”の最右翼と目されるまでになった中谷を、WBCもはっきり次期スターとして認知した。


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■アマゾン・プライムで無料配信(午後6時~)

2024 那須川天心ボクシング第4戦、中谷潤人・加納陸 世界戦

◎【無料全編公開】 LIVE BOXING 9 『独占密着 那須川天心第4戦、中谷潤人、田中恒成、加納陸出場トリプル世界戦直前SP』|プライムビデオ
2024年7月6日/アマプラ公式


This is

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■6月21日/フォンテンブロウ(フォンテーヌブロー)・ラスベガス/WBO世界フェザー級タイトルマッチ12回戦
王者 ラファエル・エスピノサ(メキシコ) TKO4R WBO2位 セルヒオ・チリノ・サンチェス(メキシコ)
weigh-in1
ラミレスの出方に注視せざるを得ない第5ラウンド。開始直後、ジャンプするように左から飛び込むと、エスピノサの打ち終わり(リードを戻す引き手に合わせて)を狙ってクロス気味に左右を射し込み、挑発半ばのノーガードで誘う等々変化を付ける王者。

ところが、王者はその後が続かない。すぐに止まってしまう。比較的フィジカルに負担の少ない、お手軽な陽動に引っかかるほどエスピノサは青くも甘くもなかった。ラミレスの挑発に対して、ガードを降ろし上体を左右に揺するミラーリングをやりかけるが、瞬時にコンパクトかつ堅実なガードに戻し、ワンツーから左右フック&アッパーを上下に返すセオリーを再開。実直にプレッシャーをかけ直す。

ラミレスは左もろとものステップインを何度か試すも、ステップバックで捌かれ真っ直ぐ上体を立てて止まったところへ左フックを貰ってヒヤリとするなど、「サイズの壁」に阻まれ思うように突破口を見出せない。自分にもキツい本物の工夫が足りないのは明らか。楽(簡単・安易)な崩しを同じ調子で繰り返すのも、直る見込みの薄いラミレスの悪弊。

もっと深めのクラウチングでかがみ込み、ロマチェンコよろしく肩と頭を細かく素早く左右に振って揺さぶりをかけながら、左右両サイドへ斜めに切り込むように踏み込みざま、下(死角)から強打を打ち込むとか、何か思い切ったことをやらないと、このままジリ貧になりかねない。


「しんどいなあ・・・」

イスマエル・サラスの指導力を持ってしても、一筋縄ではいかないのがスーパー・エリートの矯正。本当にまずい状況に陥るぞと、先行きに暗雲が垂れ込め出したラウンド終了寸前、天才の真骨頂が閃く。

小さくスっと頭を沈めたラミレスが、やや右サイド前へステップインすると、右フックでエスピノサのアバラ付近を叩く。パンチ自体はさほど強くない。キューバ人の瞬間的なスピードに反応できず、チャレンジャーは細長い痩躯を左方向に傾けるのが精一杯。

返しの左を追加しようとするラミレスが、ステップの勢いそのままぶつかって、反動でエスピノサはロープ際まで後退。追撃の機を伺うラミレスを見て、ロープ伝いにさらに左サイドへ半歩動く。その際半身の左構えになっていたスタンスを、エスピノサが右構えに戻そうとするその瞬間、先ほどと同じムーヴで右フックもろとも飛び込むラミレス。

またボディを狙って来ると感じたエスピノサが、咄嗟に左の肘でアバラ~脇腹をカバーするが、何とラミレスの右は開いた上へと向かっていた。左の顔面をまともに痛打されたエスピノサが、腰から落ちて背中を着く。

◎試合映像:エスピノサ 判定12R(2-0) R・ラミレス
2023年12月9日/チャールズ・F.ドッジ・シティ・センター(フロリダ州ペンブロークパインズ)

※フルファイト(削除済みの可能性有り)
https://www.youtube.com/watch?v=N1G82bFVfas

ほとんど同じ動き方,同じ速さのステップ・インがそのままフェイントの役割を果たし、パンチの軌道だけが途中から変わる。しかもスピードに対応し切れていないのだから、これはもうかわしようがない。

そして予期していなかった分、効いていた。両方のグローブでキャンバスを押し、尻餅の上体から身体を持ち上げるが、足下が定まらずヨロヨロとフラつき、正面のロープにしがみつく。

即座にストップされても仕方のない状態だったが、地元フロリダから選出された主審は「前に出ろ」と手招き。右のグローブでロープを掴み、何とか身体を支えていたエスピノサが、両方の拳をバンと叩き戦意をアピールしながら、そろそろと1~2歩前に出る。フラついていないことを確認した主審が、速やかに再開を合図と同時にラウンド終了のベル。

◎1発目:囮の右ボディフック
5th-R-down 1-1s

◎2発目:決定打の右フック
5th-R-down 2-1s

◎ヒットの瞬間 ⇒ ダウン
5th-R-down 3-1


「天は自ら助くる者を助く」

残り時間が10秒を切ってからの被弾だったこと、主審がすぐに止めずに1回様子を見てくれたこと(ホームのラミレスに加担せずに)が、エスピノサをKO負けの淵から救い出す。右手をロープから離したところでまたフラついていたら、間違いなく試合は終わっていた。

ハードワークを怠らない日々が、驚異的な回復力となって背中を押す。主審はこの間、エスピノサの両眼を真っ直ぐ見つめ続けて、視線を一切そらしていない。おそらくだが、メキシカンの瞳に精気が蘇っていたのだろう。鈍く虚ろな光のままなら、「前に出ろ」と指示はせず、そのまま止めていた筈。

もしもあと20秒残っていたら、ラミレスの猛攻でフィニッシュを迎えていたのは疑う余地がない。そんなこんなをひっくるめて、勝利の女神は微笑むべき男を選んだのである。


エスピノサが回復に努めた第6~第8ラウンド、形勢を逆転したラミレスは詰めの態勢に入るべく、手数を増やして攻勢を強めるのかと思いきや、単発の強打狙いでみすみすチャンスを逸してしまった。

清水戦や他の試合に限らないことだが、ラミレスを見ていていつも思う。どうしてここまでムキになって強振するのか。そもそも生粋のワンパンチ・フィニッシャーではないし、強引に振り回して一気に詰め切れるだけの破壊力にも恵まれていない。にもかかわらず、捨てパンチも込みの細かく丁寧な崩しを省略して、真正面からビッグショットを振るってはミスを繰り返す、単調なボクシングに自ら雪崩れ込む。

エスピノサが素晴らしかったのは、回復を図る間も手数と前に出る姿勢を維持したこと。手を出しながら休むべきところを休み、不必要な深追いと無駄な消耗を避けながら終盤戦に備えた。第8ラウンド、ラミレスが脱兎のごとく突っかけてパンチをまとめにかかった数少ないラッシュ(誤解を恐れず言えばこの試合唯一)も、コーナーを背負わされた後すぐに反撃に転じて押し返している。

第1章に記した左ショートのカウンターは、この日一度も火を噴かずに終わった。ラミレスがサウスポーだったことに加えて、スピード&クィックネスとムーヴィング・センスに優れていた為、打つチャンスを見出せなかった。

ただ、エスピノサのボクシングを形作る基礎とも言うべき左のヴァリエーションは、ラミレスに対しても十二分に機能していたと思う。


そして、この試合に懸けるエスピノサの執念、勝利への渇望は本物だった。戦術的ディシプリンに撤して一定のペースを崩さず、有効なジャブと左右のボディ,ショートアッパーでコツコツとラミレスを削り続け、第9ラウンド以降の4ラウンズをラミレスに渡さなかった。

ちなみに私の採点は、ニュージャージーの大ベテラン,スティーブ・ウェイスフィールドと同じ115-111。ラウンドごとの配点も寸分違わない。第11ラウンドだけは、ラミレスの強い左フックが2度エスピノサの顔面を襲う場面があり、ラウンド中盤の1発目はガードの上(それでもかなりの衝撃)だったが、終盤の2発目はクリーンヒットで、同じくニュージャージーから呼ばれたレブロン副審だけがラミレスに振ったのは、この2発を評価したものと考える。

他の2人はこの2発があってもなお、3分間のラウンド全般を通じて前に出続け、手数を絶やさず着弾の数ともども大きく上回るエスピノサを支持した。挑戦者の加撃も着実に王者を弱らせていたし、私も同様の立場を取る。


最終ラウンドのラミレスは、明らかに逃げ切り態勢に入っていた。まともな被弾を回避しながらエスピノサの打ち疲れを待ち、取ったと確信していたに違いない11回のように、左の強打を1発か2発決めればいい。スコアは拮抗しているだろうが、全12ラウンズ中11ラウンズの振り分けを五分と想定して、第5ラウンドのダウンが決め手になる。

しかし、エスピノサはまるで違っていた。「このラウンドを取らなければ勝てない」と闘志を奮い立たせ、疲労困憊の肉体に鞭打ち、覚悟を決めて渾身のパンチを振るい続けた。

11回を終えた時点で800発を優に超えるパンチを出し続けたエスピノサは、さらに3発~4発(もしくはそれ以上)をまとめるコンビネーションで攻め続ける。何と最終回に121発ものパンチを放ち、うち48発を着弾させた(この試合最多)。

2~3発目までは何とか防げても、4発目以降はかわし切れない。ラミレスの我慢も限界に近づきつつあった。エスピノサの気迫と手数に押されたラミレスは後退を繰り返し、休み無く放たれるコンビネーションに耐え切れなくなり、遂に自ら膝を着く。

こうして、驚天動地のメガ・アップセットが陽の目を見たという次第。無冠となったラミレスがエスピノサの控え室を訪れて、自からハグを求めて勝利を称える映像がトップランク公式チャンネルにアップされていた。

どんな言葉を持ってしても語り尽くすことのできない、人の心を直截揺さぶる感動的な映像。ボクシングの存在意義と価値、その魅力を余すところなく、最も訴求し得る究極のノーサイドと言い換えてもいい。



世界挑戦までに10年を要した点について、「サイズとパワーを理由に(有力なランカーや地域王者クラスから)避けられ続けた」為だと、エスピノサ自身は述べている。

中国武漢での異変発生が報告される前年から始まった長期のレイ・オフは、「そんな単純な理由で説明がつかない」と思うけれど、本人とマネージメントが明かさないのか、メディア関係者が誰も聞かないのかは別にして、経歴と同様不明としか言いようがない。

そう遠くないうちに、英語による詳しいインタビューが行われることに期待したい。


◎エスピノサ(30歳)/前日計量:125.6ポンド
戦績:25戦全勝(21KO)
アマ経験:戦績も含めて不明
身長.リーチとも185センチ
右ボクサーファイター

◎チリノ・サンチェス(29歳)/前日計量:125.6ポンド
戦績:25戦23勝(12KO)2敗
アマ戦績:不明
2014年中米カリブ大会(ベラクルス/メキシコ)バンタム級銅メダル
※準決勝でロベイシー・ラミレスに0-3ポイント負け
ナショナル・オリンピック(階級不明)
2008年:銅/2010年:銀/2012年:金/2013~14年:銀
プリメーラ・プエルサ全国選手権(Campeonato Nacional de Primera Fuerza/英訳:First Force Championsip)
2013年:金/2014年:銀/2016年:金(階級不明)
※チリとドミニカで開催された国際大会でも銀メダル獲得(大会の正式名称・年度・階級不明)
WSB(World Series of Boxing):8戦
身長.リーチとも175センチ
右ボクサーファイター

◎前日計量


※前日計量(フル映像)
https://www.youtube.com/watch?v=arM4EXmo1zk


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■オフィシャル

主審:ラウル・カイズ・Jr.(米/カリフォルニア州)

副審:
ティム・チーザム(米/ネバダ州)
マックス・デルーカ(米/カリフォルニア州)
スティーブ・ウェイスフィールド(米/ニュージャージー州)

立会人(スーパーバイザー):クレイグ・ハッブル(米/カリフォルニア州/WBO法務顧問:Administrative Advisor)


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■チリノ・サンチェスについて

まるでいいところなく敗れた挑戦者にも、少しだけ触れておきたい。戦績にも記載済みだが、チリノ・サンチェスはボクサーだった父セルヒオ・シニアの手解きを受け、ジュニアの時代から代表チームに召集されるエリート選手だった。

7歳で実戦デビューした時から、今に至るまで変わらぬ師弟であり、欧米では頻繁に目にする親子鷹である。中米カリブ大会で獲得した銅メダルが最大の勲章。

世界選手権やパン・アメリカン・ゲームズ、パン・アメリカン選手権には出場しておらず、五輪代表候補だったとは言え、筆頭ではなかった模様。それでも、WSB(World Series of Boxing)の契約選手になって8試合を戦った記録があり、メキシコ国内のトップレベルで競っていたのは間違いない。

代表チームで27年も教えたフランシスコ・ボニージャというベテラン・コーチの薫陶を受け、フェルナンド・ベルトランの下でプロに転じた当初、地元(オアハカ州/出生地は地チアパス州)では将来の王者候補と目されるほど期待を集めている。

Chirinos
※左から:チリノ・サンチェス,フリオ・セサール・チャベス,チリノ・シニア(実父/トレーナー兼マネージャー)

ただし、ダメージを受けると途端に怖気づく気弱な面があり、プロ初黒星を喫したマウリシオ・ララ(元WBA王者)戦では、第2ラウンドに鼻先を痛打されて出血すると、インターバル中に棄権。おそらく鼻骨を骨折したものと思われるが、ヒッティングによる負傷だった為TKO負けになった。

あらゆるスポーツが気合と根性に支配されていた昭和の日本なら、「だからアマ上がりは・・・」と取材記者に容赦無く叩かれただろう。あのヘナロ・エルナンデスが、ライト級で日の出の勢いのデラ・ホーヤに挑戦した際、やはり鼻骨骨折を理由に途中棄権したが、WOWOWエキサイトマッチの解説席にいた浜田剛史元王者(現帝拳代表)が、「鼻が折れたぐらいで、これだけの大きな試合を棄権するとは・・・」と絶句していたことを思い出す。

初回にいきなり強烈なダウンを喫してしまい、どうなることかと思ったけれど、反転攻勢に出る気配は皆無に近く、ハートの強さを見せることなく、一方的に打ちまくられて終了した。

ロベイシー・ラミレスへの挑戦にしても、先行してランキングに入っていたチリノにお鉢が回りそうなものだが、ベルトランが敢えてエスピノサを推したのも頷ける。正攻法のボクサーファイターで、試合振りはまずまず好感が持てるのだが・・・。


困ったことに、チリノ・サンチェスにはよろしくない記事も出ていて、エスピノサ戦の直後、酒に酔ってスクーターの3人運転(!)に興じ、重大事故を引き起こしたとのこと。チリノ本人は頭部に打撲を負ったものの、幸運なことに命と身体に別状は無かった。

しかし同乗者の1人に十代の女子ボクサーがいて、脊椎か頚椎を傷めたらしく、車椅子の生活を余儀なくされる恐れがあるという。これ以上詳しい続報が見当たらず、女子ボクサーの父親がチリノを訴える可能性もあるらしい。

また、チリノには別なスキャンダルもあって、昨年15歳の少女と性的交渉を持ったことが発覚(暴行か否かは不明)、起訴される寸前で示談が成立し釈放されたという。

2018年には傷害事件も起こしていて、被害者に15万ペソ(当時のレートで約130万円)を支払っている。プロ・アマを問わずワールド・クラスのアスリートに、自身の立場を履き違えているとしか思えない事件や醜聞はけっして珍しいものではないが、この選手にも救い難い一面があると思えてならない。

◎当該記事
"Chirino" acosador de menores y violentador de mujeres
2024年6月25日/オアハカ・オンライン
https://www.oaxacaenlinea.net/single-post/chirino-acosador-de-menores-y-violentador-de-mujeres

◎チリノ・サンチェスの試合映像
<1>チリノ 判定10R(3-0) アリー・ローレル(比)
2021年12月4日/グアナフアト州レオン
サンフェル(ザンファー:Zanfer)公式facebook
https://www.facebook.com/zanferboxing/videos/sergio-chirino-s%C3%A1nchez-vs-alie-laurel/392453266383518/

<2>マウリシオ・ララ TKO2R終了 チリノ
2018年11月29日/モンテレイ
https://www.dailymotion.com/video/x7rewgp

<3>アマ時代:ロベイシー・ラミレス 3-0 チリノ
2014年11月25日/ワールド・トレード・センター,ベラクルス(メキシコ)
中米カリブ大会バンタム級準決勝
https://www.youtube.com/watch?v=DDqhWMXPKUM


This is

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■6月21日/フォンテンブロウ(フォンテーヌブロー)・ラスベガス/WBO世界フェザー級タイトルマッチ12回戦
王者 ラファエル・エスピノサ(メキシコ) TKO4R WBO2位 セルヒオ・チリノ・サンチェス(メキシコ)
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昨年12月9日、フロリダの小さなローカル会場に登場したエスピノサは、10倍を超えるとてつもないワイド・マ-ジンのオッズをものともせず、キューバが誇る五輪連覇の天才サウスポーから奇跡的と称すべき逆転勝利をもぎ取り、4つある世界タイトルのうちの1つ,WBOのベルトを手中にした。

デビューから丸10年を経て、遂に巡って来たワン・チャンス。判定(2-0のマジョリティ・ディシジョン)を聞いたエスピノサは、感激の余りその場に泣き崩れている。

挑戦がリリースされた昨年9月の時点では、「エスピノサ?。いったい誰?・・・」というのが率直な反応だった。タイトル歴が皆無な上に、主要4団体すべてでランク外。お膝元のWBCでさえ、挑戦権を認められた15名はおろか、40名(主要4団体中WBCだけ40位まで公表)の中にすら選ばれていない。

衆目を惹くのは異様なタッパのみと言ってよく、全勝記録とKO率の高さ(91%:23勝21KO)も、レコードブックにはこれといった目ぼしい名前は無く、「言われてみれば確かに」という状況。

「全勝記録なんて相手を選べばどうにでもなる。パンチはそこそこあるんだろうけど、KOの数だって同じこと。その気になれば、マッチメイクでいかようにも・・・」

リング誌をはじめとする複数の在米専門メディアが、2023年度のアップセット・オブ・ジ・イヤーに選出したのもむべなるかな。


我らがジャパニーズ・モンスター,井上尚弥との来るべき決戦に向けて、用意周到に事を運ばんとする青写真を根こそぎひっくり返されたアラムだが、当該記事の第1章に記した通り、ベルトランとの間でエスピノサの共同プロモート契約を締結済み。

初挑戦の契約には再戦条項も含まれているらしく、先月29日にマイアミで行われたテオフィモ・ロペス vs スティーブ・クラゲットのアンダーに登場したラミレスは、26歳の中堅メキシカンを7回TKOで一蹴。本年度内の奪還のみならず、4団体統一への野望(?)にあらためて言及した。

主要4団体がいずれも禁止を謳う(有名無実)ダイレクト・リマッチの回避と、ラミレスの現状を再確認する為のチューンナップを、ほぼ同じタイミングで実施したとの流れ。


以下にオフィシャル・スコアを示すが、攻めつ攻められつの試合内容を反映して採点は競っていた。仮に最終ラウンドのダウンが無かったとしても、0-2のマジョリティ・ディシジョンが1-2のスプリット・ディシジョンに変わるだけで、エスピノサの勝利は動かない。

という何も意味を為さない考察も含め、結果が出てしまった勝負事に「たら・れば」を持ち込んで、ああだこうだとやってもしようがないのは百も承知の上で、しようもない仮説を敢えてこねくり回してみる。

■オフィシャル・スコア
副審:0-2でエスピノサを指示
スティーブ・ウェイスフィールド(米/ニュージャージー州):111-115
ベノワ・ルーセル(カナダ):112-114
エフレン・レブロン(米/ニュージャージー州):113-113

◎オフィシャル・スコアカード
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◎清書
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◎最終12ラウンドのダウンが無かった場合
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副審3名の配点が割れたのは、第3,第9,第11の3ラウンズ。このうちどれか1つ、例えば第11ラウンドについて、カナダから招聘されたルーセル副審がラミレスに振っていたら、0-1のマジョリティ・ドローとなりラミレスの防衛になる。
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さらに上記の条件に加えて、もしも最終ラウンドのダウンが無かった場合、2-1のスプリットでラミレスの手が挙がり、勝敗そのものが逆転してしまう。
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エスピノサが奪い返したダウンは、ポイント上は勝敗を左右しなかったけれど、ハグ・アップセット(Hug-Upset)に妥当性と正当性を与える印象に大きく寄与した。いわゆる”ダメ押し”である。

ここまでスコアをあれこれ見るまでもなく、最終ラウンドをラミレスが取っていたら、2-1のスプリットで勝敗は変わっていた。ラストの攻防が分水嶺であったことは間違いない。

◎最終ラウンドをラミレスが取った場合
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当初日程は11月4日と発表されたが、後日12月9日開催にリ・スケジュール。開催地は、予定通りマイアミ近郊のペンブロークパインズでフィックス。米国最大規模のキューバ移民コミュニティを有するフロリダは、ガンボア&リゴンドウなど亡命キューバ人ボクサーはもとより、アメリカン・ドリームに引き寄せられるラテン系ボクサーの活動拠点として重要な役割を担う。

トップランクが収容人員3千人規模の屋内競技施設を選んだのは、ラミレスの人気=集客力を冷静に値踏みした上で、米国内ではまったく認知されていない無名のチャレンジャーを考慮した結果だろう。

序盤の4ラウンズは、リサーチ&サーベイを兼ねたペース争い。カナダから呼ばれた副審1名が第3ラウンドを王者に与えた以外、エスピノサが完全にポイントを抑えているが、互いに明白なダメージを伴う加撃は無く、評価の優先度が一番高い筈の「有効なクリーンヒット」についは互角の判断にならざるを得ない。

圧倒的に差が付いたのは手数。以下に第4ラウンドまでのトータル・パンチ・スタッツを示すが、評価項目第2位の「アグレッシブネス(手数を伴った前進)」は一目瞭然で挑戦者。どちらかに必ず振り分けろと強制されたら、エスピノサに振るしかなくなる。
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ESPNのアン・オフィシャル・ジャッジを務めるマーク・クリーゲルも、フルマークでエスピノサに付けていた。クリーゲルはN.Y.ポストのコラムニストやNFLネットワークのアナリスト、Fox Sportsのインタビュー番組等を歴任した人で、ボクシングの親子鷹を題材にした著述でも知られている。
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映画化されたレイ・マンシーニ親子の物語「The Good Son: The Life of Ray “Boom Boom” Mancini」で注目を集めた他、60~70年代に活躍したNFLのスタープレイヤー,ジョー・ネイマスの評伝「Namath: A Biography」が特に名高い。

オフィシャル・スコアカードの画像を最初に見た時、第3ラウンドをラミレスに振ったカナダ人ジャッジに、いったい何を根拠に採点したのか聞いてみたい衝動にかられた。


規格外のサイズを持つ挑戦者であるがゆえに、距離(間合いとタイミング)とパンチ力の測定に時間を使うラミレスも、間断無くジャブ,ワンツーを突き、ショートアッパーをカチ上げるエスピノサのどちらも、駆け引きの範疇を超える攻勢はなし。

そうした中で、ホーム・アドバンテージを持つ王者は「1発狙い(カウンター)」に終始しがち。いつもの悪い癖と言ってしまえばその通りで、おそらくなのだが修正する気がない。それでも時折放つ大きめの左右フックは、けっして本気ではないものの、振り出しのタイミングとムーヴは「流石!」と言わざるを得ない。

何気ないステップやウィーブ,フェイントのかけ方等々、身のこなし1つ1つのいちいちに、質の高いボクシング・センスが横溢する。

一方の挑戦者。着弾率の低さから、下からアッパー気味に振り上げるメキシカンスタイルの遅れて届くフックを主体に、遠心力を使ってブンブン振り回す姿を想像する人もいると思うが、現実のエスピノサは正攻法の丁寧に戦うボクサーファイター。ガードやブロックの上だったり、身体のどこかに当たっていて空振りは少ない。

清水聡戦をご記憶の方ならお分かりだと思うが、背の高い相手に対してパンチが大きくなるのは止むを得ないにしても、打ち方は五輪連覇のラミレスの方がむしろ粗く、ただ完全な空砲が少ないのは同じ。

そして観客とジャッジに好印象を与える手法、見せる術を心得ている。少ない手数を有効に使うのが上手い。明確なダメージの有無を何よりも重視する20世紀(昭和)のスコアリングなら、10-10,5-5のイーブンがズラリと並ぶ。

五分五分の展開をそのままポイントとして表現できない、反映させまいとする「10ポイント・マスト・システム」の、それも80年代半ば以降、急速に拡大浸透した全ラウンドを対象とした振り分け採点の弊害。がしかし、残念ではあるが悪法も法なり。


「この挑戦者、なかなかやるな・・・」

前半4ラウンズを終えた時点で、会場に集まった観客と視聴者の多くがそう感じたのではないだろうか。並外れた大きさとパンチ力だけが頼りの木偶の坊などではない。焦ったり慌てたりする必要は無い時間帯で、実際ラミレスは余裕を失ってもいないけれど、王者を支えるコーナーがどうポイントを読み、中盤戦をどう戦う(立て直す)のか。


※Part 5 へ


◎エスピノサ(30歳)/前日計量:125.6ポンド
戦績:25戦全勝(21KO)
アマ経験:戦績も含めて不明
※ESPNの中継で「アマ11戦」との紹介有り
身長.リーチとも185センチ
右ボクサーファイター

◎チリノ・サンチェス(29歳)/前日計量:125.6ポンド
戦績:25戦23勝(12KO)2敗
アマ戦績:不明
2014年中米カリブ大会(ベラクルス/メキシコ)バンタム級銅メダル
※準決勝でロベイシー・ラミレスに0-3ポイント負け
ナショナル・オリンピック(階級不明)
2008年:銅/2010年:銀/2012年:金/2013~14年:銀
プリメーラ・プエルサ全国選手権(Campeonato Nacional de Primera Fuerza/英訳:First Force Championsip)
2013年:金/2014年:銀/2016年:金(階級不明)
※チリとドミニカで開催された国際大会でも銀メダル獲得(大会の正式名称・年度・階級不明)
WSB(World Series of Boxing):8戦
身長.リーチとも175センチ
右ボクサーファイター

◎前日計量


※前日計量(フル映像)
https://www.youtube.com/watch?v=arM4EXmo1zk


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■オフィシャル

主審:ラウル・カイズ・Jr.(米/カリフォルニア州)

副審:
ティム・チーザム(米/ネバダ州)
マックス・デルーカ(米/カリフォルニア州)
スティーブ・ウェイスフィールド(米/ニュージャージー州)

立会人(スーパーバイザー):クレイグ・ハッブル(米/カリフォルニア州/WBO法務顧問:Administrative Advisor)


混迷の147ポンドを再統一へ /ポスト・クロフォードの大本命出撃 - J・エニス vs D・アヴァニシアン プレビュー 2 -

カテゴリ:
■7月13日/ウェルス・ファーゴ・センター,フィラデルフィア/IBF世界ウェルター「級タイトルマッチ12回戦
王者 ジャロン・エニス(米) vs IBF13位 ダヴィド・アヴァニシアン(アルメニア)



勝って当然と言うより、倒して当然の状況でV2に臨むエニスは、開催地フィリー出身の黒人スラッガー。サイズ,スピード,パワーの三拍子揃った逸材として、早くから大成を期待されてきた。

重さとキレを併せ持つパンチがとにかく凄い。自在に左右のスタンスを切り替えるスイッチを操る器用さも含めて、我らが井上尚弥をそのままスケールアップして、より豪快に荒っぽくした感じと言えば分かり易いだろうか。破壊力&決定力は、現状の147~154ポンドにおいて頭1つ抜けている。

ボクシング・センスとスキル,カウンターの妙技に関する限り、難病に倒れる以前のヴァージル・オルティズ・Jr.が飛び抜けているとの確信は揺るがないけれど、クロフォードが支配するウェルター級から、よりチャンスの多いS・ウェルター級へと主戦場を移す決断には、日々存在感を増すエニスの影響が皆無とは言い切れない。


自身もプロボクサーだった実父デレク("Bozy:ボジー"の愛称で呼ばれる)の指導を受け、男三人の兄弟全員がプロになったボクシング一家。長男のデレク・ジュニア(17歳年長)は、父と区別する意味もあって、幼い頃から“Pooh(プー)”と呼ばれ、24勝(13KO)5敗1分けの立派な戦績を残して2014年に引退。

次男のファラー(14歳年上)も、長兄デレク・ジュニアとほぼ同じ時期に活動して、1年後の2015年にリングを降りた。戦績は22勝(12KO)2敗。父と兄はペンシルベニアのボクシング殿堂入り(アメリカは主要な州ごとにホール・オブ・フェイムがある)に浴している。ファラーを押す地元の記者と識者も1人ではないとのことだが、未だ選出は叶わず。

そして、2人の兄が果たせなかった世界王者の夢を実現した三男ジャロンは、母が付けた"Boops(ブープス)"というニックネームを、通っていたジムのコーチや仲間たちが聞き間違えて“Boots(ブーツ)”と呼ぶようになり、それがそのまま定着して今日に至る。
Jaron_Boxy_Ennis
※以下左から:次男ファラー,ジャロン・エニス,父でトレーナーのデレク・”ボジー”,長兄のデレク・”プー”
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2016年のリオ五輪出場とメダル獲得を目指していたが、米国最終予選でゲイリー・アントワン・ラッセルに連敗。あと1歩のところで代表の座を逃し、2016年4月に4回戦からスタート。当たるを幸い倒しまくり、プロ11戦目~30戦目まで、バッティングによるノーコンテスト(2020年12月:クリス・ヴァン・ヒーデン戦)を1つ挟み、19連続KO勝ちを記録。

ヒーデン戦から4ヶ月後の2021年4月、カザフ出身の元IBF J・ウェルター級王者セルゲイ・リビネッツを6回KOに屠ると、同年10月、プエルトリコの元プロスペクト,トーマス・デュロルメを初回2分足らずで撃破。

2022年5月には、カナダのオリンピアン(2012年ロンドン五輪ウェルター級ベスト8),カスティオ・クレイトンに2回KO勝ち。エロール・スペンスとクロフォード挑戦への狼煙を上げる。

◎試合映像:エニス 6回KO S・リピネッツ(出世試合)
2021年4月10日/モヒガンサン・カジノ(コネチカット州アンキャンスビル)


◎試合映像:エニス 1回KO T・デュロルメ
2021年10月30日/マンダレイ・ベイ・リゾート&カジノ(ラスベガス)



長らく対戦が待たれていたスペンス vs クロフォードの4団体統一戦が、いよいよ実現に向かって動き出したことから、IBFは指名挑戦権を得ていたウクライナのテクニシャン、カレン・チュハジアン(アマ200戦超)とエニスに暫定王座決定戦を指示承認。

鋭く素早い反応を最大の武器にしつつ、止まらないフットワークを駆使するチュハジアンに対して、いつもの筋力に頼った強振・豪打をセーブ。チュハジアンに負けないスピード&機動力で対抗するエニス。

デイフェンス重視の技巧派をし止めることはできず、6年半ぶりの判定勝ち(フルマーク)で暫定王座に就くと、7月8日にベネズエラの強打者ロイマン・ビリャ(26勝24KO1敗)を10回KOに下して初防衛に成功。同じ月の29日、スペンスを一方的に打ちまくって147ポンドを統一したクロフォードとの一騎打ちを迫っている。


暫定王座を懸けた直近の2試合、荒ぶるハードヒットを抑制しながら、スピード&クィックネスに注力する姿を披露したエニス。ビリャ戦では、時にヒヤリとする被弾も見受けられたが、堅実なブロック&カバーだけでなく、程よく肩の力を抜いたボディワークも併用して、五輪代表候補のアマキャリアが伊達ではないことを証明した。

反面上半身の筋力をセーブすると、これまでのように一撃で致命傷を負わせることができず、決定力も目減りすることが判明。来るべきクロフォード戦に向けて、長短両面が露になったとも言える。

◎試合映像:エニス 12回3-0判定 K・チュハジアン
2023年1月7日/キャピタル・ワン・アリーナ(ワシントンD.C.)
IBF暫定王座決定戦

※フルファイト
https://www.youtube.com/watch?v=-rkOp8ub2R8

◎試合映像:エニス 10回KO R・ビリャ
2023年7月8日/ボードウォーク・ホール(アトランティックシティ)

※フルファイト
https://www.youtube.com/watch?v=wBHTtQJEuVM


昨年11月上旬、正規 vs 暫定のIBF内統一戦ではなく、スペンスとのリマッチ(再戦条項有り)を優先する意向を示したクロフォードがベルトをはく奪され、戦わずしてエニスが自動昇格。

ところが今年1月、スペンスが白内障の手術(右眼)を受けたことを公表。2021年8月に左眼の網膜裂孔が発覚して、3週間後に決まっていたパッキャオ戦をフイにした経緯があるだけに、交通事故(2019年10月)の後遺症と併せて引退を取り沙汰される事態になった。

リマッチの速やかな履行が不可能となり、クロフォードはS・ウェルター級への進出を決断。来月3日にロサンゼルスで、WBA王者イスラエル・マドリモフ(ウズベキスタン)にアタックする。

スペンスもS・ウェルター級での再起を希望しており、クロフォードの4階級制覇達成を見越したかのように、「154ポンドでもう一度やろう」と、半ば自らに言い聞かせるように声明を出した。


IBFより8ヶ月遅れ(昨年9月)になったが、ヨルデニス・ウガス(キューバ)を破ったマリオ・バリオスを暫定王者に承認済みのWBCも、5月末にクロフォードを休養王者に横滑りさせると、先月20日、バリオスの正規王者格上げを正式にリリース。

WBAとWBOはクロフォードの王座を認め続けてはいるが、WBAには2年前からレギュラー王者エイマンタス・スタニオニス(リトアニア)がいて、WBOも5月18日に行われた決定戦で、1位ジョバニ・サンティリャン(米)に10回KO勝ちした10位ブライアン・ノーマン・Jr.(米)を暫定王者にしたばかり。

マドリモフ vs クロフォードの結果によっては、さらに混迷の度合いを深めそうな147ポンドだが、今や最も稼げる階級になった激戦区をリードするのは間違いなくエニス。

クロフォードより1ラウンドでも早く倒したいのはヤマヤマだが、立ち上がりから上から目線で強引に振り回すと、アヴァニシアンのカウンターを食らって慌てる恐れも十分。無論、そのまま圧殺する確率も高いけれど、アルメニアの猛者にもそれだけの勇気と技術がある。


◎エニス(27歳)/前日計量:146.4ポンド
IBFウェルター級王者(V1/暫定→正規)
戦績:32戦31勝(28KO)1NC
アマ通算:58勝3敗
■2015年リオ五輪米国最終予選(オリンピック・トライアル)
<1>トライアル・クォリファイ(最終選考予選/メリーランド州ボルティモア)優勝
<2>トライアル・パーティシパント(最終選考/ネバダ州リノ)次点
※決勝でゲイリー・アントワン・ラッセルに2敗(いずれも0-3)
■ナショナル・ゴールデン・グローブス
2015年優勝
2014年準優勝
■2015年ユース全米選手権優勝
※階級:L・ウェルター級(64キロ)
身長:178センチ,リーチ:188センチ
右パンチャー(スイッチヒッター)


◎アヴァニシアン(35歳)/前日計量:147ポンド
元WBAレギュラー王者(V1/暫定→正規),元欧州(EBU)王者(V5)
戦績:35戦30勝(18KO)4敗1分け
アマ戦績:不明
身長:173センチ,リーチ:174センチ
右ボクサーファイター(スイッチヒッター)

◎前日計量


◎前日計量(フル)
https://www.youtube.com/watch?v=928HvJvVtYI


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■リング・オフィシャル:未発表

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◎ファイナル・プレス・カンファレンス(フル)
https://www.youtube.com/watch?v=U8nMHoC4nfo

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